第8話
眠りから覚めて三年、疲れを感じた。ひっそり暮らしたいと思った。そんなとき、彼からプロポーズされた。いつかこうなると思っていたが嬉しかった。彼は優月家の末裔だったが千年もの期間が血縁を遠くしており、結婚に問題はなかった。
今だから言うけど、と前置きして彼は言った。
「眠る君をはじめて見たのは五歳のころだった。父の研究を見学したときだ。その時から、その・・・・・・君のことが好きになってしまったんだ」
それから、父の研究を手伝うことにしたそうだ。
「ロマンチックなこと言えるんだね」
と私は笑った。
この時代は結婚式や披露宴をする習慣がなかった。届出をした瞬間から夫婦になり、家を持つことができる。しかし、私たちは慣れ親しんだ彼の家で彼の両親とともに生活をすることを選んだ。彼の両親はとても喜んでくれた。
私は彼に披露宴をすることを提案した。
「友人や親戚を呼んで祝うなんて聞いたことないけど、楽しそうだ。是非やろう!」
海の見えるレストランに親戚や友人、音楽教室の生徒、数十人が集まった。卒業生が演奏を披露した。音楽は私の手を離れてこの時代を歩き始めていると実感した。
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