185 ピラニアとシャコと王子さま
「すみません、急なことで…。」
「いえいえ、
ただ、すべての情報が公開されているわけではない。そしてこれは
「それにしても魔法というものは素晴らしいですね。うちのせがれが魔法使いを目指してまして、父親なりにいろいろと勉強はしてみたのですが…驚きの連続でした。魔法が世界に広がり、モンスターの
冒険者証を受け取る俺。この世界では、ありとあらゆる場面で冒険者証を使う。あの時登録できて、本当によかったと、心の底から思っている。何より、エリさんに出会えたし。
「ありがとうございます。皆さん、順番を守って通ってくださいねー!」
「はーい!」
元気の良い声が返ってくる。俺が死にそうになりながら歩いた道なのに。これが現実か。ちなみに学生さんの防御力の平均、800くらい。要するに俺の800倍の体力。もう、泣きたい。
■
リンゴ王国は海に面した国であり、
それはさておき、海に面しているということは、海からの襲撃を常に警戒しなければならないことを意味する。現実世界ならばともかく、この世界にはモンスターがいる。何ならうじゃうじゃいる。ピラニアが巨大になって
―――大変には大変なんだけど…。
魚介類には魚介類なので、おいしいのだ。しかもレベルはそんなに高くない。となれば冒険者にとって、絶好の狩り場になるわけである。ゲーム風に言うならば、経験値稼ぎの穴場スポットみたいな感じ。おいしいものを食べられるという一石二鳥な場所なのだ。
「では皆さん、自分の部屋を確認して、明日に備えてください。この後は自由時間ですが、怪我などしないように気をつけてくださいね。」
「はーい!」
元気の良すぎる反応が返ってきた。逆に心配になるのは過保護というものなのだろうか。ちなみにお世話になる宿屋さんは、海のそば。つまり、経験値稼ぎにはもってこいというわけだ。
―――魔法はなんだかんだで実戦が一番だもんね。
俺みたく防御力1では危険すぎるが、ここにいる学生さんたちはある程度の防御力がある。低レベルモンスターから攻撃を受けても、そんなにダメージはない。安全を確保しつつ、実戦経験を積める素晴らしい環境なのだ。
…という言い訳を済ませたところで、俺はもう一つの課題解決へと向かう。
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