第1話①
…物語を描きたかった。暗くて冷たい深海みたいで、それでいて藍色に透き通る宝石の様な物語を。この世の鋭利な光なんて全て吸い込んで、私を包み込む深く温かい闇───そんな物語を、私はずっと描きたかったのだ。
「───でさぁ、その時カレシがぁ……って、
「……え。あ、聞いてる聞いてる!」
「ウッソだぁ〜!今エッロい顔してたもん」
「し、してないし!」
意識を現実へと戻すと、じっとりした夏の教室にいた。友人と話をしていても、授業を聞いていても、一人でいる時も───私は「自分の世界」へ入り浸ってしまう。
軽い空想癖の様なものだ。治しても良いが、そしたら私の日常はきっと今よりも退屈なモノとなるに違いない。
現実と空想のどちらが大事かなんて分かってる。この身が
「透花のぽや〜ってした感じ、私は好きだけど」
「ふーん、じゃあもう二人で付き合っちゃえば。どーせっ、あたしは仲間はずれでーす」
「だってー透花。私と付き合う?」
「うん…え?えっ!?」
「なんちて。うっそー♡」
「
いつも眠そうな雰囲気を纏った彩葉と、花火みたいな華やかさの少女・茜。対照的な二人だけど、絶妙に雰囲気が噛み合うので決して不仲な訳ではない。むしろ、誰が見ても仲はかなり良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます