第13話 恋の仕事とはなんぞや?
「努力って…子作りのこと?」
と言うとクレイグが少し考えて
「まぁ…今年中には…そうなれるといいんですけど…やはり私は恋愛したことが無いので勉強したりしないといけません」
「真面目だね…」
「資料を作成してみました。スケジュールなどリスト化しておきましたので目を通しておいて下さい。で、やりたい事があったら伝えてください」
と何か資料をバサリと手に置かれた。
えええ!?仕事じゃねーか!!
こ、この仕事人間が!!恋も仕事のうちか!!
「普通の恋人や夫婦はリストなんか見ないと思うんだけど…」
「そりゃ…普通ならそうでしょうけど…」
ああ…まぁ私は恋愛対象として見れてないからってヤツね。慣らしていくのには確かにリスト化した方が良いのかもしれない??
とチラリと目を通すと…
(起床…一時(A.M 6)夫婦の会話少し。おはようの挨拶から。なるべく穏やかに!可能ならハグ
三時(A.M 9)仲良く畑に花を植える。会話少し。重いものは私が持つ。優しさをアピール。
六時(P.M 0)お昼。一緒に食事。会話しながら。できれば嫁に食べさせて貰いたい。鬱陶しい場合はさっさと片付ける。
九時(P.M 3)おやつ。一緒に食べる。会話しながら。できれば嫁を膝に乗せ私が食べさせる。鬱陶しい場合はさっさと片付ける。
晩(P.M 6)夕食・風呂。一緒に食べる。会話しながら。その日の出来事を楽しげに思い出しつつ、先のことなども話す。
お風呂は嫁に先に入らせる。慣れたら一緒に入ってみる。
終(P.M 9)就寝。お休みの会話。出来ればハグやキス。同じベッドで横になる。子作りはいろいろとお互いオーケーになったら)
と書かれていた。
なんじゃこりゃあ!?
「不満な箇所はご指摘ください。後、強要はしませんし…合わせます」
仕事かっ!!
後、いちいち鬱陶しい場合はさっさと片付けるの部分いらんだろ!!
「何か何かが違うわ…」
「えっ!?」
と一生懸命考えたのに何故に!?という顔はやめろぉ!
「そもそも…こんなのねぇ、義務的に決められてすることじゃないのよ!!人を好きになったりするのは!お互いの気持ちを心と心で通じ合せる事がまず必要だし!急にやれって言ってもねぇ?時間がないのは判ってるから私も協力はするけどさ…何か違うのよねぇ…」
「は、はあ…心…」
「これが毎日日課になったらほんとただの仕事なんじゃない!?そう…足りないわ!ドキドキの成分が!!」
と私が言うと
「ドキドキの…成分!!?」
と反復した。
そう…恋はドキドキするものだ。私達には足りないものだ。
「うーん…竜族はどうか知らないけど人間社会ではロマンス小説があったりするからね。本は高価で貴族の間でしか読まれないけど。庶民はそんなのなくても勝手に好きな相手が出来たら告白して恋人に…そして結婚にとなるわ」
「はぁ…。その好きな相手とはどうやったら好きになるんですか?向こうも好きになる確率とはなんですか?どうして二人が惹かれ合う所まで行くんです?」
と疑問を並べてくる。
「え…し、知らないけど…相性じゃないの?好きになったら相手のことを知りたいと思うし、相手の好きなものをプレゼントしたり、一目見てお互いに恋に落ちるというレアケースもある」
少なくとも急にベタベタするヤツはまずいない。
「…………難しいな…」
「まずはドキドキ意識することが必要じゃない?」
「ドキドキ…ですか…」
と手を当てて考えている。
「でもまぁ…折角頑張って書いたのでしょう?折角だしやってみましょう?」
と言うと彼は少し嬉しそうになった。
あら、意外と可愛いところも…。
はっ!危ない!絆される所だった!
女の価値は男に惚れさせてこそなんぼだ!(私持論)
クレイグに私のことメロメロになって貰うわ!ふふふ!私は村で2番目に可愛い女!!
クレイグを落としてやるわ!!
と悪女のようにニマリとした。
*
それから紙に書いてある通りに畑に向かった。野菜や花の種を持ち、納屋から肥料を運んでくる夫。
私は水を井戸から汲んだ。
それを見て手伝ってくれた。
畑の畝を作り丸い穴を開けて種を入れ土を被せる。という作業が延々と行われて気付くと二人とも無言であった!!
し、しまった!熱中し過ぎていた!!
クレイグも慌てて
「ジュリエットさん!そこ!トマトの種植えちゃダメです!トマトはこっち!そこはナスの所!!」
しかも間違えてた!!
慌てて掘り起こしトマトの種は別の所に植える。
花壇は周りに石を置き、綺麗に区切っておく。
私の好きな薔薇とか植えよう。まだ土しかないけどね。
ようやく一汗かいて休憩だ。
「お疲れ様です!!」
クレイグは冷えた井戸水を汲んできてくれ、2人してゴキュゴキュ飲んだ。
「クレイグさんのやった所は流石に綺麗ね。仕事上手いと何でもできるのね」
夫より何も出来ない嫁ここにいたり。
「なんだかごめんなさい。楽しくて。畑を作るなんて今までしてこなかったけど案外と楽しくて…会話を忘れてしまいました」
「そう…私は実家では野菜育ててたなぁ。ほうれん草とか。それでもクレイグさんは初めてなのに上手いよ」
「ありがとうございます!良い野菜や花が育てばいいですね!」
と照れてニコニコしだした。
その時つっと首筋まで汗が垂れたのを見て一瞬ドキっとした。
慌ててタオルで拭いて上げると目が合いクレイグは物凄い勢いで逸らした。
んん? ちょっと!酷くない??折角嫁が汗拭いてやってるのに!?
と思ってむくれてるとクレイグが
「ジュリエットさん…ふ、服!前!ボタンが外れて見えてますって!!」
あん!?
と見ると暑さで前全開に開けてた!おっさんか私は!!ひいいい!
恥ずかしくなりシュシュッとボタンを嵌めて
「うふふふー?おかしいわね?風の悪戯かしらー?」
と乙女チックなことを言って誤魔化した。
「ジュリエットさん…私今…ドキドキしました!!これが…恋…??でしょうか?」
…………。
「違うと思います…。単に私の乳がチラ見えて興奮してドキドキしたんだと思いますよ。やらしいです。クレイグさん」
と言ったら
「えっ…」
と絶句し変な汗掻き始めた。
「まぁ別に夫に見られたくらいで怒りませんよ。夫婦でしょ?馬鹿らしい」
と言うと
「は…はぁ…でもまぁ…そこそこは普通にあるんですね」
と言うからガツンと頭突きかました。
「そこそことか言うんじゃない!!私の胸は村で2番目だ!!」
夫は痛がり地面を転がった。
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