186 遠回りな人探し
「ミイナさん、町の方へ行ってみますか?」
そう、ミイナ
「は、はい…。なんだか緊張します…。」
なんだかかしこまった
ちなみにミイナ姫と俺が2人きりというのは、実際のところ
―――いや…その美女というのは、その言葉のあやで…。
自分の想像で自分の首をしめた。どう着地してもどちらかの失礼にあたるという、最悪の状況に追い込まれる。口に出してなくて本当によかった。
「コウタ先生、どうかされましたか?」
変な
「ちょっと歩き疲れまして…あはは…。」
適当に
「コホン。それでですね、王国のギルドに確認したところ、王子さまは冒険者としての一面もお持ち、とのことでした。」
友好関係にある国の関係者とはいえ、詳細な予定までは教えてもらえなかった。もちろんそれは
冒険者の一面もお持ちということ、それはすなわち「ギルドで待っていれば会えるかも」ということ。
「冒険者さんが
どうされますか、という視線を送る。
「そ、そうですか。では、ギルドへ…。」
消えそうな声でミイナさんが呟く。そしてこの表情は記憶にある。無理をしているときのエリさんそっくりだ。
「あの、あまり無理をなさらないでくださいね。冒険者としてお仕事をされているところ、そこを遠くから見る…という手もありますし。」
「…コウタ先生、お優しいのですね。…エリちゃんが
「あ、いや、その…。」
困った。ちょっと目線を下に
「ふふっ、照れやさんですね。コウタ先生は。」
どうやらからかわれていたらしい。なんだか複雑な気持ちだが、ミイナさんが元気なようでなにより。ええ、なにより。…帰ったらエリさんに愚痴ろうかな。
「では…明日、
しかし、カメラがない世界ってこういうときに大変だ。お見合い写真のひとつでもあれば良いのだが、当然にない。ミイナさんも俺も、コウキ王子のお顔を知らない。探すにしたって骨が折れる。手がかりがあれば良いのだが。
「…?もしかして、どうやって探すんだろうとか思ってます?」
「…はい。」
心を読まれた。これが
「大丈夫ですよ。王子さまが目立たないなんてこと、ありませんから。」
言われてみればそうだった。このお姫さまがちょっと特殊なだけで、王族が街中を歩けば騒ぎになるのが自然だ。ちょっと仕返しにそんなことを言ってみようかとも思ったが、その勇気は持ち合わせていなかった。
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