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「タコの本名はマコトっていうんだ」
夢見は関心したような顔でタクヤに言う。
「だから最初はニカちゃんが言ってるようにマコちゃんって呼ばれてたみたい」
「それがどこかでタコに変わったんだ」
「よくある話だよね」
夢見はパソコンを閉じてソファーのほうに歩いてくる。
「彼も大分バカにされたんだろうね」
「でも、タクヤより有能かもしれない」
「まあね、この件に関しては特任助手ってことにしたよ。ニカちゃんとセットで」
「ニカはダメでしょう」
「しょうがないじゃん」
「あの子もあれで頭はいいんだから」
夢見は渋い顔でタクヤを見る。
「わかったわ」
夢見がそう言ったとき、事務所に誰かが入ってきた。
「知ってる子」夢見がタクヤにきく。
タクヤは首を横に振る。
「タクヤさん」
女の子は小声でそう言うとタクヤを手招きする。
「マコちゃんの彼女さんに会ってきました」
「やっぱり、秦野さんのことも知っているみたいです」
しばらく考え込んでいたタクヤは女の子をソファーに案内した。
「ニカちゃんなの」
女の子の向かい側に座ったタクヤがそう言う。
「はい」
女の子は相変わらず小声だ。
「マコちゃんの新しい彼女と間違われました」
そう言って女の子はニコッと笑う。
「あなた、本当にニカなの」
夢見がいつの間にかタクヤの隣りに座っている。
「これウィッグなんです」
「あたし円形なので」
女の子はうなずいてそう言う。
「それで、ウィッグのお金って出してもらえるんですか」
「コンタクトはいいの」
「あのメガネ、伊達なんです」
「それって、メチャメチャ見にくくない」
タクヤがニカに言う。
「はあ」
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