遺伝子組み換ぇゴブリン


道は相変わらずどんよりとしていて暗い・・・

歩いていると道は林の中に続いていた

虫いたらマヂキモい。ピンチ。

そう思ってたけど虫出てこなかった

ウェイスが言った

「……森の中なのに静かすぎる。不気味だな」

背後でナレーシャが答える

「流石に闇のドラゴンの領域ですね。ここはドラゴンの魔力でこの地帯の生き物は逃げ出してしまったみたいです」

ウェイスが聞いた

「……お前、なんでそんなに汚れてるんだ……?」

ナレーシャは全身土まみれになってた

「昼食が終わった際に本当に虫がいないか確かめに土を2メートルほど掘ってました」

ウェイスが頭を抱えた

「途中いないと思ってたら……いつの間にそんなことしてたんだ!?」

「頑張れば見つかるかもしれないと思いましたがやっぱりいなかったですね」

「お前がそんなにアホだとは思わなかったな……!」

「私は勇者様を導くために正しい情報をお届けするのが務めです。そのためには疑問に思ったことは突き詰める主義なんです」

「虫が数匹出たところでなんの役に立つんだ!そんなことに体力を無駄に使うな!いいな!」

クマが言った

「ま、まあそれでも生き物がいないならここで何か襲われる心配はないってことだよね」

その言葉にナレーシャが首を横に振った

「いいえ、そうとは限りません。モンスターは普通の生物と違って闇の魔力に惹かれる性質があります。その上この地に長らく封じられていた影響で凶悪さが増していると思います」

「へえ、モンスターは元気なんだ」

ナレーシャが頷いて近くの木を指さした

「木々の爪痕が付いているのが先ほどから頻繁に見られます。樹木の傷み具合から痕跡はおそらく数週間程前のもの。比較的新しいです。生物ではないとしたらモンスターが付近を歩いていたことになります。気を付けたほうがいいです」

ナレーシャにウェイスが言った

「……お前バカだけどすごいよな」


たくさん歩いてたら薄暗くなってきた


ウェイスがあたしたちに言った

「時間も遅いし足元が暗いと危ない。今日は野宿だな」

「あ、それならあたし魔法で家出そ。庭付きの家にしようかな。プールも付けよ」

クマがぼやいた

「冒険感ないな……」

あたしは魔法で家を作ろうとした

えーと、なんか豪華なやつ

ベランダ5個くらいついてて体育館くらいの広いやつ

・・・

シーーン

「あれ」

ナレーシャが心配した

「どうしました?」

「なんか魔法がうまくできない」

クマが言った

「……ここが闇のドラゴンの領地だからかも」

「え、だめなの」

「多分君の魔法が抑え込まれてる。イメージが複雑な魔法は使えない」

「え、超すごい豪邸のこと考えたのに」

「君のイメージ力でそれは無理だと思う……」

ウェイスがそれを聞いて魔法を出してみる

「サンライズ・ライト! 」

ウェイスの手の中に懐中電灯みたいな光が灯った

「……確かに、魔法が使いづらいな。本当はここ一帯を照らそうとしていた。……それだけ使おうとしたらかなり魔力を消費する」

ナレーシャがそれを見て言った

「そういえば闇のドラゴンの領域は魔力が70.6%抑え込まれるそうです。困りましたね」

「じゃあ豪邸は諦めよ……」

あたしは豪華な家を作るのをやめた

「家でてこーい」

ぽんっと犬小屋を4つ出した

「ここに泊まろ」

クマが後ずさりした

「えっ、急に規模が下がったね……泊まるにしても犬小屋はどうかな?」

ウェイスがため息をついた

「仕方ねえな、今日はこれだな」

「そうですね……」

ウェイスとナレーシャが犬小屋に入っていく

「えっ?僕おかしいこと言ってる??」

クマが混乱した

ウケる

あたしも犬小屋に入った

体育館座りしたら結構快適

段ボールに入るのあたし好きだったな

今もやるけど


そのとき、犬小屋にバーンと何か当たった衝撃があった

うわ痛!

あたしたちは犬小屋ごとふっ飛ばされた

あたしは犬小屋が地面に落ちた拍子に転がり出た

なんかさっきまであたしたちがいたところに人影があった

めっちゃでかい。バスケ選手みたいな大きさ


仲間たちも犬小屋から出てきていた

「みんな、無事か?」

「ええ、大丈夫です、みなさん揃ってます」

「え、あれ何」

「敵だ。下がってな。……サンライズ・アロー!」

ウェイスが魔法を出して人影に光が飛んでいく

人影が照らされて姿が見えた

肌の色が緑かかった色をしてる

目つきめっちゃ悪い

背中に悪魔の翼みたいなやつ生えてる


ナレーシャが言った

「あれはヤバみゴブリン……!つよつよゴブリンの上位互換!」

ウェイスの攻撃はかわされた

「ちっ、素早いな」

「ねえ、あれ強いの?」

「レベルが違います。ゴブリンが独自の研究で生み出した遺伝子組み換えゴブリンです」

なんか大豆みたい

「ギギギ……人間が俺様に勝てるかぁッ!」

ヤバみゴブリンがそう言って笑った

「え、喋った」

ゴブリンがにやりと笑った

「貴様らの言葉など操るのも容易だわ!」

「気を付けてください……ヤバみゴブリンの知能は英検3級を取れるほどと言われています」

「え、めっちゃ頭いいじゃん」

ヤバみゴブリン東大入れる

ウェイスが言った

「フン、ゴブリン種族が喋るとはな」

「人間らの頭脳など魔族に比べれば劣っているわ!」

「ハッ、それは勝ててから言うんだな……グロウ・ライトアロー!」

ウェイスが光る矢を放った

ヤバみゴブリンがよけた

「くそっ!魔法のスピードが遅い!魔力が弱くなるせいで戦いづらい……!」

あたしも参加しよ

「あついやつ!」

炎の玉がゴブリンにとんだ

ゴブリンは笑った

「フン……」

炎を片手で受け止めた

「俺様はこの程度の魔力は聞かない。お返しだ、ファイア!」

バランスボールくらいの炎の塊が現れてバーンと弾けた

飛び散った炎が襲い掛かってくる

うわ、やば

「インフィニティ・ライト!」

ウェイスの光が包んで炎から守ってくれた

「さんきゅー、ウェイス」

「大したことじゃない……うッ……」

ウェイスが膝をついた

ナレーシャがそばに寄った

「まずいです……ウェイスさん、格好つけて平気なふりしようとしてますがマリョ残高がもうありません!」

ウェイスが呟いた

「一言多いなお前……」

「りょ、なるはやで片づける」

「片づける?舐められたものだな!選ばれしゴブリンの俺様に勝てるものか!」

「あついやつ!つめたいやつ!」

ドドーン

「効かん!」

ヤバみゴブリンは受け止める

クマが震えた

「まずいよ……どうやって倒せば……」

「え、簡単じゃん」

「えっ?」

「悪いけどあたしこうみえて頭脳派なんだよね」

「ま、まさか頭脳戦!?無謀だよ!ゴブリン以下なのに!自殺行為だ!」

「ギギギ……どうする気だ?貴様の魔法は受け止められる」

「作戦・・・えっとお・・・」

あたしはゴブリンに向かって走った

「どんな小細工も無駄だ!」


あたしは魔法を出した


「いっぱい打ちまくる!」

クマとゴブリンはぽかんとした

「え」


「あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!あついやつ!」


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


「ごり押しかよギャアアアアアアアアア!!!」


ヤバみゴブリンは死んだ


「やりましたね!」

あたしはナレーシャとハイタッチした

ウェイスが言った

「フッ……流石だ。また借りを作ってしまったな」

「貸し借りとかナシっしょ」

「だが……」

「だってうちら……ダチだもん」

「勇者っ……!」

ウェイスが涙ぐんだ

クマがウェイスを見て言った

「ちょろ……」


「ふあー、ちょっと疲れた」

あたしはあくびをした

「ねむ・・・」

「そうですね、もう休みましょう」

夜更かしは肌の大敵

ゴブリンよりヤバい

とりまあたしたちは今夜休むことにした

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