第4話 返事は要らない
何だよ海外へ行くって……。
怒り任せの壁ドンをして、告白した後って考えてなかった。
そもそも、する予定なんかなかったはずだ。
顧問から『このプリントに北園に渡しといて。それで、お前はちゃんとケジメ付けてこい』プリントを渡されてから気付いたら走っていた。
別に凪の彼氏でもねぇし。怒るのは変だろうけど、何も話してくれなかった事が悔しい。
仲良くなったって、思ってたのは俺だけなのかよ? とんだ勘違い野郎だな。
「へっ? 圭吾が……私を、好き??」
「別に今そんな事はどうでもいいよ。海外! 行くのかよ?!」
告白したのは俺だけど、今はその返事が欲しい訳じゃない。要らない。
「……行くよ」
ー…行くな。そう言ってやりたかった。言いたかった。
海外へ行く……もう会えない。
俺は静かに掴んでいた手を離した。その手にはくっきりと赤く俺が握った跡がある。
「ー…手も、告白も、ごめん。これから海外の事で一杯一杯なのに余計なもん持たせた」
必死に声を絞り出すが、声が掠れてしまう。
俺の事は忘れてー…。
「ー…なんて言いたくねぇ。言えねぇ。告白の返事は今は要らねぇから」
今聞いたららきっともう会えない気がする。そして、この関係が終わる。
淡々と話す俺に頭が追いついていないのか、凪は困惑の表情。
「じゃあ、またな。俺もプロサッカー選手頑張るから、凪も頑張れよ!」
夜の暗黒な心に満たされて仕舞わないように光で繋ぎとめた。
☆☆☆☆☆
ー…あれから月日が経ち、俺は高校一年生になり2週間が経とうしていた。
凪とは一切連絡が取れていない。
通学自転車に乗りながら携帯で音楽を聞いていると、あの時俺が携帯を所持してたら、何か変わってたのかなとふと思う。
高校生になって携帯を初めて持ったとき衝撃だった。
携帯があれば、連絡出来てた。今だって繋がって要られたかもしれない。
ゴォっと風を斬る音がイヤホンごしにして見上げると飛行機が飛行している。
これに乗っているかもしれない。
そんな期待を持って俺は飛行機の音がすると決まって見上げる。
会いたい、声が聞きたい、からかって来るあの笑った顔が見たい。
飛行機を見送りながら自転車を漕いでいると、前を走っていた自転車がやたらフラフラしだした。
「ー…危ねぇな」
髪の毛はブラウンでロング、ちょっと癖っ毛でー…。
ソイツが振り返り俺の方を見て、からかう様に笑った。
「久しぶり!」
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