第47話 癒しの秘湯
ここは、『環聖峰中立地帯』にあった遺跡の崩れた跡地。そこに突如出現した秘湯である。
いや、出現したのではなく、主人公、白金蓮が宝珠魔法の改造によって作り上げた人工風呂であった。壁に囲まれたこの風呂に今、魔族討伐から生還した女性たちが入浴している最中である。
残念ながら、白金蓮は一緒に入ることはできないので、彼に代わって彼女たちの会話を覗き見ることにしよう。
「いやぁ、これはいい。良すぎる。ガヤ村に着くまで、風呂は諦めていたから、こんなに嬉しいことはないぞ。しかも、あたし達、女を先に入らせてくれるなんて、あのレンという男は何だ?神か?」
長身に日焼けした肌。美貌の顔立ちに真紅の髪を束ねて、湯に浸かっているのは、”女剣侠”ことローズである。
”モデルのようだ”と白金蓮が例えたように、細くスラリと伸びた手足は、筋肉質でありながら、女性らしい柔らかさを兼ね備えている。豊満なバストにくびれた腰、そして滑らかなヒップライン。その抜群のスタイルは、道行く者を男女を問わず振り向かせるだろう。
「神は言いすぎですよ、ローズさん。まぁ、女をすごく立ててくれるところがあるんで、私も最初はビックリしましたけど。ねぇ、ユリカ?」
笑いながらローズをたしなめるのは、緑がかった髪に褐色肌のイケメン女子、ダチュラだ。
彼女もまた、若くしてベテランハンターに負けない強さを持つに至っただけあって、均整の取れた肢体としなやかに凹凸のある肉体は、健康的な色気を帯びていた。
「え、そう?私たちからすると、それは普通なんだけどね。もちろん蓮くんは優しい人だけど」
と、とぼけて答えるのは、魔王すらワンパンで倒す、我らが無敵のヒロイン、白金百合華。
透き通るような白い肌と美しい黒髪。ローズほどの高身長ではないが、本来スポーツ女子だった彼女は、背も高い方だ。
それなりに肉付きの良かった肉体は、若返ったことによって余分な肉を削ぎ落とし、抜群のスタイルとなって美麗なシルエットを描き出した。夫である蓮が”グラビアアイドル”と表現したように、世の男性の目を釘付けにする魅力を持つ、非の打ちどころのない美少女に変身していたのだ。
「ごめん。ユリカの普通が私、よくわからないわ……ところで、カメリア。そんな遠くにいないでこっちに来れば?」
ダチュラに呼ばれたカメリアは、他の4人と比べると、あまり器量良しとは言えない。とはいえ、これは、比べる相手が悪かっただけのことで、彼女もまた、その丸顔とぽっちゃり体系が相まって、平凡でありつつ男性から好かれるタイプの容姿をしていた。
「い、いえいえっ。めっそうもねえです。皆様が美しすぎて、わたすなんかが近寄るなんて、おこがましいです」
「いいから、こっちに来なさいよ。あなたもかわいいじゃない」
ダチュラが催促するが、カメリアは遠慮する。
「いえ、いえいえいえ。わたすは何日もお風呂に入らせてもらえなかったので……きたねえんです。くせえんです」
「さっき洗ったんだから大丈夫よっ。ほら、カメリアちゃん、こっちに来て」
そんなカメリアに百合華が近づき、後ろから抱きついた。
中身は35歳。結局のところ、彼女が一番馴れ馴れしい。内心では、若い女の子と一緒にはしゃぐことができて、テンションが上がっているのだ。
「ひゃぁぁぁっっ、い、いけませんよ。ユリカ様っ」
「うん。これくらいプニプニしてた方が男の人って喜ぶよ」
「そ、そうですか?」
「蓮くんもそう言ってたから大丈夫」
「そうは言うけど、ユリカだって細いじゃない」
横からダチュラがツッコミを入れる。
「え、あぁ……昔の話よ」
「ふーーん……」
「ところで、シャクヤちゃん、ずっと黙ってるけど大丈夫?のぼせちゃった?」
「えっ?」
百合華から急に振られて戸惑うシャクヤ。彼女は湯に浸かりながら、ずっと空を見上げて、ぼうっとしていたのだ。
ブルーの髪と美しく気品に満ちた顔立ちで、蓮と百合華の二人から”お姫様”と疑われた15歳の美少女。体つきの方は、まだ発育途中といったところだが、均整の取れた肢体と瑞々しい柔肌からは、これからの彼女がますます美しい女性へと成長することを容易に想像させた。
「申し訳ございません。お湯加減の気持ち良さと、レン様の不思議さに、つい夢見心地になっておりました」
「そう……」
応対しながら、百合華の心は少しざわついた。
(お風呂で夢見心地になるのはわかるけど、蓮くんのことまで?やっぱりこの子、危ないわ……)
「ユリカお姉様。レン様とは、どのようにお会いになられたのですか?」
「え?」
「あのような殿方と、どうしたらお知り合いになれるのでしょうか?」
「えぇーと……」
(どうしよう。”お見合い”って言って、通じるのかな……?)
「お母さんが紹介してくれた、って言ってわよね?」
どのように答えるべきか悩む百合華の代わりにダチュラが答えた。二人はガヤ村で長いこと一緒にいたので、身の上話をたくさんしてきたのだ。
「あぁ、うん。そだね」
「まぁ、ということは、レン様の方から、ユリカお姉様を見初められた、ということでございますね」
「え?うん……え?そういうことになるの?」
「お国の社交界で、ユリカお姉様を見かけられたレン様が、お姉様のご実家に求婚を申し出られた、ということではございませんか?」
「え……あぁ……そうかもねぇ……」
(よくわかんないけど、こっちの”お見合い”って、そうなるの?どちらかというと私たちの場合は、奥手だった蓮くんを本気にさせようとして、私の方からグイグイ行った気がする……とにかく話が噛み合わないし、蓮くんに興味持たれても困るから、シャクヤちゃんとこの話はあまり掘り下げたくないな)
そう考えた百合華は、話題を逸らした。
「そういえば、カメリアちゃんは結婚したけど、指輪はどうするの?」
「え、指輪ですか?」
「うん。結婚指輪って無いのかしら?」
「そんな高価なもの、考えたこともありません」
恐縮するカメリアの代わりにローズが的確に答える。
「指輪をつけるのは、貴族くらいだろう。結婚指輪なんてものは聞いたことがないが……」
「え、そうなの?」
ダチュラも口を挟んだ。
「あれ?レンは違うの?二人とも、おそろいの指輪をつけてるし、きっといいところのお坊ちゃんだと思ってたんだけど。お金持ちのくせに世間知らずなところとか。あと、よくわからないところで博識なところとか」
「あぁぁぁ……」
(わかった。さっきから話が噛み合わないのは、みんな、私たちをどこかの貴族だと思ってたんだ。すごいっ!私たち夫婦ってそんな風に見えるんだぁ!)
万年引きこもり状態が続いていた百合華にとって、自分と夫が貴族として見られていたということが妙に嬉しく感じられた。
「や、やだなぁ、貴族だなんて。そりゃあ、蓮くんってあんな感じだけど、そんなお高い人じゃないよ。でも、貴族に見えちゃうんだぁ……そっかぁ……」
夫が褒められたように思い、ニヤニヤする百合華。
「まぁ、そう言われると貴族みたいに高慢ちきなところは無いか。ところで、ユリカ。レンのことで一つ言いたいことがあるんだけど」
「え、何?」
ダチュラの口調が急に改まったので、百合華は少しドキッとした。
「あなた、私とレンが仲良く話しているのを見て、ヤキモチ焼いてたでしょ」
「えっ」
図星を指されてギクッとする。
「あのね、私だってリーフひと筋でずっと一緒に生きてきたのよ。恋人と死に別れたばかりで、他の男に目移りするわけないでしょ?見くびらないでほしいわっ」
「ごめん……あの時は考えることがたくさんありすぎて、モヤモヤしちゃったの」
「だいたいね。レンのことはすごいと思うけど、私は、ああいう理屈っぽい男って苦手なのよ。その点で、レンは100パーありえないから安心して」
浮気の心配はゼロだということをダチュラは告げたのだが、百合華はそれを聞いて嬉しい反面、夫の価値が下げられたような気になり、ついムキになってしまう。
「むぅ……そうは言うけどね、ダチュラ。あれはあれですごくカッコいいんだよ。私も蓮くんの頭の中とか謎すぎてよくわかんないけど、それがまたミステリアスだったりして何年経っても飽きないんだから」
ダチュラは笑いながら答える。
「ほらね。そういうところ。きっとレンの奥さんが務まるのは、ユリカくらいなんだよ」
「うん。ありがと。それは私も思う。あとね、なんやかんやで、人ってのは歳を取ると男の人の好みも変わったりするんだよ」
「え?そうなの?」
「私、昔は運動できる人が大好きで、そういう人と結婚したいって夢に見てたんだ。でも、いろいろあって自分の生活スタイルが変わっていくうちに、好きなタイプが変わってきちゃったのよ」
「へぇーー」
「ま、私の場合は正確に言うと、蓮くんに出会った時にそのことに気づいたんだけどね」
「ユリカ……あなた歳いくつよ……」
「え?」
「言ってることが、オバサンっぽいよ?」
「えぇっ!そ、そんなことないよぉーー!!」
ダチュラは冗談で言っているのだが、実は本当に30年以上の人生を歩んでいる百合華は、必死に否定した。その結果、変なイントネーションになってしまった。それを聞いていたローズが笑い出す。
「あはははははは。ユリカもそうだが、それを言ったら、あのレンという男もなんなんだ。あたしより若いくせに、時々、すごく年上のような貫禄を見せる時があって、一瞬だがドキッとするぞ」
「え……」
「同じくらいの年齢で、似たタイプの男をあたしは知っているんだが、どうにもあっちは、いけ好かない男なんだよな。なぜなんだろうか。あいつとレンでは、好感度が180度違う」
そう言われて百合華はローズをしげしげと見つめた。
(そうよ。よく考えるとダチュラより、このローズって子の方が怪しいのよ。たった一晩会わなかっただけで、あの蓮くんがこんな美人さんとめっちゃ仲良くなってたのよ?結婚前は超奥手だった、あの蓮くんが……)
自分に視線を向けて来る百合華を見て、察しの良いローズはすぐに動いた。
「そうだ。ユリカ、ちょっといいか」
百合華を端の方に連れて行き、二人だけで静かに話しはじめる。
「なに、ローズさん?」
「まだレンからは、あたしのこと何も聞いてないだろ?」
「え、うん……」
「詳しいことはレンが自分から話すと言っていたから、あたしからは何も言わないことにするよ。ただ、”すまなかった”とだけ言わせてくれ」
「えっ!何それ……何があったの?」
「いや、大したことじゃないんだ。ただの事故みたいなもんだから、あまり気にしないで欲しい」
「気にするよ!ここまで聞いたら普通に気にするよ!」
「うん……んーーだがなぁ、やはりレンが自分から話すと言うから、あたしは黙っておくよ。ただ、やましいことは何もない。それだけは安心してくれ」
「ええぇぇぇぇぇ。ひどいよ、それぇ」
「それと、この話には、あたしの隠したい秘密も含まれているんだ。だから、レンから話を聞いたときには、”おあいこ”だと思ってくれ」
「……チューしちゃったとか?」
「はぁ!?」
「事故って言うくらいだから、何かの弾みでラッキースケベが起こって、チューしちゃったんでしょ?」
「いや……何を言ってるんだ君は……それはない。そんなことが実際に起こったら、気まずすぎるだろう」
「顔が赤いけど?」
「これは温まったからだ」
「ふーーん……」
ローズから中途半端に謝罪され、モヤモヤの方が強くなってしまう百合華。
(まぁ、今日の蓮くんは、本当に私のことを心配して、命懸けで助けに来てくれたんだから、間違いが起こるはずないよね)
と、ここでシャクヤが突然、湯船から立ち上がった。
「皆様のお話をお聞きしまして、わたくし、お陰様でまとまりました。つまり、女を磨いていけば、いつかはユリカお姉様のように素敵な殿方からお声を掛けていただけるのでございますね。わたくしもお姉様を見習って頑張りたいと思います」
他の面々は、呆気に取られてシャクヤを見つめた。
(さすがシャクヤちゃん、今までずっとそれを考えてたのね……やっぱり不思議ちゃんだわ……)
呆れる百合華だが、自分を見習うと言われれば、かわいげを感じるのは必定だ。
裸のままシャクヤに抱きつく百合華。
「ああ、もう!シャクヤちゃんってば、私を見習うなんて、本当にかわいいわね!」
「ひゃっ、お、お姉様……」
ダチュラが冷やかすように言う。
「シャクヤさん、ユリカには気をつけた方がいいわよ。私は村で何度か一緒にお風呂入ったんだけど、すぐ、くっついてくるから」
「そ、そうでございますか。あの、お姉様。お胸が……お胸がすごいです……」
百合華の豊かな胸がシャクヤの背中にゴムまりのようにギュウギュウと押し当てられていた。
「シャクヤちゃんも、そのうち、大きくなるよ。それに、おっぱいっていうのは、”幸せ太り”するんだよ」
「”幸せ太り”……ですか?」
「うん。旦那にいっぱい愛されてると自然と大きくなるの」
「まぁ、本当ですか?お姉様は……レン様から?」
「うん。あの人、ああ見えて、私のおっぱい大好きだから」
「ま、まぁ……」
シャクヤは顔を赤らめて、百合華の胸を凝視した。
「やはり、レン様のような殿方に見初められるためには、む、胸を鍛えないといけませんでしょうか?」
「え?」
その様子を見ていたダチュラが笑い出した。
「ユリカ、やめときなさいよ。シャクヤさんはまだ若いんだから本気にしちゃうわよ」
「うーーん。嘘でもないんだけどねぇ。私、結婚してからバストサイズ2つくらい上がったから」
「そうなの?」
「うん」
「あぁ、だからか……」
と、一人納得して呟いたのは、ローズだ。
「「え?」」
全員がローズの方を向いた。
「あぁ、いや、あたしにも胸の成長期があったんだ。ちょっといろいろ思い出してな」
「へぇーー」
「なるほど。ということは、ユリカお姉様」
シャクヤが何か決意したように百合華に言う。
「うん?」
「レン様にお願いして、わたくしの胸を触っていただきましたら、わたくしの胸も成長しますでしょうか?」
冗談ではない真剣な言い方だった。
「いやいやいや!何、言ってるの!シャクヤちゃん!なんでそんな発想になるの!?ダメよ!ダメ!絶対!!」
慌ててシャクヤを叱る百合華の横では、ローズとダチュラが爆笑している。
「あははははははははははっ!これは傑作だ!面白すぎる!!」
「シャクヤさん、レンだけはやめた方がいいわよ。ユリカが鬼の如く怒るから」
「それはそうよ!蓮くんは私だけのものなんだから……」
「で、ですがお姉様、レン様ほどのお方でしたら、他の女性を娶られても養っていけるのではございませんか?」
「えっ!」
シャクヤの言葉に本気で焦りを感じてしまう百合華。
「シャクヤちゃんまで、そんなこと言うんだ……」
百合華は、思わず抱きしめていた体をシャクヤから離した。
すると、ローズが声高に言う。
「ああ、あたしはイヤだね。女房持ちとは絶対に恋はしないし、結婚なんてまっぴらさ。ちょっと苦い思い出もあるしな」
ダチュラも同調した。
「私もイヤですね。リーフは、”生涯で私だけ”って言ってくれてたし、他の女性と同じ人を愛するなんて、ちょっと考えられません」
それを聞いて、百合華はとてつもない安心感を得た。今までずっと気に病んでいたことから、いっきに解放された気分だ。
「え、みんなそうなの?私はてっきり、みんな”大奥”を受け入れてるもんだと思ってた!」
「”おおおく”?何それ?」
耳慣れない言葉にダチュラが聞き返す。
「あ、ごめん。奥さんがいっぱいいること」
「そうね。普通は、みんなイヤでしょ。好きな男を他の女に取られるなんて。それに、ああいうのは、お金のある人がやることよ。私たち庶民は、一人女房がほとんどよ」
「そうなんだぁ」
この点についてはローズも不満が多く、話が盛り上がる。
「だいたい、奥さんがたくさんいる貴族の家がどうなってるか知っているか?あれは、地獄だぞ。旦那の機嫌を損ねたら、全く相手をしてもらえなくなったり、結婚した順番で優劣が付けられたり、あるいは、奥さんの実家の身分で立場が決まったり、そうかと思えば、誰が長男を産んだかで、序列が逆転してしまったり。あんな息苦しい家は二度とごめんだ」
「なんか……実感こもってるね。ローズさん」
「えっ、いや、そういう家を知ってるってだけさ……」
ローズは、ふとここでシャクヤのことに気づいた。
「あっ、シャクヤ嬢。すまない。あなたも貴族令嬢だったな」
だが、シャクヤはケロリとしている。
「いえ。わたくしの家はとても仲睦まじく暮らしておりますので」
「そうなのね。お母さん1人だけなの?」
百合華の質問にも平然とシャクヤは答えた。
「いいえ。わたくしの家は、実の母の他に2人の母がおります。みな、仲良くしておりますし、お父様もお母様たちを順番に愛してくださいますので、何も問題は起きておりません」
「うまくいってる家もあるんだ……」
「ちょっと……想像つかないな……」
百合華とローズが順番にため息をついた。
それぞれ思うことが多々あるのだ。
「でも、やっぱり私は他の女の人と男を共有するなんて無理かな。リーフのことを忘れられないから、しばらく恋はいいけど」
「そのとおりだ。あたしだって自分だけを見てくれる男でなければ、お断りだ」
「うんうん。そうよね。そうだよね!」
「ですが、わたくしは……」
ダチュラ、ローズ、百合華が順々に同意見を言うところに、シャクヤは毅然と、しっかりした声で、独自の価値観を示した。
「わたくしは、相手の方に奥様がいらしても一向に構いません。自分自身が、”この人しかいない”と認めた殿方なのです。その方に何人の愛人がいようと、どうして他の男性を好きになる理由になりましょうか?」
「「…………」」
一同、黙り込んでしまった。
そして、百合華は心の中で叫んだ。
(え、え、えぇっ!?何それ!?何その考え方!!今、一瞬、”ちょっとわかるかも”って思っちゃったわよ!こわっ!シャクヤちゃん、こわっ!!)
横でローズが感心したような声を出した。
「なるほどぉ……それは考えたこともなかったなぁ……」
「確かに……一理あるわね……」
ダチュラも考え込んでいる。
(うそでしょ!なに感心してんの!?みんな頑張って否定しようよ!)
「はぁ……話し込んでいるうちに、ずいぶん温まったな。あたしはそろそろ上がるよ」
「そうですね。私も」
まるで話はついたかのようにローズもダチュラも風呂から上がりはじめた。自然と全員、風呂から上がる状況になった。
「え、え?みんな、ちょっと待ってよ……」
百合華も慌てて出た。そして、服を着ながら彼女は考え込んだ。
(ダチュラもローズさんも問題じゃない。この世界、この文化で、一番怖いのは、シャクヤちゃん。この子だ……)
一夫多妻制が当然のこととされる、この世界において、百合華は、あどけない美少女シャクヤを横目に見て、警戒心をいっそう強く持つのだった。
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