聖域都市その2

結論オチから言うと、キーティング議員の命を奪ったのは、ただの弾ではないみたいね」

と、鑑識の眼鏡少女は亜季に言った。

「え、じゃああの眉間の穴はなんなんですか?」

「うん、まあ理窟としては超電磁砲と同じさ」

「?」

「つまり、今回の場合は銀貨なんだけど、それをものすごい、それこそ音速以上の速さでキーティング議員の眉間にぶちこんだんだ」

「え、ということは……」

「そう、つまり『』というのかな、そういう奴の仕業ということさ」


クシュンッ

「なあに、真琴まことさん、どうしたんです?」

「いや、ニャンでもないよ」

と、くしゃみをしたショートカットに猫耳の学生である少女は言った。

 彼女と同じ制服を着ている後輩は

「ふうん、それなら、良いんですけど」

と、不満そうに返す。

「ふふ」

 二人のキャッキャした雰囲気に、対面にいた猫耳少女が思わずふきだす。

 ばつが悪くなった真琴は、彼女に尋ねた。

「それで?

くまさん、私ににゃんの用にゃ?」

「うん、真琴ちゃんに頼みたいことがあるんだけど……」


 口から血を流しながら倒れているキーティング夫人を見ながら、崇は係長に報告している。

「どうやら、目的を達成したことで満足して、歯に仕込んでいた毒を飲んだようです」

「そうか」

「遺書もありました。『故郷の寺院に埋葬してほしい』と」

「彼女は確か、キーティング議員が議員になる前、ムングに従軍中に現地で見つけたとかなんとか」

「そんなことが……」

「ロムさんが、あそこのことは詳しいから、彼に埋葬を任せよう、しかし」

と、係長は首を軽く振って続ける。

「結局、彼女は『キーティングの夫人』というから逃れらねなかったということか……」

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