第3話 戦国異宇宙武将、間寺タカムーネ

 宇宙武将たちが銀河に割拠し、覇権を争う異宇宙戦国時代。


 間寺マデラー星の領主、間寺までらタカムーネはかなりの圧政を敷き、宇宙百姓たちを苦しめていた。

 

 今年度の政策は『年貢を180%増やせ』だ。性質の悪いことに、タカムーネは180%の増量を「八割増」と勘違いするタイプの男だった。つまり本来なら例年の180%を取り立てるつもりで、これはタカムーネにしては温情ある措置であったのだが、結果的に去年の280%という年貢を課せれた農民たちは、さすがにもう耐え切れなくなった。よくわかんなくなってきたのだ。


 ついに堪忍袋の緒が切れた百姓たちが、その堪忍袋を振り回しながら雄叫びを上げ、無策極まりない領主への反抗を決意する。 

「んもぅ我慢でぎね!領主さまに直訴!直訴だぁ!」

 乗るしかない大波。一大ムーヴメントとなった直訴が、やがて武力を伴った一揆へと変わるのに、そこまで時間は掛からなかったのである。



「タカムーネさま、安元アモット星領主、安元あもとヨシターダ候から書状通信が」


 間寺星の衛星軌道上に浮かぶタカムーネの居城ステーションの天守閣で、タカムーネは家臣からの報告を受ける。りっぱなちょんまげ型の触覚は天井にまで届き、その偉さは一目瞭然だった。


風津フーツ之国に宇宙鬼が現れ、暴れているとのこと。援軍の要請が……」

「捨ておけ。そんなことより、農民どもの叛乱はどうなっている?」


「は。我が宇宙艦隊が防衛線を張り、迎え撃つ用意を整えております」


 畏まった家臣に、タカムーネはにやりと笑った。

「くくく。農民どもめ。寿司型宇宙戦闘挺の性能あじ、とくと喰らうがいい」



 こんな感じの間寺軍と農民一揆の宇宙戦闘の真っ最中に、転生したユミーコは放り込まれる事になるのである。

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