第4話 ゆめ

ゆめをみました

ぽっかりとうかんだつきをみあげて

ないているゆめでした


かなしくなんてないのに

つらくなんてないのに


ぽろぽろ、ぽろぽろとなみだはあふれて


やだな。

なんでないてるのかな。

ぜんぜんへいきなのに。


ごしごしとかおをふいて

いっしょうけんめいえがおをつくって


でも


なみだはぜんぜんとまらなくて


あぁ

なんてきれいなおつきさま

ぽっかりとうかんで

しずかにかがやいて


あなたはなにをおもっているのですか?

そんなひろいとこにひとりきりで

さみしいとおもったことはないのですか?


くすり、と

つきがわらったようにおもえました


ほんとうにさみしいのは

さみしいということをしらないひとのことだよ


ほんとうにかなしいのは

かなしみをしらないひとのことだよ


つきはしずかに

そうさとしているようでした


ぼろぼろとなみだがこぼれて

やっぱりとめられなくて


だめだね。

かくせないね。


だっておつきさまはきれいだから

いつでもいつでもきれいだから


あのひとがいってしまって

ほんとうはとてもさびしくて


でも

しらないふりをしていたの

へいきだよってわらったの


とおくてもとおくても

にどとあえないってしってても


あのひとのためじゃなくて

わたしのために

しらないふりをとおしたの


でもね

いいよね

おつきさまはきれいだから

いまはないてもいいんだよね


ぽろぽろとこぼれるなみだを

つきがしずかにてらしていました


なみだのしずくは

よるのやみにはじけて


きらきら、きらきら、かがやいていました


あぁ、なんてきれいなんだろう


かなしいけれど、つらいけれど

でもこんなにきれいだから


だからがんばろう

あしたはもういちどわらってみよう


こんどはほんとのえがおで



ゆめをみました

ぽっかりとうかんだつきのしたで


しずかにねむるゆめでした

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