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 審査点が表示される。Dが8.35……そしてEが……8.70! ペナルティは0点、すなわち総合点数は……過去最高の17.05!


 ってことは……


 ベンチの我が部のチームメンバーから歓声が上がる。そう。


 令佳先輩、個人戦三位入賞!


 これは我が部始まって以来の快挙だった。今まで部のメンバーが入賞したことは一度も無かったのだ。


 ただ……


 県大会に進むことが出来るのは、二位の選手まで。だから……


 少なくとも、高校での令佳先輩の選手生活は、終わった。


 これでもう、彼女の晴れ姿は見納めだ。


 そう考えるととても残念だが、先輩だってやれるだけのことはやったんだ。アポテレズームレンズ越しに見る彼女の顔は、入賞の喜びで輝いている。


 表彰台に登った令佳先輩の笑顔を、僕は300mmで切り取った。


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 閉会式が終わり、どのチームも三々五々解散していく。機材を片付けた僕は、階段を駆け下りてフロアに向かった。


「ハマちゃーん!」


 いきなり、令佳先輩が駆け寄ってきた。


「どうだった? 私の演技」


「最高だったっす」僕は応える。「今まで見てきた中でも、ベスト中のベストだと思います」


「そっか」先輩は満面の笑みを浮かべる。「ハマちゃんにそう言ってもらえるのが、一番嬉しいよ。だってハマちゃんは私自身よりもよっぽど私の演技を知っているんだもんね」


「先輩……」


 僕だって、先輩にそう言ってもらえると、とても嬉しい。だけど……


 こんな風に、この人の笑顔を間近で見られるのも、これが最後の機会なんだろうな。


 そう思うと僕の胸が、キュン、と苦しくなる。


「ねえ」いつの間にか、令佳先輩が僕の顔をのぞき込んでいた。「ハマちゃん、これから時間、ある?」


「え? ええ……特に、予定はないっすけど」


「だったらさ、これから今回の選手メンバーでカラオケ行って打ち上げするんだけど、ハマちゃんも来ない?」


 嘘……


 こんな風に先輩に誘われたのは、初めてだった。僕は困惑する。


「ちょ、ちょっと待って下さいよ、僕、選手でも何でもないのに……打ち上げに参加して、いいんですか?」


「いいに決まってるじゃない」即答だった。「君はもう我が部のコーチとしてみんなに認められている存在なんだから。みんな君にも来て欲しい、って思ってるのよ。だから、君が来ないと私がみんなに責められることになるの。というわけで、君にもぜひ来て欲しい……てか、来なさい」


「そ、それは部長命令ですか」


「そんなところね」


「……」


 そこまで言われたら、断るのも悪い気がする。いや、打ち上げに行けば、また少しだけ先輩と一緒にいられるんだ。そんな機会は逃せないだろう。


「了解しました」僕が敬礼すると、先輩は少しほっとしたような表情になる。


「良かった。それじゃ、5時に現地集合ね」


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