盤面

「われわれとしてはそれ以上の譲歩をするわけにはいけませんな」

 ラウブホルツ王国外交団代表である、ラスートラスは机を叩いてそう言った。

 霧島きりしま男爵だんしゃくはウンザリしながら、しかし帝室の代理人エージェントとしてきているので出ていくわけにもいかず、大荒れの会議を眺めている。

 すると、秘書が肩を叩いて話しかけてきた。

「男爵、お電話です」

「会議中だぞ」

「しかし、緊急の用件だそうで」

「わかった。失礼します」

と、謝りながら会議場をでて電話のある部屋で、霧島男爵はイライラしながら、電話に出た。

「なにがあったかね?」

「大変です、ウーロン刑務所が全棟停電となって、さらになにものかの襲撃とそれに連鎖して暴動も発生したようです」

「なんだと」

 絶句してしまった霧島男爵に、追いうちをかけるような報告は続く。

「おそらく停電からして人為的なものだとは思われますが、なにぶん現場が混乱しているようで……」

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