第68話 王都マガダ
アイアンスコーピオンの群れをほぼ一掃し、追い払うことに成功した僕は、『宝珠システム・バージョン1』に満足した。
「やったね、蓮くん、まるでチート系の主人公みたいだよ!」
「百合ちゃんがチャージしてくれた大容量『マナバッテリー』があればこそだよ。こんな大量の魔法を発動できる人間なんて、他にはいないだろうからね」
「え?じゃあ、結局、私がすごいの?」
「そういうこと」
「でも、これは蓮くんの力だよ。私には逆立ちしても、こんなの作れないもん」
嫁さんは、僕の成功を見てニコニコ顔だ。
騎士団のもとに戻ると、コリウス部隊長が大袈裟な態度で迎えてくれた。
「レン様!お見事な戦いぶり、拝見させていただきました!まさか、モンスターの大群をたったの一撃で全滅させてしまうとは!私、あまりの感激に言葉もありません!!」
「あぁ、いや……半分は妻がやったことですので……」
「またまたご謙遜を!ユリカ様もサポートご苦労様でございました」
コリウス部隊長に僕のことを褒められ、嫁さんはさらに上機嫌になった。
「えへへへへぇ。ウチの旦那様、すごいでしょ」
「ええ、それはもう!私、本日、目にしたことは末代までの誇りと致しましょう!!」
「いやいやいや……ほんとに大袈裟ですって……」
僕は一人、恐縮していた
気づけば他の騎士たちだけでなく、待機中だった旅人や商人も興奮気味だった。
そうして、無事にモンスター大量発生の件を解決した僕たちは、最後の宿泊場所へと向かった。
僕は嫁さんに言われたことを思い出し、その日の晩は、研究にのめり込みすぎないよう気をつけながら、最後の一押しをして寝付いた。
これで『宝珠システム・バージョン1』は本当の意味での完成形となった。
心地よい疲労感に包まれ、僕は朝までグッスリ眠ることができた。
そして、馬車の旅、最終日。
異世界生活21日目。
馬車に乗る前に僕は、『宝珠システム』を起動して、あることを実行した。それから乗った。出発してから、しばらくすると嫁さんが呟いた。
「……あれ、なんか今日の馬車、乗り心地がすごくよくない?」
「うん。成功だ」
「何が?」
「馬車の車輪に風の魔法を掛けた。空気を圧縮し、固める魔法さ。つまり、今、この馬車の車輪には透明のタイヤが装着されているんだ」
「はぁぁぁっ!?システムってそんなこともできるの!?」
「今までは、僕が見つけた魔法陣の法則性、『チェックディジット』を魔法改造するごとに僕が自分で計算していたんだ。でも、それじゃ、一つの魔法を作るのに、かなりの時間が掛かる。そこで、『チェックディジット』の計算ロジックを『宝珠システム』で構築したんだ」
「え、つまり、どういうこと?」
「僕が使いたい魔法をその場で計算して作り出す。これが本当の『宝珠システム』の使い道なんだ」
「完全にチートじゃん!!!」
「だから、こういうこともできるんだ」
僕は起動中だった『宝珠システム』を操作し、ちょうど今、出来上がったばかりの魔法を発動させた。馬車の中に、ひんやりとした空気が流れた。
「あ、涼しい!エアコンみたい!」
「この国は暑いからね。火の魔法を応用して、空気中の熱を操作してみた。馬車の中の熱を外に放出しているんだ。まさにエアコンの冷房だよ」
「なんでもアリじゃん!!!」
「いや、まだまだ始まったばかりだ。改良の余地が山ほどある」
「もう、なんなの、この人……!」
「シャクヤから教わった魔法理論と僕の技術、そして、百合ちゃんの無尽蔵とも言えるマナがあって、初めて完成したんだよ」
「なんなの……ほんとになんなの……この人……」
嫁さんは呆れたようなセリフを言っているが、さっきからニヤニヤしながら、僕に肩を擦り寄せていた。
これまで僕のシステムエンジニアとしての仕事は、嫁さんからすると”難しい話”になるため、詳しく語ったことはほとんどなかった。ところが、『宝珠システム』は目に見える形で、僕の技術を教えるきっかけになり、今さらながらに彼女の好感度が上がったようだ。
「おかしいよ、ほんとに……この人なんなの……」
そんな嫁さんと目が合ったので、僕はぶっきらぼうに答えた。
「(ただの)君の旦那だよ」
すると満面に笑みを湛えて、僕に腕組みをしてくる嫁さん。
「そうだよね!私の旦那様って、こんなにすごい人だったんだねぇ!」
ありのままの事実を告げただけなのだが、予想外に嫁さんが歓喜した。
嫁さんがはしゃいでいるため、御者がこちらをチラチラ振り返る。人前であまりベタベタされると、ちょっと恥ずかしい。僕は照れ隠しに苦笑いするしかなかった。
こうして僕と嫁さんは、無事に目的地に到着したのだ。
――王都『マガダ』――
さすがに大国の王都だけあって、これまで見たことのない大規模な街並みだった。
高くて広大な城壁に囲まれた城下町は、中心にある大通りに沿って、大きな店舗が並び、その裏には家々が並んでいる。それ以外にも多くの道路が整備され、人々の住まいが所狭しとひしめいている。
大通りの向かう先には都市の中心に位置する宮殿があった。
宮殿は、高さよりも広さが重視され、広大な土地にいくつもの建築物が並んでいる。ところどころに存在する塔の屋根は、タマネギのような形をしており、まさに”砂漠のお城”といった印象の宮殿だった。
また、その庭園には巨大な噴水があるのだが、よく見るとそれはそのまま水源になっているようで、城下町に何本も流れている小川へ注がれていた。あとで聞いたところによると、水の精霊魔法によって、城下町の水が確保されているらしい。つまり、砂漠に造られた人工オアシスによる一大城下町なのだ。
「うっわぁーー!すごいねぇーー!!」
「広さ的にも東京23区くらいあるんじゃないかな。江戸の町は人口100万だったと言われているけど、ここも同じような規模だ」
「……あ、蓮くん、一つ悪いお知らせがある」
「え?」
「魔族の気配を感じる」
「マジで?」
「この街のどこかにいるみたいだね。遠いから場所はわからないけど」
「人数は?」
「たぶん1人」
今のところ、それ以上の情報は掴めないようだったので、僕はコリウス部隊長に進言しておくことにした。
「なんと!了解しました。他ならぬレン様のご忠告とあらば、城下町の警護をより強化しておくことと致しましょう」
「気づいたのは妻ですけどね」
「またまたまた!ご謙遜を!」
もう何を言っても僕の手柄としか思えないようだ。
このコリウス部隊長という人物、少ない情報から僕たちを探し当てた有能な人だと最初は思っていたのだが、どうも頭の中が凝り固まっている。とても柔軟な発想で物事を洞察するタイプではないように思えてきた。もしかすると、僕たちまで辿り着けた背景には、彼を補佐する有能な人物が存在していたのかもしれない。
その後、昼食と宿泊先について尋ねると、意外な返事が返ってきた。
「それにつきましては、国王陛下からお呼び出しを受けるまでの間、私の住まいにて、ご休憩ください」
「え、コリウスさんのご自宅にですか?」
「はい。狭い所で申し訳ありませんが、家の者も歓迎してくれましょう」
それを聞いていた嫁さんが、僕に尋ねてきた。
「あれ?お城に行くんじゃないの?」
「まぁ、ゲームならこういう時、城に直行するんだけど、あちらは政治を行っている権力者だからね。向こうから呼び出しがかかるまでは普通は何日か待機するもんだよ。城にアポなしで突入するなんて、ゲームの中か、昔のバラエティ番組くらいなもんだ」
「そっかぁーー。言われてみれば、そうだね」
二人の会話はコソコソしたものだ。
ところで、正直言うと、コリウス部隊長の下手に出すぎる態度が小役人っぽい感じがして、僕はあまり好きになれなかった。よって、これ以上、彼の世話になるのは気が引ける。
「コリウスさん、お気持ちはありがたいのですが、そこまでご厄介になるわけにもいきませんので、僕たちは別に宿を取りたいと思います」
「いえ!そのようなことをおっしゃらずに!何も迷惑なことはありませんし、家の者も楽しみにしております。先程、狭い所と申しましたが、もちろん社交辞令ですので、どのような宿に宿泊するよりも、おくつろぎいただけることと思います!」
コリウス部隊長は必死になった。
「いや……それはありがたいのですが……」
「どうか、お願い致します。旅先ならいざ知らず、この王都に着いておきながら、勇者様をその辺の宿にお泊めしたなどと国王陛下に知られたら、私がお叱りを受けてしまいます!」
そこまで言われてしまうと、断りきれない。わざわざ歓迎してくれるのを無碍にもできないので、仕方なくコリウス部隊長のご厄介になることにした。
「わかりました。ではコリウスさん、すみませんが、お世話になります」
「ええ。どうぞお越しください!」
本人が言ったとおり、コリウス部隊長の自宅は豪華なものだった。僕と嫁さんは、貴族の屋敷に初めて入った。騎士団の部隊長をやっているだけあって、庭も建物も豪勢な造りだった。
コリウス部隊長は、奥さんをはじめ、家の人たちに僕たち夫婦を紹介した。”勇者様”ということは、さすがに伏せているが、名のある人物だとしきりに語って聞かせていた。既に家族には連絡が行っていたようで、ご馳走まで準備されている。
一般的に貴族というものは、名誉を重んじるものだ。おそらくコリウス部隊長は、のちに”勇者”と認められる僕たちを逗留させておくことで、家柄に箔を付けたいのだろう。
ひととおりの歓迎を受け、食事をご馳走になった後、僕と嫁さんは二人で城下町を散策することにした。ところが、コリウス部隊長が、ご丁寧にも馬車で案内してくれると言う。この人は他に仕事が無いのだろうか。遠慮しても引き下がらないので、結局、また彼の世話になることにした。
お陰で、主要な施設の場所はおおよそわかった。その中には、国内で唯一、魔法研究が行われている精霊神殿、ハンターギルドのマガダ支部、そして、王立図書館もあった。
街の様子といえば、もう一つ気になることがあったので、僕は嫁さんに確認を取った。
「さっきの魔族の気配はどう?」
「ううん。やっぱりハッキリとはわからない。街の中心部には、いないみたい」
「そうか。いったい何をしているんだろうな……」
夕方にコリウスさんの自宅に戻った。やはり僕たちの部屋は別々に用意されていた。
だが、そこで宮殿からの知らせがやってきた。
「レン様、今し方、宮殿から知らせが参りまして、今宵、お越しいただきたいという由にございます」
「え、今夜ですか?」
「はい。レン様、お一人で、ということでした」
「僕一人?どういうことでしょうか?」
「お仲間の方々には、あとでお呼び出しがかかるものと思われます。今宵は、勇者様お一人のみ、特別に王女殿下がお会いしたい、とのことでございます」
「「えっ」」
僕と嫁さんは同時に声を発した。
「あの、なぜ王女様が急に僕を呼び出すのでしょうか?」
「それは、わかりかねます」
「一応確認したいのですが、王女様は、”勇者”を呼んだのでしょうか?それとも僕を名指しで呼んだのでしょうか?」
「”勇者レン様”に是非ともお越しいただきたい、との伝令でございます」
「完全に”勇者”扱いされちゃってる……」
そう言いながら僕は嫁さんに目を向けた。彼女はそれに微笑して答えた。
「まぁ、いいんじゃない?どっちでも同じことだよ。それに蓮くんの方が難しい話ができて、いいんじゃないかな」
「うん……王女に直に会えれば、『勇者召喚』の術式を教えてもらうという、僕の第一の目的に大きく近づく。これは願ってもないチャンスだ」
「じゃ、行ってきなよ」
「わかった」
嫁さんとの話を済ませて、僕はコリウス部隊長に答えた。
「では、お城に参りましょう。すぐに用意してきます」
「かしこまりました。私も馬車を用意致します」
そして、僕が部屋に行こうとすると、コリウス部隊長がさらに付け加えた。
「あ、そうでした。今宵は遅くなるので、そのまま宮殿内にお泊まりください、とのことです」
「「えっ!!」」
再び夫婦そろって驚きの声を上げた。
ただし、今度は嫁さんの方が大きめだった。
ついに部屋だけでなく泊まる場所さえ、嫁さんと離ればなれになるのだ。
焦った嫁さんが、後ろから僕の服をチョイチョイ引っ張ってくる。
すぐに部屋に行き、二人で家族会議となった。
「ちょっと蓮くん!どういうこと!?王女様に会うのはいいとしても、そのままお泊りって!」
「いや、わからないよ……」
「夜に旦那を一人、綺麗な王女様のところに行かせて、お泊りコースって!そんなの妻として許せるわけないでしょ!」
「綺麗かどうかはわからないよ」
「そこは重要じゃないでしょ!お泊りが問題なんでしょ!」
「わかってる。わかってるよ。でも、相手は一国の王女だ。そんな人からの招待を断ってもいいものかどうか……」
「だったら、私も行く!!」
「え?」
「私もついてく!」
「いや、さすがにそれは無理なんじゃ……」
「黙って、ついていけばいいんだよ。ほら、こうすれば――」
そう言うと嫁さんは姿を消した。
「あっ!そうか……気配を完全に消せるのか」
「どう?私のこと見える?」
「声は聞こえるのに全く認識できないよ。どこだ?」
「ここだよ。ふぅっ!」
という声と同時に僕の耳に生温かい息が掛けられた。それでも彼女の存在を認識できない。
「うおっ!」
「ふふふっ、ここまでされても、わからないんだね」
ようやく嫁さんは姿を現した。
「……わかったよ。でも、ついてくるのはいいけど、ここの家の人にはバレないようにしないと」
「うん。そこはうまくやるよ。あとから合流するからね」
「道がわからないだろ?」
「蓮くんの気配を追うから大丈夫だよ」
「そうか。じゃ、気をつけてね」
「それは、私のセリフ」
僕は準備を整え、コリウス部隊長の用意してくれた馬車に乗った。
城下町の中心に堂々と構えられた宮殿の敷地に入る。
宮殿の敷地内には、多くの建物が点在しており、その一つの前で馬車は止まった。
「こちらが王女殿下のいらっしゃる建物でございます。それでは、明日、お迎えに上がります」
コリウス部隊長は馬車で帰っていった。
建物の玄関前には、侍女らしき女性が1人立っていた。
「レン様でございますね。本日は、長旅のお疲れも癒えぬうちにお越しいただき、ありがとうございます。王女殿下に代わり、御礼申し上げます。どうぞ中へお入りください」
気品のある女性だった。王女に仕える侍女ともなると、やはり何か違うのだろうか。
玄関の扉が自動的に開いた。と、思ったら、2人の侍女が中から開けてくれたのだった。
屋敷の中は、コリウス部隊長の家よりもさらに豪華な造りをしていた。また、女性が屋敷の主人であることを象徴するかのように、かわいらしいデザインの装飾が散りばめられていた。
「わぁっ!かわいいっ!」
僕のすぐ耳元で嫁さんの声が小さく聞こえた。僕は一瞬、ビクンと震えた。彼女は既に僕に追いついて、そば近くにいたのだ。なんと恐ろしい嫁さんであろう。
「ちゃんとうまくやったのか?」
僕が小さく呟くと、嫁さんも小さく答える。
「長旅で疲れたから今日は休む、って言って部屋に閉じこもったんだ。あとは、窓から出てきた」
窓から、と言うが、嫁さんの部屋は2階だった。まぁ、今さらツッコむようなことではないが。
「……黙ってついていくから、安心して」
「はいはい……」
「レン様、どうぞ、こちらでございます」
最初の侍女が僕を奥の方に案内してくれる。僕はそれについて行った。
「屋敷の当主である王女殿下は、ただ今、仕度を整えておられますので、まずは、レン様のお部屋へご案内させていただきます。なお、このお屋敷にご宿泊される殿方は、レン様が初めてとなりますので、ご承知置きくださいませ」
「は、はぁ……」
なんだなんだ。どういう意味だ。
これで僕が独身だったら、ウキウキする言葉だったかもしれないが、嫁さんのいる身の上では、困惑する以外ないだろう。しかも、当の嫁さんが今、隣に同伴しているのだ。
と、考えていると、ここで奇妙なことが起こった。
宮殿の一角として、静かで優雅な雰囲気を漂わせていた屋敷に、急にドタドタと人が走るような音が響いてきたのだ。それは慌ただしくこちらに近づいて来た。音は2階の方からしてくる。そして、遠くから叫ぶような声が聞こえた。
「フリージア!フリージア!ちょっと待って!まだその部屋は!!」
ちょうどそれは僕たちが2階に通じる階段のそばを通りかかった時だった。そして、声の主は、階段を降りる音とともに踊り場から姿を現した。僕がふと、そちらを見るのと、その人物が声を発するのとは同時だった。
「あっ!」
そして、間を置かずに、すぐ近くにいるはずの嫁さんの声が聞こえた。
「蓮くん、危ない!」
その人物――綺麗なドレスを身に纏った女性が、声を上げると同時に階段で足を滑らせたのだ。勢い余って、彼女はこちらの方にダイビングしてきた。このまま落ちれば大怪我してしまうだろう。
僕は、瞬時に『宝珠システム』から魔法を発動させた。
今朝作ったばかりの空気を圧縮して固める魔法だ。
彼女が地面に激突する前に透明のクッションが受け止める。ポヨンと弾んだその女性は、僕の目の前に仰向けになってゆっくりと飛んできた。
僕はそれを両腕で優しく受け止めた。
結果的に”お姫様抱っこ”になった。
女性の頭を覆っていたヴェールが、一連のドサクサで落ちてしまった。
綺麗で長いピンク色の髪が、フワリと空を泳いだ。
僕は、抱きかかえた彼女の顔を見て、言葉を失った。
その美しさに息を呑んだ、というのもあるが、それ以上に驚いたことがあったのだ。その顔が見覚えのあるものだったからだ。
「ま、まぁ!ラクティフローラ様!なんてことでしょう!今、レン様が受け止めてくださらなかったら、どうなっていたことか!」
驚愕して叫んだ侍女の声で、僕は我に返った。
『ラクティフローラ』と呼ばれた、この女性こそ、まさしく王女だったのだ。
「……大丈夫ですか?」
落ち着いて、というか、半ば茫然として訪ねる僕。
王女の方も、それまでずっと硬直していたのだが、ここで何かハッとして僕の顔を見た。
お互いに目が合うと、王女の顔は見る見るうちに真っ赤になり、ゆでダコのようになってしまった。そして、僕の両腕から離れてガバッと起き上がり、何事かを呟いた。
「も……!も…………も………もうしわけっ……!」
顔を伏せながら小さく呟くのだが、最後まで言い切ることができずにサッと走り出し、侍女の手を取った。
「えっ!ラクティフローラ様?」
侍女は、訳もわからず連れて行かれてしまった。
その場には僕と気配を完全に絶っている嫁さんだけが残った。
「あれが……王女か……」
「蓮くん、ナイスキャッチだったね」
「仮に失敗しても百合ちゃんがいるから、なんとかなるだろうと安心してたしね。それより見た?あの王女の顔……」
「うん。ビックリしたよ。シャクヤちゃん、そっくりだった」
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