重視する点⑵ 話の展開・盛り上がり
後述するのですが、ぶっちゃけ、私は描写の丁寧さについてはそれほど重視していません。
それより重視しているのが、話の展開と盛り上がりです。もう少し具体的に言うと「読者(私)の求めている話がすぐ読めるのか」「記憶に残るようなエピソードであるか」という点を重視しています。
例えば「異世界にやってきたので魔法をいっぱい使おう」というタイトルの小説があったとして、異世界に飛ぶまで二万文字、魔法を使い始めるまで十万文字と読む必要があれば普通は退屈になってくると思います。
いや、異世界に飛ぶまで二万文字かかることも、魔法を使い始めるまで十万文字かかることもそこまで問題じゃないんです。問題は、「異世界魔法系だ」と期待して読み始めてからそこに至るまで何万文字と読まなければならないことが問題です。
もしタイトルが「美少女とのラブストーリーのためなら僕は異世界でだって生きていく」みたいなタイトルであれば、異世界に飛ぶまで二万文字かかることも、魔法を使い始めるまで十万文字かかることも気になりません。その代わりに美少女とラブストーリーがしたい旨をきっと冒頭から書いてくれているとしたら、「美少女系」を期待して読み始めた読者の需要にすぐ答えてもらえて幸せです。
この「タイトルで叩き出している内容と本編の内容の乖離問題」って、作者の中で書きたいものが溢れに溢れてしまうから起きてしまうのではと思っています。「異世界魔法ものが書きたい」から始まって、それであれば異世界の説明が必要、異世界にいくきっかけが必要、異世界に行く人物たちの描写が必要、その人物たちの関係性の描写が必要、生い立ちも必要……と遡っているうちに、本題までの長い道のりができるのかと思います。
身に覚えがあるからそう言っています。
タイトルは看板です。当然、読者は「この作品のタイトルっぽい作品が読みたい」とフラフラ立ち寄ってくださった方なので、興味が失せないうちにとっとと需要を満たす内容をぶつける必要があると思います。いつか見た意見に「ミステリーなら一話目から死体を出せ」とありましたが、非常に賛同できました。
上記のような「タイトルで叩き出している内容と本編の内容の乖離問題」が起きている作品を読むと、実際に退屈に感じてくる読者としての自分自身と、「これはもっと改善の余地があるんじゃ」と意見したくなってしまう作者としての自分自身が同時に出てきます。
タイトルのみならず、「記憶に残るようなエピソードであるか」も同様です。登場人物の名前や特徴を細切れに出されても覚えられないので、割とどうでもいい話であるなら思い切って削るか、もっとその登場人物について掘り下げる機会があったときに触れるくらいで良いのではと思います。
読者って普通、作者より作品のことを覚えていないので、無駄なエピソードはとことん省いて欲しいです。私自身、省くよう心がけています。
余談ですけど、タイトルを決めるのって難しいですよね。
何十文字もあるタイトルってあまり好きじゃないんですけど、適切なタイトルをつけるのってあまりにも難しいですし、あの長いタイトルって一発で作品の概要を知れるという点では非常に合理的ですので。色々、折り合いを考えないとなぁと思っています。
もう一つ余談ですが、私が作品のタイトルに良し悪しのコメントをすることはないと思います。良し悪しが全然わからないからです。タイトルって難しい。
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