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 参拝を終え、僕らが神社から先輩の家に帰り着いたのは、2:00近くだった。


「ねえ、ハマちゃん」


 先輩が少し思いつめたような顔で言う。


「はい?」


「……」先輩はしばらく口ごもっていたが、やがて意を決したように顔を上げ、言った。


「前に、ハマちゃんに『私のヌードを撮影して欲しい』って言ったこと、あったよね」


「……ええっ!」


 それは、確かに……そうだ、夏の地区大会の日、カラオケ屋で二人っきりになって、先輩に告白された時だった……


「それ、本当にお願いしてもいいかな?」


「……!」


 なんてことだ……


「先輩、マジで言ってます?」


「もちろん」即答だった。しかも真顔で。


「……い、今からっすか?」


「あ、いや、さすがに今日は遅いし、家族が家にいるからね。こちらがいろいろと準備が出来たら、また連絡するわ。だから……」


「……わかりました」


 おずおずと僕がうなずくと、先輩は安心したような笑顔になる。


「それじゃ、よろしくね。今日はありがとう。おやすみなさい」


 そう言って素早く僕の右の頬にキスすると、先輩は身を翻して玄関に向かい駆けていく。


「!」


 頬に残る、柔らかい先輩の唇の感触。それは僕の心に、一つの予感めいたものを惹起じゃっきさせた。


 たぶん、その日は……撮影だけでは終わらない。きっとその後、僕と先輩は……


---


 冬休みが終わり、毎年恒例の新体操クラブの演技会。今回は良太はお祖母ちゃんを含めたファミリーでやってきたが、残念ながら令佳先輩と三崎先輩は欠席。その代わりというか、なぜか由之がやってきた。アヤちゃんから直接「見に来てください!」と言われたらしい。

 実はその前に、あまりにも由之がアヤちゃんアヤちゃんとうるさいものだから、僕が彼女に「由之に連絡先教えていい?」と聞いたら、なんと彼女の方から「だったら由之センパイの連絡先教えてください! 私、直で連絡しますので!」と言われてしまったのだ。どうやら彼女は、あの初顔合わせのときに由之が発したアツいセリフに心を動かされたらしい。それで……そういうことになった、と。ま、良かったんじゃないだろうか。


 令佳先輩からの例の「撮影」の連絡は、なかなか来なかった。だが……


 1月も終わりごろになって、それはようやく僕のLINEに飛び込んできた。


 <[撮影、お願いします]


 そして……とうとうその日がやってきた。


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