083 実験の結果
―――料理って、こんなに大変なのか…。
やっとハンバーガーらしき
前言
「これは…
「そんなことないですよ!…あ、ほら、パンは上手に焼けてるじゃないですか!」
途中から優しく見守っていてくれたエリさんが、
「…もっと、がんばります。」
さすがにへこんだ。さすがに、もう少しできるものだと思っていた。
「おはよう。おや、そうか。今朝はコウタが料理かい?」
コロンさんがやってきた。キッチンの
「…はい…。」
「うむ?どうしたんじゃ?…これは…悲劇じゃの…。」
「お、おじいちゃん!」
「あ、すまん、すまん…。あ、ほれ、パンは上手に焼けておるではないか。」
―――…市販のパンです。
■
結局、エリさんがレタスのスープをつくってくれたので、なんとかまとまりを取り戻した。
「…すみません。」
「いいんですよ。気持ちだけでもうれしいです。」
ショックは大きかったが、このままへこんでいるわけにもいかない。早く食べて、気持ちを切り替えよう。
「じゃあ、いただくとするかの。」
「いただきまーす。」
見た目はともかく、
「あ、おいしい。おいしいですよ。」
エリさんが先に
―――やっぱり料理は味だよね、味。
「うむ。おいしいぞ。見た目はともかく。」
コロンさん、
■
「それで、ダンジョンはどんな感じじゃった?」
さっきの悲劇ですっかり忘れるところだった。その話をしなければならない。
「はい。俺の他にも3人
なんだかとっても不思議なダンジョンでしたよ。武器をくれたり、攻撃力や防御力を上げたりしてくれるんです。結局それが
「へー。じゃあ、コウタさんも攻撃力とか上がったんですか?」
上がっていたらチート体験ができたのだが、そうは
「残念ながら…。でも、おかげで攻略の
ゲームならば攻略サイトを見ていたかもしれない。そして攻略サイトがあれば、一瞬だっただろう。
「え?2日…ですか?」
エリさんが不思議そうな表情をしている。何かおかしなことを言っただろうか。確かに
「ダンジョンのなかでは、時間の進み方が違うことがあるんじゃよ。コウタがダンジョンにおった時間は、半日くらいじゃぞ。」
「そうなんですか…。3倍ってそういう意味だったんだ。」
やっとウッドさんの言葉の意味が理解できた。そういえば、体内時計が
「それで、どうやって攻略したんじゃ?」
コロンさん、
「最初は強化
攻撃力99999に強化魔法をかけてるのに倒せないなんて、何か変じゃないですか?それで、いろいろ考えてみたんです。
そうしたら、俺だけ特別な力を与えられていないことが引っかかりまして。元のままでも攻略できるから、特に変化がなかったんじゃないか、と思ったんです。」
「なるほど。コウタの
さすがコロンさん。
「はい。でも、さすがにすごい攻撃で、俺にはかいくぐる自信がなくて。もう一人いた攻撃力1の人にお願いしたんです。
結構
「まさか、魔法を
「そうなんですよ。継続ダメージの魔法とかも考えたんですけど、どう調整しても2以上のダメージになってしまって…。直接
最後のは
「一応、調査が始まるみたいですけど…エリさんも気をつけてくださいね。…エリさん?」
なんだかエリさんの様子がおかしい。何かまずいことを言ってしまっただろうか。
「…あの…2日ってことは…ダンジョンに
「はい。セーフゾーンで、テントを張って。」
「その…そこに女の人とかは…?いえ、別に疑っているわけじゃないですよ。その…ちょっと気になったくらいで…。」
そういうことか。2日なんて言わなければ良かった。もちろん何もない。何もやましいことはない。
「1人いらっしゃいましたけど…大丈夫、何もしてません。その…俺にはエリさんしかいませんから…。」
「…コウタさん…。」
助かった。いや、助かったはおかしい。誤解されなくてよかった。
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