第3話 土曜日


 その後も数枚のカードを使って実験をして徳香なりにルールを把握した。



 ステータスの変更は1か所のみでなく、例えば資金力とルックスというように複数個所できる。


 1度ステータスを変更すると2度目の変更はできない。


 カードによってステータスの上限があり、その上限を超える変更はできない。


 スマートフォンの他アプリには特別な効果はない。


 

 ルールは分かったが、いいカードを作るのはかなり難しかった。


 複数のステータスを上げた場合そのカードの保存ができなかった時にどのステータスが上限を超えてしまったか分からない。



 友人の紹介で知り合った前坂一まえざかはじめという会社社長の私に対する愛情というステータスを上げてみようかと思ったが、ステータスは1つも上がらなかった。


 スマホをいじりながら、惚れ薬のような効果はないのね、と徳香はちょっとがっかりした。



 仕事をしている間もカードの有効利用を考えていると、一週間はあっという間だった。


 土日は家で読書・ユーチューブ・ティックトックをヘビーローテーションするつもりだった。


 友達から男性を紹介するなどと言われていたが、失恋のこともありどうにも乗り気ではなかった。



 土曜日は昼の12時を過ぎるころ目が覚めた。


 金曜日の夜友人たちとオンライン飲み会をしていて部屋にはその時に飲んだビールが転がっている。


 目を細めて部屋を見渡す。


 「片づけるのめんど」


 そう言いながらも、一つ一つ拾っていき片づける。


 部屋にいるときは暖房をつけてさらに厚着をしている。


 少し動くと汗ばむようだ。


 ブランチになるお昼ご飯は買っておいた缶詰などで適当に済ませる。


 食べた、食べたとベッドにごろっと横になってスマホを取り出す。



 ユーチューブは有料会員になっているので広告も表示されず快適に見れる。


 お気に入り登録しているチャンネルをはしごして配信を観始める。


 動画チェックだけで3時間ほどかかった。


 あー疲れた疲れた、と肩を回す。


 メモ帳をちらりと見るが、カードはとりあえず触らないことにした。


 少し体を動かしたくなったが、外は寒く、わざわざ着替えてランニングをするのもめんどうくさかった。


 室内で軽くストレッチをする。


 スレンダーな徳香の体がしなやかに動く。


 1時間ほど体を動かしただろうか、額に汗が浮かぶ。


 「ふう」


 声を出してストレッチを終わらせた。


 夕ご飯まではまだ時間があったので、今度はティックトックを見ようと決めて、レコメンドから動画を次々と切り替えていく。


 様々な動画を見ているうちに時間はあっという間に過ぎ、時間は午後8時になっていた。


 夕ご飯くらいはきちんと作るか、と決めてキッチンに立つ。


 パスタを茹で、ミートソースを温める。


 サラダは買っておいたものがあった。


 ミートソースパスタとサラダ、それにビールという夕食になった。


 それを30分くらいかけて食べ夕食を終わらせた。


 その後、シャワーを浴びて出てくると、今度は推しの生配信が始まっていた。


 おお、やっているじゃん!


 と、配信を見ているうちに夜遅くなり、土曜日は終わった。

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