086 届け出
「じゃあ、エリさん。
「はい。」
「よろしくお願いします。」
場所は、先日完成したばかりのギルド出張所。お家から
「はい、お
「ありがとうございます!」
この世界に結婚式という文化はないらしく、ギルドに届けを出すだけで終わり。こうしてエリさんと俺は、はれて夫婦となったのだった。
――――――キャウン!キャウン!
「わたあめ」はジャンプして
「コウタさん。私、とーっても幸せです!」
エリさんが
■
「おじいちゃん、ただいまー。」
「ただいま戻りました。」
こんなに幸せ気分の帰宅は初めてかもしれない。外ではひと目があるので、あんまり、その、いちゃいちゃしづらかった。
「おー、出してきたかい?」
「はい。これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそじゃ。しかし…エリとコウタが結婚するとはな…。まさかエリ、最初からそのつもりで連れてきたのかい?」
コロンさんが、エリさんのことをからかっている。ちなみに俺は、ちょっとだけそのつもりがあった。さすがに結婚まで進むとは思っていなかったが、お付き合いできればうれしいな、くらいの気持ちはあった。
お付き合いを始めるまでは、結構かかった。お互いそれなりに意識はしていたともうのだが、なかなか言葉にならなかった。あのもどかしい日々も、もう思い出の世界である。
「もう、おじいちゃん…うーん、でもちょっとだけ…。」
どうやらエリさんも同じ気持ちだったらしい。うれしくてエリさんの方を見ていたら、目が合ってしまった。いつもなら
―――前言撤回。やっぱり緊張する。
「見つめあいよって、もー。まあ、良いんじゃが。」
――――――キャン!
「ほれ、わたあめがやきもち焼いておるぞ。あ、そうそう忘れんうちに。学校の説明会がこの後あっての。エリ、悪いがコウタも
すっかり忘れていた。そう、俺、教授になるんだった。
「そうですか…コウタさん。お仕事、がんばってくださいね!ぎゅー。」
エリさんがハグしてくれた。もう、幸せ。とけちゃう。
「コホン。では、行こうかの。」
「は、はい。いってきまーす。」
「いってらっしゃーい!」
エリさんに手を振られ、
■
――――――とある建物の地下
不自然な場所に置かれた
「くそっ!またしても失敗か…。あのダンジョン、魔法使いでは攻略できんはずだろうっ!」
声の主は身を隠しており、その姿は見えない。
「申し訳ありません…。どうやら、既にダンジョンに飲まれていた者がいたらしく…。」
ローブを着た男が、
「もはや
「…
男が
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