第12章ㅤ仲間の存在

 型の良い男たちが数名。その中に似つかわしくない一人の男の子。それは自分と同じく、幼き子供だった。

 脳裏に浮かぶ、彼の姿。何故だか気になる。



「ええー、僕じゃないんだ」


 ぼやーっと目に映し出されるテーブル。鮮明になってから今ここがどこなのか知り、ユリウスは声の主に目を移す。


「てっきり僕の番だと思ってたのに」


 そこにはへこみ込むナギの姿。隣にいるゼクスが口を開く。


「順番的には合っているはずだが」

「順番的にどう考えても僕でしょ」

「お前の番はとっくに終わった」

「え、いつ?」

「どっかの令嬢がここで過ごすこととなった初日だ」


 あれ一日だけじゃん、と不満を放つナギが気に食わないのか、ゼクスは睨みを利かせる。


「船室は余っているのに、皆と|ユリウス(そいつ)との距離が縮まるよう寝室は皆の部屋を交代制で使わせよう、そう言ったのはお前だろ?」

「そうだけど……って、ユリウスがいる前で言わないでよ」


 そうなの、というユリウスの眼差しにナギはまいる。


「だって、船室は余ってるって言ったってベッドとかないでしょ。それじゃあ不便でしょ」

「それはお前が決めることじゃねえけどな」

「む〜。こっちは皆のことも考えてゼクスたちに提案したんだよ」

「欲望があっての間違いじゃない?」

「違うよっ! 一緒にご飯食べて一緒に寝ればすぐに仲良くなれる。僕はそう信じてるの、僕はそうだったの。だからおかげで距離縮まったでしょ」


 皆が集まるダイニングルームで、ナギはトーマやイヴァンにもいじられる。本人は気づいていないのか半ギレだ。


「まあ、同じ部屋で一緒に寝なくても距離なんて縮まったけどな」

 ふと口にしたトーマの声を拾う。

「それって、実体験?」

「……」


 本を開いたままレイは問うが、正面に座るトーマは何も聞かなかったというように沈黙を貫き通した。


「僕で最後みたいだね。仲良くなれるかな」


 左隣にいるミサトがユリウスを見下げ冗談ぽく言う。その姿は年齢に似合わず少々可愛らしい雰囲気を持つ。





 ーー夜、ミサトの部屋。


「その箱、どうしたの」

「ナギくんに貰ったんです。何か良い箱ないかと聞いたら、トーマが大会の時に勝って貰った賞品の中にあったって言って、わざわざ貰ってきてくれたんです」


 ベッドのすぐ横にある棚の上には照明と手のひらサイズの箱。そっと箱を手に取り蓋を開け、元の場に置く。

 何をするのかとユリウスを眺めていたミサトは彼女の次の行動に驚いた。


「もしかして、それ、しまおうとしてる?」


 迷いがあるのか一瞬止まった手。だが迷いを捨てるように呟く。


「これのせいで皆に迷惑かけましたから」


 ユリウスが手をかけているのは自分の付けているネックレス。

 最初、盗賊に捕まった理由はユリウスのつけている高価そうなダイヤのネックレス。それが変な所に連れていかれた理由へと繋がり、皆に迷惑をかけた。特にイヴァンとゼクスに。

 トーマが人を刺すことになってしまったのはネックレスが目当てで襲ってきた男。どれも母の形見とするネックレスが関わっている。


 このネックレスは人を魅了する力があるのか。


 もしこれがなかったら、思い出していなかった。誰にも襲われることなく平穏に。トーマが人を刺すことがなければ、母の本当の死を思い出すことなく、毎日を平穏に何ら変わりなく。そう思えば迷う必要なんてなかった。断ち切るなんて簡単。ただ、母の形見を大事に箱の中にしまうだけ。


 ネックレスを箱の中にしまったはいいが目のつく所に置いておくのは嫌だった。城を出てから島を離れてからずっとつけていた母の形見のネックレス。それが今箱の中に眠っている。少しだけ寂しい。こんな思いをするならこの箱ごとどこかにしまえたら。ふと目につく、棚の引き出し。


「この中、何か入ってるんですか?」

「開けてみればわかるよ」


 開けてみるが何もない。いや、角っこに一枚。手に取るとそれはゼクスとミサトが映っている写真だった。


「写真?」

「それね、ゼクスと初めて撮った写真なんだ」


 幼きゼクスと今より子供なミサト。

 無表情なゼクスに比べミサトは穏やか。


「船に乗って旅をするって決める前、なんとなく一緒に撮ったやつ」

「なんとなく、ですか」


 フラワーショップの前。確かに、撮ろうと思って取ったものには見えない。せっかくの写真だというのにゼクスは視線を逸らし、カメラなんてそっちのけだ。撮ろうと思って撮る写真も同じだろうと思ったりするが。


「普通の海賊って、なんなんでしょうか」


 無意識に口をついでた言葉。

 トーマが口にした、普通の海賊は皆こんなもんだから……。それがどうしても胸につっかえていてなんだか心地が悪いのだ。


「僕はよくわからないけど、前にゼクスが一緒にいた海賊の人たちは酷い人たちだったみたいって言ったよね」


 ミサトの言うとおり、悪い海賊の集団の一員だったと前に聞いたことがある。だがしかしそれ以上のことは聞いていない。


「皆には言ってないんだけどさ、ゼスは……」


 ーー悪い海賊に捕まり、いいように使われていたという過去があるんだよーー


 その言葉は信じられないものだった。状況が掴めない、悪い海賊というのはミサトの言っていた悪い海賊の集団のことだろうか。


「少し暴力も振るわれていたっぽい」


 続いて知る事実。ユリウスの驚きの表情に、ミサトは、あ、と気づく。


「もう気にしていないって言ってるから大丈夫だよ。それに暴力っていっても痣が一生残るようなものじゃないから」


 ミサトのいうことが本当なら、ゼクスはそんな者たちと好き好んで一緒にいたというのか。子供の頃、いいように使われてーー。


「どうして……。どうしてそんな人たちと一緒にいたんですか?」


 写真を持ったまま問う。するとミサトは一瞬下に視線を伏せ、ユリウスに目を合わせた。


「一緒にいたくて、いたわけじゃないと思う」


 まるでゼクス自身が答えるような悲しそうな瞳。

 無神経なことを聞いてしまっただろうか、この空気をどう変えたらいいか、そう思っていたらちょうど目に入った箱。目的が思い当たったため、一声かける。


「あの、この箱引き出しの中に入れてもいいですか?」


 ネックレスを入れたばかりの箱を手に取って見せればミサトはいいよと言った。

 ユリウスは箱を引き出しの奥端に閉まった。



 ーーどうしてお母さまは死ななければいけなかったの? ねえ、どうして?



 そんな幻聴とも言える声にユリウスは目を覚ました。泣いてた、幼き自分は泣きながら彼に聞いていた。

 彼? 彼とは誰か。あの少年は一体誰だったのか。

 ふと、棚に目がいく。そこには昨日見た、ミサトが初めてゼクスと一緒に撮ったという写真。手に取ってみれば昨日と同じ、同じ光景が……映っているはずだった。

 自分の知らぬ記憶が思い出される。


『おい、ゼクス』


 行くぞ、と呼ばれた少年は男たちの後をすぐに追わなかった。もう亡くなるであろう死体を見ていたのだ。その様子を見ていて呆れてもの言わず出て行った男たち。扉を閉めた音が響いた後すぐにユリウスは駆け寄った、ゼクスの存在を気にせず倒れている母の元へと。この人なら大丈夫と思ったのだろう、それか、眼中になかったか。


 まだ息があった母と言葉を交わした。初めて弱音を吐いた母、それはまさかという直感をユリウスに与えた。それでもまだ助かると信じていた、けれどそんなユリウスには厳しい現実が突きつけられたのだ。


 そんな時、母を呆然と見つめていた一人の少年に気がついた。ユリウスが泣いていようと無表情で母をずっと見ていた少年。

 何がしたいのだろう。そう思うよりも先に、子供に対してするようなものではない質問を投げかけていた。


『どうしてお母さまは死ななければいけないの? ねえ、どうして?』


 頭が混乱していたせいなのか。

 黒髪の少年はユリウスに視線を移すと感情のない瞳でずっと見つめた。そして少しの時間そうしていたかと思うと彼は何も告げずに部屋から出ていった。


 答えを知りたかった。母が死ななければいけなかった理由。本当の理由が知れなくてもいいから誰かに、こうだからだよと言い付けられるだけでも良かった。誰もそうしてくれなかったから、皆何故か隠そうとして何もなかったかのようにしていたから、この気持ちはどうしたらいいのかわからずいつかからか自身の気持ちを押し隠していた。押し隠し続けて自分がわからなくなった、ほんの少しづつ知らぬ間に疲れていっていた、そんな自分が嫌になってあの日……崖から。


「早いね。いつもこんな時間から起きてるの?」


 驚きはしなかった。別の驚きが大きかったために。


「思い出した……」

「え?」

「また一つ、思い出しました」


 それは偶然で、必然ともいえる。





「ゼクスさん、話があります」


 さん付けはせざるを得なかった。大切な話、何より相手との距離をおくため。それを察知したゼクスは何も言わず、場所を変えようと移動した。

 誰もいない甲板。決心した心は揺るがない。ユリウスは小さな声で話を切り出す。


「……どうして、お母さまは死ななければいけなかったのでしょうか」


 わざと遠回しに聞いた。


「覚えていますか? あの日のことを」


 あの日のことを覚えているか知りたくて。


 ゼクスはそっと目を見開いた。すぐ察したかのように、それは……、と視線を外し沈黙をおく。どうやら覚えていたようだ。


「ーー運が悪かっただけだ」


 その答えはユリウスの期待していたものではなかった。何をどう言ってほしいと特に決まっていたものはなかったが、こんなにも絶望させられる答えが今になって与えられるとは思いもしていなかった。覚えていないと言われていた方がマシだ。


「お母さまが運が悪くて死んでしまったのなら、私の場合、どうなんでしょうか」


 何を思ったかユリウスは船の手すりに手を当てる。切なげな目をして海を眺めては、ふっと笑う。母が運悪く死んでしまったのなら命を絶つことに失敗した自分は何なのか。運悪く生きてしまった? それとも運良く生きた? そのどちらかの答えに顔を歪ませる。


「お前、今何考えた」


 ゼクスの慎重な面持ちになぜかユリウスは泣きたくなった。何も知らないくせにと。

 勝手な気持ちを押し付けようとしているのはわかっている。だけど、一度全てを終わらせようとしたユリウスには今この時間(とき)がとてもつらいのだ。


「私は……、あの時、崖から落ちたんじゃなくて飛び降りたの」


 ユリウスは本気でこの世と決別しようとしていた。崖から飛び降り、トーマに助けてもらった日には己の重りとなっていた記憶はなくなっていた。


「思い出した、あの時の感情全てを。息苦しくてつらくて寂しくて」

「だからといって全てを捨てようとしたのか。そんな感情ごときに揺られて」

「助けてくれる人がいなかったから、傍にいてくれる人がいなかったから……」

「甘えだな」


 知っていた。だからこそゼクスに言われた一言が突き刺さる。


「お前は母親に言われたはずだ。大きくなったらあの自由な空へ飛べ、と。なのに自ら終わらせようとしてどうする。それでお前の母親は報われると思うか?」

「そんなの、知ってる。でももういやなの、そんな重荷、背負ったままじゃ自由になんてなれないよ」


 真面目な顔。ゼクスは心を見透かしているかのように痛いところをついてくる。


(お母さまは私に託した、自由を。でも……)

「時間が足りないだけだ。時間さえ経てば少しずつよくなっていく。だからそれまで」


 ーー待て。


 なんて残酷な言葉だろうとユリウスは心の中で溜め息をつく。時間がなんとかしてくれる、そんなふうにしか言えないなんて。


「……時間なんてもうとっくに止まってるんだよ。それをどう動かせっていうの……?」


 止まった時間はもう動かない、進まない。壊れた時計と同じだ。


「お前らもう昼飯の時間なんだけど、……どうした?」


 船室から出てきたトーマは異様な空気に二人を見比べる。少しの沈黙が襲った後、ユリウスは横を通り過ぎて行く。


「なんでもない」


 少し雰囲気が変わったかとユリウスを見ていると、またすぐに横を通り過ぎる者が。


「あいつから目を離すな」


 普通ではない言い方。通り様に言われたが理解ならない。ゼクスに振り返る。


「意味わかんないんだけど。どういうことだよ」

「何をしでかすかわからないからあいつを見張れと言ったんだ」

「何かあったのかよ?」

「……」


 それ以上は何も答えなかった。いいから見張っとけ、とだけ言ってゼクスは船室に入る。不服そうな顔をするトーマには知る由もない。どんな会話が二人の間で行われていたかなんてーー。




 食事中、隣にいるユリウスを伺ったりしたが特に変わったところは見られなかった。いつもと同じ、静かに食事を取っている。先ほどの雰囲気が変わったように見えたのは気のせいかとトーマは視線を離す。

 しかし、後片付けとなる皿洗いの時、ミサトはトーマの気づかない違和感に気がついた。あの言葉を聞いて気にかけていたからかもしれないが、何か嫌な予感がした。


「思い出したことって何?」


 皿を拭きながらさりげなく問うと、皿をすすいでいるユリウスの手が止まる。


「今朝言ってたでしょ」

「それはちょっと言えないです」

「どうして?」

「言ったらたぶん、というより絶対引かれます」


 泡をすすぎ終わり綺麗になった皿は未だ水の流れの中。引かない、とミサトが口にしようとした時、それに……と付け加えられる。


「言っていいことなのかわかりませんから」


 ーー言っていいことなのかわからない。誰かが関係しているのだろうかと予測しながらミサトは、そっか、と身を引いた。


「それは聞けないね」






「見張れっつったって何すればいいのかわんないんだけど」


 薄暗い部屋でトーマは面と向かって言う。そこはダイニングルーム。自分と相手以外誰もいない部屋はとても静かで、使われていないテーブルは寂しそう。


「そのままの意味のはずだが」

「何があってそんな発想にいたったか知らねえし、何のためにあいつを監視するのかわからねえ。そもそもお前の考えがわからない」


 何とも言えぬ歯痒さを味わったために、不機嫌な態度を包み隠さず表に出す。


「役立たずが」

「はあ?」

「いや、やはりいい。ミサトにでも頼むか」

「なんだよそれ。用無しには何も教えてくれないってか?」

「……そんなに知りたいのか?」


 先ほど罵られたトーマだが、ゼクスの確認に思わず神妙な空気となる。


「何も知らずに手助けはできない。当然だろ」


 理由は、ユリウスと何があったのか気になるとか決してそんなことではない。何があってそういう考えに至ったのか、何が目的なのかわからなければ手助けはできないと、無意識にトーマは強調して言っているのだ。


「もしあいつをこれから疑心な目で見なければいけなくなったとしても、聞くか?」

「とりあえず教えろよ。疑心な目で見るとか、そういうのは聞いた俺が決める」


 後悔するなよと見定めるような目をしてから、ゼクスは話を始めた。


「あいつは一度命を捨てた。それはお前が助けた時のことだ」


 意味がわからずトーマは口を挟まない。


「飛べると思って崖を飛び降りたのではなく、足を滑らせて崖から落ちたのではなく、あいつは死にたいと思ってあの崖から飛び降りた。しかし運悪くお前に助けられた」

「まるで助けた俺が悪いみたいな言い方だな」

「あいつからしたら助けられたのは運の尽き。これが最期だと思い勇気を振り絞って崖から飛び降りたのに、それは意味のないものとなった」


 本当にゼクスの言う通りだとしたらユリウスを助けたのは自分にとっても意味のないことだったのか。崖から落ちたと思われるユリウスを見た時、何があったのか知らないが己の本意と違(たが)えて落ちたと思いそんな命を救いたくて反射的に助けた。だというのにそれは余計なことだったのか、ユリウスにとったら余計なことを自分はしてしまったのか。いや、命を助けることが余計なことなんておかしい。間違っているのはこんな発想をすることだとトーマは気持ちを落ち着かせる。


 何が正しくて何が誤っているのかちゃんと見定めないと、それこそ今みたいな余計なことで悩んでしまう。


「でもあいつはそんな態度見せなかった……」


 海へ落ちたユリウスを助け出した時、ユリウスは意識を失っていた。少ししてから目を覚ました時、ーー生きてしまった、死を遂げることができなかった、という残酷な顔はしていなかった。そして。


「今までも」

「記憶をなくしていたからな」


 現実を見たくなくて視線を落としていたトーマは、え、とゼクスを見る。


「〝今までは〟そうだったかもしれないが、〝これからは〟違う」


 彼の冷たい目が真実とともに胸を凍えさせた。


「自殺しようとしたきっかけやその行為さえ忘れた。運良く嫌な記憶だけなくなっていたおかげであいつは、今日まで普通に生きてこれた。でも今は……」

「記憶が戻ったのか?」

「母親の死を目の前にしてから、現実に見切りをつけたのかもしれない」


 ユリウスは言っていた、時間はもうとっくに止まっているのだと。つまり、母親がいなくなった瞬間からユリウスの時間は止まってしまったのだ。憶測するにそれは生の意味を感じられなくなったということ。


「しかし何がきっかけで思い出したかだ」


 何かきっかけがなければ思い出すはずがない。けれどその場面を目の当たりにした覚えはない。


「もしかして、俺のせいーー?」


 ゼクスの言葉に何かを考えはっとしたトーマは、思い当たる節を口にした。


「人をあいつの前で殺そうとしたから……もう死んだと思ってたけど生きてた、でもそれをあいつは死んだと勘違いして……」


 記憶は些細なことで蘇ることがある。忘れた記憶と同じようなことならなおさら、思い出す確率は大きくなる。ユリウスは人の死を目の前にした、本当は死んでいなかったがあの時ユリウスはそう思い込んでいた。それは忘れていた母の死の記憶に影響が与えられ、その記憶は他に忘れていた記憶へと影響が伝わり、最終的に全てを思い出した。


「きっかけは、それか」


 おかしな真似をしたトーマを責めるでもなく、ゼクスはただ納得のいかない謎が解明されひとまず落ち着く。


「とりあえず俺は時期を見計らって話をすることにする。お前はあいつが何かしでかさないよう見張っておいてくれ」

「……」

「聞いてるか?」


 下を向いていて耳に入らなかったのか一度確かめに聞くと、苦虫を噛み潰したような顔を少し上げてトーマは答えた。


「わかった」


 たぶん自分のしたことに反省しているのだろう、とゼクスは思いつつも助言はしたりしない。




「僕、ユリウスに嫌われたかも」

「なんで?」

「何だかそんな気がする。だって前と全然態度違うんだもん」

「へえ」

「話してもイヴァンの今みたいな適当な応答すらしてくれない時があるし、悪い時は完全に遮断(シャットアウト)される」


 ナギとイヴァンの二人しかいないダイニングルーム。ナギは定席に座り、誰もいないということでイヴァンはユリウスの席に座っていた。斜め前にいるナギの泣き言に耳を傾けながら、ユリウスがそんなことするんだと頬杖をつきながら思う。


「それは嫌われたね。何か思い当たることは?」

「……?」

「嫌われるようなことしたんでしょ?」

「してないよ」


 ーーポカン。イヴァンはまさにそんな顔をした。首を傾げられた時点で何か話が合わなそうだなと思っていたが、まさか原点からして合わないとは。

 何も嫌われるようなことしてないのに嫌われた自覚があるって、ちょっとおかしいよ、この子、と心内で思いながら嘲笑する。


「あー、おはようトーマ」


 そこへ現れた人物に含み笑いが残りつつも挨拶。無論、返ってくることは期待していない。


「ユリウスの様子がなんだかおかしいんだって。トーマ何か知ってる?」


 体が少し反応し、瞳が揺れた。洞察力に長けているイヴァンはそれを見逃さなかった。それまで軽い気持ちで話を聞いていたがこれは何かがあると薄々感じ取る。


「……」

「特に何かがあったとかじゃなさそうだね。ユリウスに嫌われたナギ、本当に可哀想に」


 ご愁傷様、などと言い、ちらっとまだ横に突っ立っているトーマを見れば眉間に力を入れ小難しい顔をしていた。ナギに異変を悟られないうちに席に座ればいいのにと思うも中々動かない。


「……嫌われてないもんっ」


 悲しい現状を受け止めないよう意地を張っている。


「さっき、嫌われたかもなんて悲しそうな顔して話を切り出してきたのは誰だったけかな」


 ナギに異変を悟られたら少々面倒だ。純粋な目で見られてはとことん心配される。それは本音が口をついて出るまで。そんなことトーマは知っているだろうに。


「今日はトーマの好きなハンバーグだって。早く座りなよ」


 浅くて広い世界にとらわれていたトーマは意識を戻し、ぼーっとしたままイヴァンに焦点を合わせる。それは何かを勘付いているかのような目で。気のせいかと思いつつ言われた通り自分の席へ行く。すっとイヴァンの隣に腰を下ろせば疑問になったことを問う。


「つか、朝からハンバーグ?」

「うん、僕の想像上では」


 イヴァンの想像はもちろん当たることなく見事に外れた。そのことを不服そうに言ったトーマの些細な言葉で、夕食はハンバーグとなった。




 交代制でユリウスに部屋を貸す。その番がそろそろナギからトーマへと替わる時期、トーマは気になっていたことを口にする。


「ナギのこと嫌いになった?」

「なってないよ」

「じゃあどうして無視するんだ」

「無視? 無視なんかしてないよ。ただ何か、ボーッとする時があるだけ」


 そう言っているユリウスは今もボーッとしていた。彼女の横顔を見ていればわかる、何も感じていないと。船の上でそよぐ風を受けながらただ海を眺めているだけ。彼女は何も考えていない。どうしてわかるか、その答えは、瞳に光が宿っていないから。感情というものが刻一刻と薄くなっている気がする。


 見張るつもりでユリウスの傍にいるがそれだけを目的でいるのは嫌だった。まるで昔のゼクスのような相手にどう向き合えば良いのか。あの時は今よりも子供だったから深いことまで考ることなく、今思えばプライバシーというものまで考えずずけずけと、相手の入ってきてほしくないところまで入っていたのかもしれない。だがそれを思えば今することなんて簡単に思いつく。……はずなのに、簡単ではなかった。女子と男子では何かが違うのか。


「ユリウス」

「……?」

「俺に何か話すことないか」


 内心緊張しているのを表に出さないよう、真剣な顔をする。


「何もないよ」


 そんなトーマを退くように、彼女は短な答えを出した。決心して聞いたものから得られたものはなし。ただ、柔和な表情を繕ったユリウスに、何ともいえない歯痒い感情を覚えただけだった。


(心配してくれてありがとうみたいな顔するなら、俺に何か言えよ)


 表情を繕った時、彼女は少し感情が宿ったような瞳をして微かに微笑んだ。それは自嘲的な笑いを浮かべているようにも見えた。それが悲壮感を生み、トーマを苦しめる。


(黙ってちゃ何もわかんねえんだよ)


 誰もいない寝室。ベッドの上で背もたれにもたれかかり、イラつきを隠すように前髪をくしゃっとした。


 俺は頼りないのか、という想いは儚く消える。


 食事中、「ユリウス何か暗いよ」とナギが思わず本音を口にすれば、場の空気が冷め固まった後、ユリウスは「ごめん」と一言謝るだけだった。

 そんなことがあったりして。


「もう無理。限界」


 精神的にも限界が近づいていた。


「日に日に酷くなっていくし、海眺めてるの見てると何か、スゲー苦しくなんだよ」


 ゼクスに頼まれてからできるだけ彼女の傍にいて彼女のことを見張っていたトーマだが、これ以上はもう耐えられなくなっていた。何考えているのかわからない瞳で海を眺めているユリウスの姿を見るたび、よくわからない不安感が襲い、心をざわつかせていたのだ。


「わかった。今まであいつが落ち着いてから話をしようと思っていたが、そんな悠長なことはしていられないか」


 苦しそうな声で訴えるトーマにゼクスは考える。そもそもユリウスを見張るように言ったのは、考えを落ち着かせる時間を彼女に与えている間におかしな行動を取られたらともしものことを考え、一人保護役として回らせようとしたのだ。


 自らやるのが妥当だと思ってはいたが、彼女の真実の記憶に深く関係のある自分が傍にいて、変な影響を与えたらと思い頼んだ。トーマに任せたのは偶然、思いたった時その場に出くわしたから……だったが、今になっては彼に任せて良かったと思う。自分のことのように真剣に悩み、何より彼女のことで苦しんでいる。彼女の心配をして苦しむ人間が彼女を見殺しになんてことはしないはず。他の船員もそんなことはしないだろうが、やはり人情の厚いトーマに任せて良かったと思う。


「あいつはどこにいる」

「甲板にいる」


 全員に彼女の真実の記憶を教え、船員のことを不安でいっぱいにしたのなら、船内の雰囲気は悪くなるのは間違いない。船内の雰囲気が悪くなったのなら、それがユリウスにとって影響が良いいものではないことはわかる。だから一人に任せた。わざわざ広めることでもない、まだーー。


「どうなるかわからないが、一応話をつけてくる」

「……」


 誰もいなくなった部屋にトーマは佇む。ゼクスと言葉交わしてても一度も合わせなかった目。それはユリウスについての悩みと、もうひとつの感情があったから。




 甲板にはどこか寂しげに海を眺めているユリウスがいた。確かにトーマの言った通り見ていて良い気持ちなものではない。


「お前の想い、全て聞かせろ」


はっとしてこちらを見た彼女の瞳には光が宿っていなかった。一瞬だけ向けられた意識は興味なさげに俯いた彼女にどんな影響を与えたのか。


「お母さまは私の唯一の居場所でもあった。だからお母さまが亡くなった今はもう……」


 淡々と喋る。まるで表面上の気持ちと内面の気持ちを区切ろうとしているかのような。


「場所ならいくらでもあるだろ」

「ないよ……」


 思いの丈をぶつけろというのにユリウスはまだ言いたいことを隠している。


「仲間はどうした」

「なかま?」


 そう言われ、フラッシュバックした皆の言動。


『だからユリウスは僕たちのな・か・ま!』

『だって俺たち、仲間だろ?』


 初めてその言葉を口にしたのはナギだった。ユリウスが船内にいることに理解していないレイ宛てに叫んだのだ。そのあと何となくトーマが実感させるような声質で発言したものに、少し嬉しさを感じた。


『俺たち仲間でしょ』


 それからイヴァンも。


『仲間だから』


 レイも言ってくれたのだ。


「私……でも」


 そんな言葉はもう受け取れなかった。忘れかけていた皆の情け、忘れていた、皆のことも極力忘れようとしていた。どうせもう終わった人生なのだからこれ以上何かと深く関わって切ない思いをしたくない、と。そんな自分が受け取ることなんてできない。


「お前はもう俺たちの仲間だ」


 その力強い言い方に何かがぱっとはじけた気がした。まさかゼクスがそんなことを言うなんて。

 ーー〝仲間〟=〝居場所〟

 この船上の皆が認めてくれるのなら、ここにいていいんだと思えてくる。


「いつから知っていたの? 私があの時の子だって」

「あのネックレスを見た時、何かが思い出されそうになった。母の形見だと知った時、あの時のことを思い出した」

「そっか……」


 それはだいぶ前のことだった。船に乗ってからすぐのこと。あのネックレスを城から奪ったというイヴァンに出くわし、返してもらおうと交戦している間にゼクスは、ユリウスがあの時の子だと知ったのだ。なのにその事を言ってこなかったのは、その時の記憶がなくなっていると勘付いたから。だから話題に出してこなかった。まるで初対面のように。


「私、ここにいてもいいのかな」


 小さく呟くユリウスを見て、ゼクスはまだわからないのかというような顔をする。


「知ってるよ。皆優しいからいてもいいって言ってくれるって。でも……、本当にいるべき場所はここではない気がする」


 絶望しか前になかったから気づけなかった。今ままでどこにいたのか、どこで産まれどこで育ったのか、を気にしていなかったことに。仲間だと言ってもそんなに甘えていられるものではない。


「けれど、|皆と一緒に(ここに)いたいからここにいる」


 いいかな? と、確かめるように柔らかく微笑むその瞳には、ちゃんと光が宿っていた。そのことに安心して気を緩ませたゼクスは少々頬を緩ませる。そんな時だった。


「ユリウスは僕たちの仲間。なんて、そんなこと当たり前なのに」


 二人しかいないと思っていたのにひとつの声の乱入者。それは二階の甲板にいたイヴァンのもの。


「こっち、来る?」


 手すりに片手を乗せ、頬杖をつきながらの招き言葉。





「そういえば前ここでイヴァン聞いてきたよね、私の母はどうして亡くなったのかって。殺されたんじゃないのかって」


 誘いを受けて二階の甲板へと来た。


「あの時イヴァンは知っていたの?」


 母の死に際の記憶を無くしていたユリウスにとって、あの時のイヴァンの質問はおかしなものだった。けれど、今思えば的を得ているもの。


「ゼクスとミサトが話しているのたまたま聞いちゃったんだよね。それで知った。ユリウスは覚えていないようだったから話さないほうがいいかなって思って言わないでおいたんだけど」


 ゼクスが、ユリウスは母を殺された娘だと知ったのはだいぶ前。それから少し経ってからだとしてもずっと前にイヴァンは母のことを聞いていたことになる。その時から目の前にいる彼は知っていた。


「ありがとう、イヴァン」


 さりげなくミサトも知っていることが判明したが、今になってはどうでもいいと思う。逆に、知っていても普通に対応してくれていたことに感謝する。


(ーーきっと、あの時そう言われていたら、自分でも自分がどうなっていたかわからない)


 もしあの時、君の母は海賊に殺されたのだろうと指摘されていたら、あの時にもし思い出してしまっていたらきっと、自分は自分でいられなくなっていた。言わない優しさもある。


「本当にありがとう」


 どうしてお礼を言われるのかわからず目をパチクリさせていたが、何が言いたいのかイヴァンは何となく察した。


「ユリウス……」


 なんと儚げでしっかりとした芯のある笑みなのだろう。言っていることはとても筋が通っており、しっかりしたもの。しかし、今にも崩れてしまいそうで脆(もろ)く感じるものはなんだろう。

 無意識に手を伸ばす。それは頬に。


「ユリウス!」


 もう少しで触れそうだったところに、大きな掛け声とともに駆け寄ってくるナギ。


「ごめんね。僕何も知らなくて、ユリウスの辛い気持ち何もわかっていていなくて」


 必死な顔。悪いとは思うが、かわいいとふっと笑ってしまう。きっとゼクスたちから教えてもらったのだろう、ユリウスが蘇った記憶のことを。


「私はナギくんの存在を必要としている、ナギくんがいてくれるだけで充分だから」

「ユリウス……っ」


 目線の高さを合わせるようしゃがみ込んだユリウスに、ナギは抱きつく。後につづいて来たミサトはその場に出くわした。

 ぎゅっとしたあと、ユリウスは肩を押して顔を見る。


「どうしてそんな泣きそうな顔してるの」

「だって、ユリウスがいつも通り優しいから、もっと病んじゃってるんじゃないかと思ってたから」

「病んじゃってるって」


 ははっ、と笑うユリウスの顔はもう何かふっきれた様子だ。彼女の笑顔に隠される心情を確認した後、トーマはイヴァンを見た。ユリウスの頬に手を伸ばしていたところを見てしまっていたから。あの後、何をしようとしていたのか。イヴァンは自分のことを見るトーマを知ってか知らずか、ユリウスたちだけを微笑ましく見ていた。






 ユリウスの背中を見送り自室に戻ったゼクスは、照明をつけベッドに仰向けになっていた。


『お前、本名ゼクスなんだろ。なんでわざわざ〝ゼス〟なんてあだ名つけたんだよ』


 脳裏に響く彼の声。瞳を開けたまま、あの頃の光景を思い出す。

 船に乗ってから初めてまともに交わした会話。


『あだ名ではない。改名したんだ』


 トーマは何か勘付いているようだった。今より幼き時、野生の本能とでもいうのだろうか、人の感情を察するような者ではないはずの彼にゼクスは妙な不安を感じたのだ。他人(ひと)の心の中に入ってくるんではないかと。


『改名したわりには全然変わってねーじゃん。つか、勝手に改名できんのかわかんねえけど、ゼクスもゼスも一緒だよ』

『だったらずべこべ言わずその名を口にしていればいいだろ』

『その様子じゃお前、本当の名前が嫌いなんだろ? ゼクスもゼスもマジで本当に何も変わりねえけど、お前の中では全く別物になっている。それなら俺はゼクスと呼ーー』

『うるさい‼︎ だまれ!』


 初めて感情的になった瞬間だった。とても的を射る内容だったから、トーマがあまりにもしつこかったから、「ゼクス」と、呼ばれそうだったから、思わず叫んだ。


『その名は大嫌いだ。小汚い奴らに散々呼ばれ続け、穢れたその名を口にするな』


 荒くなる息とともに自分を抑えながら、いつも皆にとっていた冷酷な態度で言い放った。シン……とする空気。

 話はこれで終わるかと思っていた。

 けれど彼はそう甘くない。


『だとしてもお前の本当の名前には違いない。もし穢れてしまったと本気で言っているのなら俺たちがその名を嫌というほど散々呼び続けてやるから、捨てるなよ』


 先ほどよりも小さな声でトーマは話を切り出してきたのだ。情のこもった声で、かつ、真面目な顔で。

 この時、こいつは普通のやつとは違う、とゼクスはどこかで思った。


『どうしてお前はこんな馬鹿みたいなことに必死になる』

『その馬鹿みたいなことに必死になっているのはお前だろ』


 彼は意図も簡単に真を突いてくる。突き放そうとしてもトーマは追いついてくる。しがみつこうという必死さは感じられないのに、気づけばすぐ後ろに彼はいる。


『だとしても、余計なことはするな』

『余計なことじゃねえし。名前は両親につけてもらったものだろ、そんな大事なもん、捨ててどうする』

『……』


 捨てようとなんてしていない。そのはずなのに、否定できなかった。


『呼び続けていれば、少しずつ上書きされていくだろ』


 何が上書きだ、ゲームとは違う。でも、悪い気はしなかった。ゼクスは、はっと掠れた声で笑う。


『おかしな奴だなお前は』

『お前じゃねえよ。俺の名前はトーマだ』

『……トーマ、か。一応覚えておく』




「……」

 仲間がどんなに大切なものなのか、ゼクスはちゃんと知っている。



「お前はいつまで馬鹿やってるつもりだ」

「誰も馬鹿やってるつもりはねえよ」

「だったらどうして方角さえわからない」

「仕方ねえだろ。地図なんてあんま見ないんだからさ」


 ダイニングルームで珍しく三人が集まっていた。テーブルの上に地図を敷き、それを囲うようにしているゼクスとトーマとイヴァン。ゼクスの物言いにトーマは納得のいかない顔をする。


「方角くらいはさすがにわかる。俺は、現在地からしてどっちがどっちなのかわからないの。つか、方角なんてなくてもなんとなくで着けるし」

「その根拠は?」

「林の中に家があったんだけど、何も目印なくそこに行けてた」

「トーマのそれはもう野生の勘だね」


 それまで二人を見守っていたイヴァンが笑い出す。


「笑ってるけど、お前はわかるのかよ?」

「わかるよ。今ここにいて、こっちの方向に向いている。だから次行くのはここでしょ」


 意図も簡単に今の場所を割り当て、目的の場所を指指した。そんなイヴァンにトーマは不服そうにする。


「トーマは馬鹿だねえ」

「全く同意だ」

「……まじこいつらウゼェ」


 二人の意見に苛つきを隠さない。


「あ、つーかゼクス、お前そういえば全然名前で呼ばねえよな。だいぶ前にトーマって呼べっつたはずなのに」

「承知した覚えはないが」

「覚えておくって言った」

「一応、な」


 言い終えたゼクスはどこか楽しそうだ。気付いていないのか表情が緩んでいる。口角も少しほど上がっている。そんなゼクスを見て、イヴァンは不思議に思う。


「二人共いつの話してるの?」

「ざっと十年前?」

「よく覚えてるね、そんな前のこと」


 十年前といったら大体トーマたちが船に乗った頃か。


「よく覚えてるよ。こいつ、魂無かったのか感情が超感じられない時で、まじ超うざかった時期だから」

「超はそんなに軽く使うものじゃない」

「ほら、こういう細かい所も嫌なんだけど……」


 傍から見たら犬猿の仲に見えるがーー。


「まあ、よく考えてみれば前に比べればマシになったよな。何も反応されないより憎たれ口叩かれた方が良いし。皮肉っぽい言葉、うざいけどまあ良いよな」


 実はそうでもない。


「トーマの好き嫌いな基準がホント、超よくわからない」


 呆れたように言うイヴァンだが、心の中はぽかぽかとしていた。仲間が仲良くて嫌な気分になるわけがない。

 そんな時、部屋の扉が開いて人が入ってきた。その者を一番に目に捉えたイヴァンが、ユリウスおはようと挨拶をする。おはようございます、と三人いたからなのか丁寧に返した彼女の表情がいつもと違う。何事だと三人の視線を集めたユリウスは、決意したかのように口を開く。


「私、あの街へ戻りたい」

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