第3話

ガンガンガンガン…「起床!起きれ~野郎共!!」

朝早くから騎士寮の副長が寮の廊下をバケツを持ち高い音で僕達の部屋を周り起こしていく…

騎士学校と騎士寮に入り一週間が過ぎ、寮の朝は早く

僕達騎士の朝は掃除から始まる。

僕の部屋は二人部屋で、相棒はいつも朝が弱い為僕が起こす日課になっていた。

「おい、トム朝だよ!遅れるとまた怒られるよ」

騎士寮に入って初日から僕達は副長から怒られ、掃除の追加までする事になり、遅刻常習犯と言われるまでにもなった。

バン!部屋の扉が突然開き僕は驚き後ろを振り向くと副長が立って思いっきりバケツを叩き出した!

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン…

部屋が狭いため大きな音が鳴り響き、眠っているトムに襲いかかる。

「うあっ!?何?敵襲?!」

トムが慌てて毛布をはね除け、周りを見回していた。

「これが敵の攻撃ならお前は数秒であの世行きだな」

副長の呆れた顔でトムを見て言った。

「お早う御座います副長、出来れば静かな音で起こして貰えませんか?」

「静かな音か…よし、お前には特別に盛大な音で起こして上げよう、ロイは廊下で待っていると良い。」

「えええっ、俺だけですか?嫌な音で起こされそうなので辞退しても良いですか?」

「遠慮はするな明日が楽しみだな~トム!俺から起こされたくなければ自力で起きろ!」

ガシガシとトムの頭を副長が触り終えると笑いながら部屋を出ていった。

「ハハハ、副長に目を浸けられたねトム」

「楽しい夢が大砲のような酷い音で台無しだよ」

同僚のトムは伯爵の息子で、伯爵の仕事を手伝う事が嫌だとかで、騎士の道に進みたいと両親を説得をして、騎士学校に行く事が出来たと言っていた。

自分の意思で自分の道を見つけているトムが羨ましく思い、僕も自分の意思をはっきりと父や兄弟に伝える事が出来たらと…自分の非力無さに悔やんでしまう。


寮の掃除は寮に住んでいる騎士達全員で行う。

自分達の部屋は後回しで掃除をする事になり、騎士寮の廊下に窓拭きに庭掃除、寮の庭は稽古場としても使う事があるため庭掃除は大変だ。

勿論僕とトムは庭掃除に回され他の騎士三人加わった。

「えーっ、この人数で、朝食前に終わらせろって?」

トムが両手で庭のはわき棒を持ち愚痴を言い出した。

「色々言ってもどうする事も出来ないよ、早く終らせよう」

僕達は手分けして庭の掃除を始めた。

僕は騎士寮の建物の周りを掃く事になり、建物の周りには木々が多く立ち並び草も結構生えている僕は最悪の事を考えた。

今度トムがまた副長の音で起きることが出来ない場合庭の草むしりに成るのでは?色々考えながら木々の周りを掃いていた時上から窓が開く音が聞こえた。

ガラッ!

「そこの人退いて!」

「え?」

僕は声が聞こえた建物の二階を見上げた。

ドサッ!!

と、僕の上に人が落ちてきた。

僕と上から落ちてきた男性が、僕と余り変わらない背格好で、僕は信じられない事が起きてしまった…

僕の体と重なる様に男性の唇が僕の唇と重なっていた。




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