第4話 過去の呪縛 #2

第4話 続き #2


[20]ー《青の国》 坂の上の教会 裏庭 続き


〈レウォンとポリーが話している場所へ、ポリーを探しに来たジュリアス。〉


ジュリアス「ここにいたのか?」


ポリー「ジュリアス!〈戸惑いながら〉この人が教会を紹介してくれたレウォンさん。レウォンさん、兄です」


レウォン「はじめまして」


ジュリアス「はじめまして。妹がとてもお世話になったと聞いております。葬儀が終わったら、一度、ご挨拶しなくてはと思っていました〈右手を出し握手しようとする〉」


レウォン「恐縮です。こちらこそ、妹さんにパン屋で大口の注文をもらい、過分なお礼まで頂きました。すみません、僕は右手が不自由で……〈左手を出す〉」


ジュリアス「そうですか、すみません、こちらこそ気付かずに〈お互いに左手で握手する〉」


ジュリアス(心の声)「右手が不自由なパン屋の人……?〈あらためてレウォンの顔を見て〉この顔はさっきの似顔絵の若者に似ている?ポリーと親しい、この人がまさか!?」


〈ジュリアスは動揺を隠しながらポリーに声を掛ける。〉

            

ジュリアス「ポリー、門のところに子ども達が来て、お前を待っているよ」


ポリー「今、来ているの?大変!行かなくっちゃ」


レウォン「例の似顔絵の人探しだね?」


ポリー「〈困惑気味に頷き〉先に行きますね」


〈走って門の方へ行くポリー。その後ろ姿を見送る二人。〉


レウォン「元気で明るい妹さんですね」


ジュリアス「無鉄砲で困り者です」


レウォン「では礼拝堂に戻りましょう。僕も今日はシスターにここでの手伝いを頼まれているのです」


〈ジュリアスが頷き、二人は礼拝堂に向けて歩き出す。レウォンが前を歩き、その後ろからジュリアスが歩く。ジュリアスはポケットの中から、首飾りの一つである石を出し、ぎゅっと握りしめる。〉


ジュリアス(心の声)「今、自分が確かめるしかない……」


〈前を行くレウォン。その耳にピアスが見える。思い切って、後ろから近寄り、手に持った石をレウォンの耳に近付ける。驚くレウォンが振り返る。〉

 

ジュリアス「すみません、ゴミが付いていたものですから」


レウォン「〈耳のあたりを触り〉ああ、有難うございます」


〈青く色が変わった、レウォンの耳のピアス。何も知らずまた前を向いて歩き出すレウォン。拳をにぎりしめているジュリアス。その手を開くと、そこには青くなっているジュリアスの石。〉


ジュリアス(心の声)「ああ、ケインでありカノンである、この男を見つけてしまった……」



[21]ー坂の上の教会 門


ポリー「皆、ごめんね。もう探さなくていいから」


〈浮浪児達は『何だよ』『頑張ったのに』とブツブツ文句を言う。〉


ポリー「〈そばの護衛を気にしながら〉はい、これはお礼よ。ありがとう。さあ、もう帰ってね」


〈お駄賃に喜び、帰っていく子ども達。その中で一人の子だけがモジモジしており、その隣りには怒ったような顔をして、レウォンを好きだと言った女の子が立っている。〉


ポリー「どうしたの?」


子ども その1「あの似顔絵の人って……」


女の子「だから違うって!」


子ども その1「絵を見た時はお前だって似てるって言ったじゃないか?」


女の子「その時は思わずそう言ったけれど。ほら、髪型まで、あんたが似せて描いたから」


子ども その1「お姉さんにまず絵を見せたかったよ」


ポリー「よく分からないんだけど、ちゃんと説明してくれる?」


女の子「お姉さんに聞いた顔の特徴に合わせて、昨日の夜、この子が似顔絵を描いてみたの。この子、結構、絵が上手いんだ。そうしたらパン屋の優しいお兄ちゃんに似ちゃって。変でしょ?だって探している人は怖い人なのに……」


ポリー「パン屋の優しいお兄ちゃんって、レウォンさんのこと!?私の言ったように描いたら、レウォンさんに似ている顔になったと言うの?」


女の子「ほら、お姉さんもびっくりしているじゃない!」


子ども その1「描いてみたら、あの顔になったんだから。どうしてだか知らないけど」


ポリー(心の声)「これでまたケインとレウォンさんが同一人物という仮定に一歩近づいてしまった……」


ポリー「それで、その絵は今はどこに?」


子ども その1「さっき、ここに来たお兄さんが持って行ったよ」


ポリー「ああ、ジュリアス!さっき偶然にも会ってしまったなんて。もう何か感づいたかも知れない……。どうしたらいいの?」



[22]ー坂の上の教会 礼拝堂


〈レウォンは修道女ダリルの手伝いをしている。監視するようにレウォンの立ち居振る舞いをじっと見ているジュリアス。遅れてポリーが戻って来る。〉


ミレーネ「〈小声で〉随分、遅かったのですね」


ポリー「〈小声で姫に〉ご免なさい。〈隣りを向き〉ジュリアス、レウォンさんは私を助けてくれた、いい人なんだから変な誤解をしないで」


ミレーネ「〈小声で〉レウォンさんって?」


ジュリアス「〈小声で〉葬儀が始まる。話はまた後で」


〈レウォンの方を見るジュリアス。心配そうなポリー。〉



[23]ー坂の上の教会 門の外 夕方

 

ミレーネ「ダリル、今日は本当にお世話になりました。お蔭様で無事にレックスさんを天国に送ることが出来ました」


修道女ダリル「神のしもべとして、お勤めを果たしたまでですよ。姫様も今まで、このような場所でご不自由だったでしょう。今日は宿の方でごゆっくりなさって明日の旅立ちに備えて下さい」


ミレーネ「有難うございます」


ジュリアス「お世話になりました」


ポリー「有難うございました〈少し離れた所にいるレウォンにも会釈をする〉」


〈レウォンも会釈を返す。ミレーネ姫やジュリアスも気付き会釈をする。警護の近衛隊と一緒に坂を下りはじめる一行。〉


修道女ダリル「レウォン、相談事があったのですね。聞きましょう」


レウォン「はい」


〈二人は礼拝堂へまた入って行く。坂を下りかけて、後ろを気にするポリー。次に隣りにいるジュリアスを見る。〉


ポリー(心の声)「ジュリアスに何か考えがあるのなら、この後すぐ行動に移すはず!どうすればいい?夜にレウォンさんが宿に来るのを待ってなんかいられないわ」


〈急に立ち止まるポリー。〉


ポリー 「シスター・ダリルに預けていたものを置いてきてしまったの!ちょっと戻って取って来るわ。先に行っていて」


〈慌てて、教会へ走り出す。〉


ミレーネ「ポリー?」


ジュリアス「ミレーネ、先に宿へ行って休んでいて下さい。また、ポリーが別行動をとると、明日の出発に支障が出るかも知れない。ポリーは必ず自分が宿に連れて帰ります」


ミレーネ「ジュリアス、お願いね。昨日の夜からポリーの様子が変なの。目を離さない方がいいですわ」



[24]ー坂の上の教会 礼拝堂


〈二人が中に入ったのを見ていたのでポリーも中に入って行く。二人の話し声がする控え室を見つけるポリー。廊下から中を窺う。〉



[25]ー坂の上の教会 礼拝堂 控室


〈向かいあって座って話している修道女ダリルとレウォン。〉


修道女ダリル「あれほど記憶を取り戻そうとしていましたのに。不安になったのですね」


レウォン「シスター。誰も昔の僕を知りません。自分が何者なのか分からない、今の状況が急に恐ろしくなりました。シスターは僕を助ける時、もし犯罪者だったらと、お思いになりませんでしたか?」


修道女ダリル「確かに、どこの誰とは分からぬ人でしたから、何も不安に思わなかったと言えば嘘になります。でも、傷ついた人を置き去りにすることは出来ませんでした。それに元気を取り戻してからのあなたは……」


〈レウォンは真剣なまなざしで次の言葉を待っている。〉


修道女ダリル「私が今まで出会った誰よりもまっすぐで、人に優しく、命を尊ぶ人です。記憶を失っても人間の本質はそう簡単に変わらないと私は信じておりますよ」


レウォン「僕も楽観的にそう考えていました。今ここにいる自分は、仲間と一緒に旨いパンを焼き、お客さんが喜んでくれることが本当に嬉しい。それだけなのです。きっと記憶を失う前も、大切にしてきたものに変わりはなかったのではないかと。でも、もしかすると、僕は全く違う人間だったのかも知れないのです」



[26]ー坂の上の教会 控え室の扉の前 廊下


〈立ち聞きをしているポリー。〉


ポリー(心の声)「レウォンさんは自分でも何か思い出したの……?」



[27]ー坂の上の教会 控え室の中 続き


レウォン「昨晩、浜辺でパン屋の仲間が野犬に襲われました。その時、僕は無意識に五蛇いじゃ剣法と呼ばれるものを使ったようです」


修道女ダリル「?」


レウォン「はい。傷跡が特殊で、黒魔術と関わりのある一味の秘法と言われる剣術だそうです」


修道女ダリル「〈さすがに驚き〉あなたが、その秘法を知っていたのですか?」


レウォン「襲ってくる野犬と必死で闘った時、自然と体が覚えていました。シスター、僕は邪悪な集団にいて、この手は犯罪に関わっていたかも知れません。〈がっくりとうなだれ〉本当の自分を知るのが怖いのです。耐えられないような、ひどい過去があるとしたら!」


〈レウォンのそばに行き、手を握る修道女ダリル。〉


修道女ダリル「レウォン……」


レウォン「知ってしまったら、僕はそんな自分をどうしても受け入れられない。誰かを愛する気持ちさえ失いそうで。それならば、いっそのこと、何も思い出さない方がいいのではないでしょうか?」


【レウォンの回想:笑っているポリーの幾つかの場面。】


〈少し考えてから話し始める修道女ダリル。〉


修道女ダリル「レウォン、嫌な記憶が戻るかも知れないと毎日恐れながら、これからの長い人生をずっと生きていきますか?過去に向き合うことも、過去に打つ勝つことも、とても勇気のいることです。確かに誰にでも出来ることではありません。でも、レウォン、あなたは、その勇気を持てる人だと私は信じています」


レウォン「勇気をだして向き合った、その結果が、醜くひどい本性の自分だとしたら、どうすれば良いのでしょうか?僕には無理です……。耐えられそうにない……」


修道女ダリル「それでも生きるのです。罪を背負って生き抜くのです。罪を消そうと思ったり、目をそらしてはいけません」


レウォン「あまりに辛く重い十字架でも背負うのですか?」


修道女ダリル「生きていけば、あなたが必ず誰かを助けたり、守ったりする機会が来るはず。その瞬間が、神様があなたに向けて手をさしのべられている時と悟りなさい。その手を握り、精一杯自分が出来ることをするのです。自分が犯してしまった過ちに責任を取れるのは、自分自身しかありませんよ。それを肝に銘じるのです」


レウォン「シスター……」



[28]ー坂の上の教会 控え室の前 廊下


〈声を殺して泣いているポリー。少し前から離れた所でポリーの様子を見ていたジュリアスが近づいて来る。驚くポリー。〉


ジュリアス「〈小声で〉レウォンはここにいるのか?」


〈返事をする前に、急いでジュリアスを少し離れた場所に引っ張っていくポリー。〉


ポリー「ジュリアス、レウォンさんを捕まえに来たの?」


ジュリアス「ポリーも彼がケインと気づいているんだね?」


ポリー「頭ではもしかしたらと思い始めている。でも、私の心はどうしてもケインと認めることを拒むの。レウォンさんは何度も私や仲間を命がけで助けてくれた人よ。あの邪悪なケインと同一人物なんてどうしても思えない」


【ジュリアスの回想:数時間前 教会の庭 青く光ったレウォンのピアスと、ジュリアスが持っている石。】


ジュリアス(心の声)「ポリー、僕はレウォンがケインだという証拠を見てしまったんだ。でも……」


【ジュリアスの回想:17年前 民政大臣の家の庭 『兄たん』とジュリアスを追いかけてくるカノンの姿。】


ジュリアス「確かに記憶を失っている、今の心が本当の姿を現しているのかも知れないな」


ポリー「ジュリアス、お願い。そう思うなら、もう少しだけ待って。記憶を失った今の状態でレウォンさんが捕まれば、自分が何をしたのか分からず説明することも出来ない。ただ拷問にかけられ死刑になるだけだわ。〈涙ぐみながら〉レウォンさんは今、記憶を取り戻しつつある。自分で、その責任を取る覚悟をしようとしているのよ」


ジュリアス「ポリー……」


ポリー「それに、まだレウォンさんがケインと絶対に決まった訳ではないわよね?」


〈ジュリアスに必死で懇願するポリー。〉


ジュリアス「ポリー、あの男の為にどんなに傷ついても後悔しないか?」


ポリー「ジュリアスはまだ何か知っているの?」


ジュリアス「父上からポリーにだけは絶対に言うなと口止めされてきた。自分が過去の恐ろしい事実を知ったのはマリオが亡くなった夜だ。ポリーにだけは隠せるものなら隠し通したかったよ。でも、お前たちは出会ってしまった。父上もまさか、そこまでは考えもしなかっただろう」


ポリー「私が知らない真実が過去にあるのね」


ジュリアス「ああ……。家族に関する重大な事実だ……。だから、どうすることが正しいのか、自分も正直、迷っていたんだ。ただ、こうなったからには腹をくくることに決めたよ。レウォンをまず助けよう。自分達と行動を共にすれば、薬師の手下はもちろん、わが国の近衛隊もすぐには、あのケインと気が付かぬはず。灯台もと暗しというものだ。さりげなく一緒に緑の国へ連れて行き、父上と最善の方法を考えるべきだと思う。レウォンはポリーを信用している。緑の国に行こうと彼を誘ってくれ」


ポリー「レウォンさんを救うことが出来るなら私は何でもする覚悟よ。レウォンさんは首飾りを持っているの。姫のものかどうか分からないけれど、自分の出生の手掛かりとして大切にしているわ。それを使って緑の国へ行くよう話してみる」

              

ジュリアス 「今すぐレウォンと先に話が出来るか?過去の話は後でするよ」


ポリー「やってみるわ……」  



[29]ー坂の上の教会 庭


〈修道女ダリルと話し終わったレウォンが礼拝堂から出てくる。庭で待っていたポリーが声を掛ける。少し離れた所で隠れて待っているジュリアス。〉


ポリー「レウォンさん」


レウォン「ポリーさん!どうしたんだ?待っていてくれたんですか?」


ポリー「ええ。早くレウォンさんと話がしたかったから……。夜まで待てなくて。シスター・ダリルから聞いたのだけれど、崖で見つかった時、首飾りをしていたのよね?」


〈少し戸惑いながら頷くレウォン。〉


ポリー「どんな首飾り?前にちらっと見えた時、緑の国によくある特徴の模様のように思えたの。気のせいかも知れないけれど、一度見せてもらってもいい?」


レウォン「これ……」


〈首飾りをはずしてポリーに渡すレウォン。渡された首飾りをじっと見るポリー。〉


ポリー(心の声)「姫の首飾りの石の彫り模様に似ていると言えば似ているけれど」


レウォン「どうだった?緑の国によくある特徴の物かな?」


〈早く返して欲しそうに手を出すレウォン。〉


ポリー「〈返しながら〉そんな気もするし、でも絶対にそうとも言えないわ。ただ似ているのは確かよ」


〈首飾りを掛け直すレウォン。〉


レウォン「この首飾りは、多分、特別なものだと思う」


ポリー「どうして?」


レウォン「君にだけ言うけれど、この首飾りの御蔭で僕は助かった気がするし、体の回復も早かったように思うんだ。それに、この左手……」


〈レウォンは自分の左手を見る。〉


レウォン「もともと、左利きだったのかも覚えてないけれど、それにしても、この首飾りをしていると、左手に時々ものすごい力を感じるんだ……」


ポリー「左手にものすごい力……」


ポリー(心の声)「ミレーネとジュリアスが首飾りには不思議な力が秘められていると言っていたわね。どんな力かは私は知らないけれど、魔王と闘えるぐらい強力なんだわ。もし、万が一、レウォンさんがケインで、この首飾りがミレーネ姫のものなら、ミレーネに首飾りを返すことだけは譲れない。それだけは分かって、レウォンさん……」


レウォン「それより、僕が君とこんな風にため口で話していていいのかい?君は王家の関係者なんだろう?」


ポリー「いいのよ。気にしないで。あなたは今まで何度も私の命を救ってくれた恩人なのだから。私にとってレウォンさんは大切な人よ。これから先、何があっても」


〈何かを決意したようなポリーの毅然きぜんとした口調に少し驚くレウォン。〉


ポリー「レウォンさん、この首飾りが緑の国と関係しているかどうか、この際、はっきり確かめた方がいいと思うの。記憶を取り戻す助けになるかも知れないから。明日、私と一緒に緑の国へ旅立ちましょう。そうすれば緑の国に滞在している間にもっと色々な話も出来るわ」


レウォン「君と一緒に緑の国へ?」


ポリー「ええ。緑の国へ。記憶を取り戻すために!」


ポリー(心の声)「これがレウォンさんのために、今、私が出来る最善策なのよ……」



[30]ー港町 豪華な宿屋


〈近衛隊が警護しているので、今夜はポリーは姫と別の部屋をもらっている。教会から戻って宿屋に入った後ずっと部屋に引きこもり、ベッドで泣き続けているポリー。〉



[31]ー【ポリーの回想 その1:数時間前 教会の外の道 】


〔隠れて待っていたジュリアスに報告するポリー。〕


ポリー『一緒に緑の国へ行くことを承諾してくれたわ。首飾りは姫のものと似ていたというところまでしか私には分からない。姫に見せない限り、本物かどうか、はっきりしないでしょう?もう一度聞くわ。それまでレウォンさんがケインとは決めつけなくていいのよね?』


ジュリアス『実はもう打ち明けてしまうが、ポリー、あの若者は間違いなくケインなんだ』


〔目を見張るポリー。〕


ポリー『え!?』


ジュリアス『そして、覚えているか?昔、我が家にいたカノンの話を……。ケインは、幼い頃、という名の“女の子”として、ある事情で我が家に預けられていた。なぜ、その子が薬師ゴーシャ魔王グレラントのもとに行ったのか……。その理由を知ったら、重い十字架を背負うのは彼ではない。自分達の方だと分かるはずだ。恐ろしくて信じがたい話なのだが』


〔茫然としているポリー。民政大臣である父から聞いた話を語りだすジュリアス。〕                

 


[32]ー【ポリーの回想 その2:数時間前 教会の外の道 続き】


〔ジュリアスの話を聞いて地面に崩れ込むポリー。〕


ポリー『ああ、ああ。そんな……。それで、カノンは誰なの?本当はどこの誰の子か分かっているの!?』


ジュリアス『父上は大切な人から預かったとだけしか教えてくれなかった。ケインであるレウォンをかばっていることは反逆罪にとがめられても仕方がないが、これが僕らの運命だ。もう流れには逆らえない』

                 

ポリー『ミレーネには?』


ジュリアス『事実は言えない。レウォンと同じように誤魔化すしかないだろう。ミレーネはケインの独特な匂いを知っている。道中、二人が近づかぬように十分、気を付けて行こう』

                 


※第4話 終わり

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