さょならなんかわ言ゎせなぃ


朝になったけど相変わらず周辺は薄暗い


歩いてると洞窟が見えた

ナレーシャが言った

「この先の洞窟を抜けると闇のドラゴンの居場所になります」

洞窟めっちゃ暗い

クマが言った

「中は光がないと進めないね」

「りょ、あたし照らす」

明るいやつって言おうとしたらウェイスが止めた

「いや、待て勇者。俺が照らす」

「え、なんで」

「……昨日の戦いで分かった。俺は戦力にならない。これから勇者は闇のドラゴンと戦う。魔力は温存しておいたほうがいい」

「ウェイスさん、大丈夫ですか?」

「フン、俺はこんな程度少しも辛くない」

「やるじゃん」

「まあな」

そんなことでウェイスの魔法で先を進むことにした


洞窟はすごい広い

外見えないから昼とか夜とか分からない

窓あればいいのに

めっちゃ歩いたけど全然出口見えない

ナレーシャが立ち止まった

「おかしいですね」

「どしたの」

ナレーシャが考え込むように言った

「私たち、歩き過ぎています」

「どういうことだ?道を間違えたか?」

「いいえ、この洞窟は一本道だと伝記に記されています。逸れるような脇道も見当たりませんでした。長さも本来なら既に出口に着くはず。それなのに少しも出口が見えません」

「え、どうすんの」

その時ウェイスが叫んだ

「おい、気をつけろ!」

「なに急に」

急に上から岩が落ちてきた

あぶなっ

「くっ!ライト・アロー!」

ウェイスが間一髪で岩を魔法で砕いた

光に照らされてでかいコウモリのシルエットが見えた

クルマみたいなデカさ

ナレーシャが言った

「あれは……!この洞窟の番人のデカいコウモリです!」

名前そのままなんだ

デカいコウモリはキシャ―ッって威嚇した

うるさ

「こいつの魔力で散々迷わされてたわけか」

ウェイスが言った

コウモリがシャーっと威嚇した後言った

「ギギギ……愚かな人間よ……!ワシの魔法で貴様たちが惑う姿をずっと見ておったわ!」

「こいつもしゃべるタイプなんだ」

ナレーシャに聞くとナレーシャが頷いた

「デカいコウモリは強い魔力を持ちます。それに見かけによらず頭が良いです!」

「ヤバみゴブリンとどっちが強い?」

それを聞いたデカいコウモリが言った

「フン、あんな下等生物相手じゃないわ!昔からあいつは成績でワシに勝てなくてな!あいつの好きな女もワシの方を好きになる始末!そのくせ努力家で、夢を共に語らったりしてな……本当……本当にあいつは下等生物だった……」

デカいコウモリ俯いちゃった

クマが声をかけた

「な、なんかごめん」

「黙れ!人間風情が情けをかけるな!」

魔コウモリが羽を勢いよく広げた

風が起こって石が飛んでくる

ウェイスのガードで弾いた

「これから闇のドラゴン様と大量殺戮を行う!そして血の海に世界を染める!それがワシの夢!」

めっちゃやばい夢語り出した

「え、それ楽しいの」

「愚問だな!支配こそが魔物の本能だ!」

「あたしはやだな。殺りく?とかしたらTwitterとかめっちゃ炎上しそうだし」

「黙れ!ワシに人間風情が語るな!」

デカいコウモリが口を開いた。

口の中が光って魔力が集まる


コォオオオオ・・・


「ま、まずい!」

ウェイスがそう言った

デカいコウモリがビームを吐き出した

あたりが一瞬明るくなった

やば

「守るやつ!」

あたしは下敷きをイメージして目の前にガードを出した

ガードで守ったからあたしは無事だった

ガァアアアアン

あたりの岩が砕けた


そのときウェイスが言った

「勇者!ウェイ!」

ウェイステンションめっちゃ上がってる

「え、何?ウェーイ??」

聞き返すとウェイスがもう一度叫んだ

「上だ上っ!頭上だッ!!」

あたしは上を見た

目の前に岩があった

え、近

ナレーシャが悲鳴をあげた

「勇者様ッ!」

ぶつかるじゃん

やば

あたしまた死ぬの??


「くまガードッ!!」


クマの声がした

透明な黄色の壁が頭の上にできた

岩が弾かれた

あたしは無事だった

ウェイスが驚いてクマを見た

「クマ……お前、バリアを」

「僕、転生者に手を出したらダメなんだけど……」

クマが困ったように言った

「なんか、手を出しちゃった」

あたしはクマに言った

「さんきゅー、クマ」

「フン!命拾いしたな小娘!次はそうはいかんぞ!」


あたしはコウモリに向き合った

コウモリってどう倒すんだろ

「勇者様!デカいコウモリはメンタルが弱点です!メンタルを攻撃してください!」

え、あたしコウモリの悪口言ったことないけど

コウモリの悪口ってなんて言えばいいんだろ

「羽あるのウケる」

クマが言った

「悪口?それ」

あたしはウェイスに言った

「ウェイス悪口得意じゃん」

「は、はぁ?べつに得意じゃない!」

「なんかいつも言ってる感じでコウモリにもやって」

ウェイスが苦い顔をした。

「いつもやってるわけじゃない。……ったく、悪口だろ?そういうのは……」

ウェイスがコウモリに言った

「フン、こんな暗い洞窟汚らしいお前にお似合いの場所だな!」

「何い!黙れ、貴様!」

コウモリがウェイスを睨んだ

あたしは拍手した

「ウェイス上手」

「嬉しくねえ……」

ナレーシャがウェイスに続いた

「そうです!こんな暗い洞窟の中で主みたいな顔していても誰もあなたを尊敬しませんよ。もっと広い視野を持とうと思わないんですか?大体、探索者を散々迷わせて歩かせるのを楽しむなんて陰険の極みです。そんな下らないことが楽しいなんてよっぽど娯楽を知らないんですね」

コウモリがうなった

ナレーシャ鋭い

「ぐううッ……!黙れ人間ッ!」

「先ほどから黙れ黙れって同じことばかり返すんですね。普段から誰とも会話しないから言葉が出てきてないじゃないですか」

「……だま……うるさい」

コウモリ小声になってきた

ウェイスが言った

「……あいつ、すげーな」

ナレーシャつよ

「こんな暗いところに引きこもって殺戮なんて言い出したって気持ち悪いだけです、大体殺戮起こすのは闇のドラゴンであってあなたではありません。自分の手柄の様に言わないでください」

「……」

コウモリ黙っちゃった

「それにあなた今までこの洞窟の中で引きこもっておきながらどうしてそんなに……」

ウェイスがナレーシャの肩に手を置いた

「お、おい、その辺にしておけ」

「ぐう……貴、様……!」

コウモリがしゅるしゅるっと小さくなった

「ちっさくなった」

ウェイスがそれを見て言った

「自尊心を失って魔力を放出したな」

魔力ってそういうもんなの?

小さいコウモリを拾い上げた

羽パタパタさせてる

かわいい

「どうしよ、これ」

「勇者様、すり潰しましょう」

ナレーシャが拳を握った

ブチ切れてる

ウェイスが言った

「お、おい、そんなにしなくても……」

「私、怒ってます。気が収まりません。もう少しで勇者様が死んでしまうところでした」

ナレーシャが俯いた

「……それに、クマさんが……」

言われてクマのほうを見るとクマの身体が透明になってる

「え、消えかけてる」

なんかスクリーンに映してるみたい

風景が透けてる

「なんで消えてんの?」

ナレーシャが言った

「神様の使いは転生者に直接魔法をかけるのは禁忌なんです。先ほど勇者様にシールド魔法を張りました。だからクマさんは……」

「え、やば、どうしよ」

クマ消えちゃう

クマが呆れたような顔をした

「こんな時も語彙力ないね……」

「何であたしを守ったの?」

「分からないな……気が付いたら守ってた」

クマが苦笑いした。段々薄くなってゆく

「え、待って」

「散々だったけど悪い旅じゃなかったかも。変な冒険だったけど」

クマが目を閉じた

段々と薄くなってく

そんな・・・

「闇のドラゴン、ここまで来たら倒してよね」

クマが最後に笑った

「じゃあね、勇者」


パアアアア


クマがキラキラして消えた


ウェイスとナレーシャが叫んだ

「クマっ!」

「クマさんっ!」


クマがいなくなった空間はぽつんと暗くなった

「クマ・・・」


「えっと・・・戻すやつ!」

あたしがそう言うとクマの姿がスーっと戻ってきた

「……あれ?」

クマの身体が透明から元通りになった

「よかった」

クマが自分の身体を見下ろしてぽかんとした

「えっ?これ魔法で引き留められるものなの?こんなすぐ戻せるの?」

ナレーシャが涙ぐんだ

「クマさん……よかったです」

「クマ……良かった……ううッ……」

ウェイスめっちゃ泣いてる

あたしも泣きそ

「……なんか、温度差すごいな。僕は戸惑いと恥ずかしさが感動を上回ってるんだけど」

「お帰り、クマ」

あたしが言うとクマが居心地悪そうに言った

「……うん、まあ……ただいま」


あたしはコウモリに言った

「うちとくる?」

「連れて行くんですか?本気ですか?」

ナレーシャが目を向けるとコウモリが手にしがみついてきた

めっちゃトラウマになってる

「クマ戻ってきたしさ、あたしも死ななかったし。チャラってことで」

「……勇者様がそう言うなら私は反対しませんが」


コウモリはゲットすることにした

クマが聞いた

「……なんで仲間にしたの?」

「え、なんかノリ」

「闇のドラゴン倒す手前でこんな急に仲間増えることある?しかも今さらマスコット枠だよ?」

ウェイスがクマに言った

「勇者のことだ。考えがあるに決まってるだろう」

「目を覚ましてよ!絶対何も考えてないよあの人!」

「名前どうしよ。あ、コウモリだからウモリにしよ」

クマが言った

「なんか気持ち悪い名前の抜き取り方だな……」

こうしてウモリを仲間にした



あたしたちは洞窟を出た

空真っ暗だけど洞窟出た後だとめっちゃ空気おいしく感じる

あたしは深呼吸した

「空気美味し」

ウェイスが自分の口元をおさえた。

「淀んでいる……ドラゴンの闇の力で溢れてる……」

空気の感じ方が違う


洞窟を出た先は崖になっていた

その対岸に闇のドラゴンの城があった

ナレーシャが言った

「……いよいよですね」

みんな緊張してる

まあ、なんとかなるっしょ

あたしはいつもの感じでそう思った

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