第4話 第3次・間寺宇宙一揆

「大将!イカ!」「マグロ!」「俺はカンパチ!」

 威勢の良い掛け声と共に次々と発貫していく寿司型の宇宙船、スシファイター。


 新鮮なネタ・エンジンを機体上部に搭載し、程好いほぐれ具合のシャリ・ボディで構成された戦国異宇宙最強の戦闘機だ。巨大な軍艦巻き型の宇宙軍艦から飛び出したスシファイターたちは、程なく宇宙一揆の勢力と会敵し、ドッグファイトに至る。


 対する宇宙一揆勢はほとんど生身で、レーザーや陽電子などの、ごく一般的な農具だけを手にして、スシファイターに立ち向かった。


 当然最新鋭の宇宙戦闘挺に敵うはずもなく、一方的にやられていく農民はたちは次々と落下し、間寺星の大気圏へ続々と突入していく。


 しかし宇宙一揆勢にも切り札はあった。


 ドドドドドドドドドッ!


 猛々しい走行音が宇宙空間に響いた。巨大で獰猛な二頭の宇宙牛が引く、宇宙牛車ぎっしゃの登場だ。古代文明の戦車も顔負けの迫力に流石のスシファイターたちも大慌て。追いかけ回される羽目になったのである。


「ンモォオオオォオォォォッ!!」

 

 追う牛。逃げる寿司。地獄の様な光景が繰り広げられる中、遂に一機のスシファイター『SF-KAN8』が追いつかれ、角の一撃で弾き飛ばされてしまった。


 撃墜されたスシファイターから沢山のシャリが吹く。そしてそのまま大気圏へと落下—―する瞬間、転生してきたユミーコが目の前に現れた。


「……ッ!!」パイロットが絶句する。避けきれるはずもない。


「なんなの!?一体なんなの!?どういうことなの!」


 スシファイターに正面衝突されたユミーコはそのまま諸共、大気圏へと落ちていった。

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