気流上々↑↑

オオオオ…


闇のドラゴンの城が向こうに見える

風の音やば

ウェイスが深刻そうに呟いた

「……すごいオーラを感じる。心臓が締め付けられる……」

「え?そう?何もないけど」

あたしピンピンしてる

ウェイスすごい顔が青い

「体調悪いの?」

「まあな。ドラゴンのオーラで気分が良くない。ここまで影響が来るとはな。……フッ、ドラゴンの魔力に近づいても平気なんて、やっぱりお前は勇者なんだな」

それを聞いてたナレーシャが言った

「……私、なんともないです」

クマも続く

「……実は、僕も」

「え……俺だけ……?」

「うん」

「……」

ウェイス黙っちゃった

「仕方ないですよ。ウェイスさんは繊細なところがあるので、ストレスとプレッシャーに耐え切れず押しつぶされて……」

慰めようとするナレーシャをクマがそっと止めた

「……もうやめてあげよう」


闇のドラゴンの場所崖に囲まれてる

どうやって入ろう

とりま魔法で移動しようとしたけど出来んかった

ないわー

クマが言った

「転移魔法が封じられてるみたいだね……」

「俺も空を飛べる魔法が使えるが全員を運んでいくのは無理だな」

「じゃあウモリに乗って飛んで行こ」

ウモリがキューっと鳴いた

「やる気満々」

「嫌がってるんだよ!ハムスター並みの大きさなのに不可能だよ。君一人でもぺちゃんこになっちゃうよ」

ウェイスが言った

「……いや、出来るかもしれない。勇者の魔力をこいつに入れれば。勇者、魔力を出せるか?」

「魔力?熱いやつをウモリにとばす?」

ウモリがキューっともう一度鳴いた

「殺す気か。違う。力の塊を放出させるんだ」

「どうやるの?」

「集中して指先に力をこめるのをイメージするんだ。針に糸を通したり、小魚の骨を一本ずつ丁寧に抜いていく感じだ」

ウェイスのイメージ庶民的

「んー、分かった」

あたしはイメージした

ボウッ・・・

光る塊が手から出た

「何か出た」

「それをウモリに渡せ」

ウモリに近づけるとウモリがその塊を食べた

するとウモリが魔法を飲み込んでキラキラ光った

まぶしっ

ウモリはデカくなった

これならうちらも乗れる

「ワシに頼らねば空ひとつ食べないとはな」

さっきまでキューキュー言ってたのにでかくなると喋るんだ

ナレーシャが言った

「人の魔力に頼って大きくなっておいて随分偉そうな口ぶりですね…」

ウモリ黙っちゃった

ウェイスが慌てた

「ナレーシャ!精神攻撃は今するな!コイツ魔力失って小さくなる!」

「あら、すいません。つい」


ウモリに乗って飛び立った

空飛ぶの楽し

「めっちゃ楽」

「……ウェイスさん、大丈夫ですか?顔が青いです」

「闇のドラゴンの邪気にあてられたようだ……」

クマが言った

「多分酔ったんだね……」

その時頭上になんか飛んできた

「うッ……伏せろっ!」

ウェイスの声がして頭押さえられた

髪ぐしゃぐしゃになる!ないわー

ナレーシャが叫んだ

「羽付きゴブリンですっ!」

あたしの目の前に羽生えてるゴブリンがたくさんいた

弓矢持ってる

可愛くない天使みたいでウケる

「……やっぱりそう簡単にはいかねえな」

ウェイスが顔が青いまま呟いた

ゴブリンが一斉に矢を飛ばしてきた

「ウモリ、いい感じによけて」

「分かっておるわ!」

ウモリが急上昇した

矢が下から追いかけてくる

ウモリは大きく一回転してよける

羽ゴブリンたちがこちらに叫んできた


「フン、図体だけが大きいコウモリなど怖くない!」

「洞窟の中に追いやられていた窓際魔族など仕留めるに容易い!」

「デカいだけのザコ」


「ぐううッ……黙れッ……!」

クマが焦った

「まずい!メンタル攻撃してきたよ!」

ウモリのスピードが落ちてきた

あたしはウモリに聞いた

「ウモリ、もっと早く飛べそう?」

ウモリが答えた

「キュー……」

ウェイスが言った

「ダメだこいつ自信無くしてる!」

「ゴブリンたちに追い付かれたらまずいですね」

「じゃあ、早くさせよ」

あたしはでっかい扇風機を出した

扇風機を乗せたらウモリがどんどん加速する

速度どんどん上がってきたやば

ゴブリンたちを振り切ってどんどん知らん方向に走ってく

後ろ見るとゴブリンたちがめっちゃ小さくなってる

「うわあああッ、勇者ッ!早すぎるだろッ!っていうか、どこ行くんだよ!」

「ウモリ、戻れる?」

聞くとウモリが大きく体を捻って回転して方向を変えた

ゴブリンたちがめっちゃ速いスピードで突っ込んでくるこっちを見て慌ててる

ウェイスが叫んだ

「このままだと群れにぶつかるぞ!」

「えーと、守るやつ!」

あたしはウモリの前にガードを出した

そのままゴブリンに突っ込んだ


ドゴーーーーーーーーン


全員のゴブリン達がきれいに吹っ飛んでいった

ストライク

あ、今の技ボウリング・アタックって名付けよ

めっちゃかっこいいじゃん

「キュー……」

そう思ってたらウモリがちっさくなった

ウェイスが焦ったように言った

「限界だ!今の恐怖でコイツのメンタルが折れた!」

急に空に放り出された

落ちるじゃんやば

「ライト・ウィング!」

ウェイスが叫ぶとウェイスの背中に光る翼が生えた

「くッ!」

ウェイスがクマとあたし、もう片方の腕でナレーシャを抱えた

「キュー!」

置いてかれたウモリが主張した

「飛べるだろ、お前は!」

ウェイスの翼でゆっくりと落ちてゆく

魔王の城に着地した

助かってラッキー

ほっとしたようにナレーシャが言った

「助かりました、ウェイスさん……」

「フン……」

ウェイスは金色の魔法の翼をバサッと閉じた。

「気を付けるんだな」

そう言いながら闇のドラゴンの城とは違う方向に歩いてく

「どちらに行かれるんですか」

「……少しな……うッ……!」

ウェイスが口元に手を当ててダッシュした

茂みに消えてゆく

クマが言った

「……カッコつけてたけど限界だったみたいだね」

「ウケる」


あたしたちはウェイスが戻ってくるまで闇のドラゴンの城の前で休憩することにした

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