コロナに負けた小説家

@toron999

コロナに負けた小説家



コロナ、それは

世界レベルででそして個々のレベルで

僕たちを苦しめた

いや、まだ苦しんでいる人はいるだろう

実際パンデミック前と比べたらまだ生き辛い。


現実は小説より奇なり

誰が言った言葉だったか、ここ一年を省みると嫌というほど突き刺さる。

俺の小説は現実に負けた。




僕はnetで小説を掲載している一介の大学生 

来年からは4年生だ。

書籍化を目指して、賞を取ることを目指して

日々小説を書き、それなりの評価を得てはいる。

もし夏までに小説で成功すればそれで生きていきたいと考えていたが、、、



「夢物語だったかな」

声に出して言ってみる。

現実を受け止めろと自分に言い聞かせるように



小説に明確な勝ち負けなんてものは存在しないのだろう

100の批判を受けようが30ほどの支援があれば頑張れる。

僕を応援してくれる人にとっては僕の悩みなんてちっぽけなもので、

気にするなと、お前の小説の面白さはそんなものじゃないと

励ましてくれるだろうか

励まされたら立ち直れるだろうか


コロナが引き起こした悲劇は僕の今までのどんな作品より人々を惹きつけた。

この僕自身も散々踊らされた

こんな作品を目指していた

現実的で、現実ではなく ありえそうで、ありえない

負けたと感じた。自分の書く小説は所詮小説だったと思い知らされた

そう感じてしまった。



放心状態のままリモート授業を聞き

課題をし、誰にも会わないまま1日が終わる日々を今日も過ごす


ふと部屋から直結している玄関を見る。

カップ麺の備蓄も無くなってきた、そろそろ買いに行くか

Amazonで注文してもいいが

運が良ければ半額品もあるかも知れないし

そうでもしないと外に出ない。



近くのスーパーに行くだけなので服もそのまま帽子だけかぶって外に出る

玄関を半分開けたところで

なにか違和感を感じて口元に手をやる

ああ、マスクマスク 

今となっては必需品だ。


一度部屋に戻りマスクを手に外に出ると

そこには見覚えのある女性がリュックを手に立っていた。


「よっ、今チャイム鳴らそうと思ってたとこ。元カノのよしみで今日泊めてくんない?」


              続く

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