第28話 宇宙船材料ガチャSSR

 宿敵、究極暗黒武将生命体であるAEマサムーシを追うために必要な宇宙船の建造は紛糾した。間寺星に住むものは農民だろうが忍者だろうが皆それなりの技術力を有しており、基本的にありとあらゆる万物を宇宙に飛ばすことができる。


 しかしそれ故に、皆が皆、それぞれが好きなものを好き勝手に持ち寄るので現場は大混乱に陥っていた。カレーにジャガイモを入れる入れないで対立する人っているじゃん?大体あんな感じだ。



 そして、ユミーコとPJマサムーシも初めての口論を交わしていた。

 

 パーフェクトでジャスティスなマサムーシはその名に違わず、普遍的な正義感や理性的なものを良しとする性格で、極めて理論的な設計思想で宇宙船を作ろうとしていたのだが、それにユミーコが納得しなかったのだ。


 エンジンの出力、機体の強度や空力特性、動力機関の駆動機構、そして暗黒武将軍に対抗するための武装などを重視するPJマサムーシに対して、ユミーコは色味がどうとか、フォルムが美しくないとか、操縦室の内装が気に喰わないとかで。


 宇宙は広しと言えども、亜光速イオンスラスターが可愛くない、という理由で喧嘩しているのはこいつらくらいのものだろう。


「だから何度も言わせないでよ!黒地に青なんて映えないわ!地味すぎ!どうせなら金とか赤とか、目立つアクセントにしなきゃ!それに何よこのパイプ、ごちゃごちゃしてて醜いったらありゃしない。デザインセンス皆無よ!」


「ユミーコ、我慢しろ!エネルギー効率を高めるにはこの形状にせざるを得ないんだ。塗装をしてもどうせ熱でやられてしまう。それにそのパイプは冷却液の循環用だ!無かったら爆発するし」


「そんな事判ってるわよ!でも可愛くないのはイヤ!!ぷんすか!マサムーシさまのばか!短足!甲斐性なし!天パ触覚!!(天然パーマ触覚)」


 ユミーコは言いたい事を言いたいだけ言うと、泣きながらその場を走り去った。


 無茶な注文をふっかけていたのは、恋する相手の困る姿を見たいという悪役令嬢星人ならではの複雑な乙女心。大好きになればなる程、相手を試さずに居られないという悲しい性だった。

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