第9話 バッチ渡し

「もうそろそろでチャイムが鳴るから自席に座れよ」


全熱先生がクラスに入り、プリントを整理しながら言っている。

みんな座っていく。


「キーンコーンカーンコーン」


チャイムが鳴る。


「まだ室長が決まっていないから今日は俺が挨拶をする」


「起立!」


「礼!」


「着席」


「今日はやることが終わったら帰れるからさっさとするぞ!」


「おー!」


クラスの過半数は声を上げる。


「やることは室長、副室長、書紀を決め、カーストバッチを渡すことだけだ、室長をやりたい人はいるか?」


みんな手を挙げない。シーンとしている。さっきまで騒がしかったのに。

室長なんてなりたくないからな。

だが時間は過ぎていくとみんな分かっている。


「仕方ない」


誰かが言い、手が挙がる。


「大豪月 剛(だいごうげつ ごう)か分かった、大豪月が他も決めていいぞ」


全熱先生が言う、俺は大豪月を見る。

身長が高いことと威圧感がある男だ。


「では副室長に下伊 大(したい だい)で書紀を下伊 小(しょう)で」


双子かな。いや双子だな、そっくりだし。


「問題ないな?」


全熱先生が聞く。


「「大丈夫です」」


「わかった、次にカーストバッチを配るんだが」


ん?


「劣等生はこのクラスでは二人だけいる、しかし俺が気になることが直ればすぐに普通生にする」


甘い先生だ。それでもカーストだ変わらないところもでるだろう。


「先に劣等生から渡す、颯颯」


「はい」


俺は先生のところに向かう。


バッチが渡される。

「性格が分かったら、普通生だからな」

小声で俺以外に聞こえないように言う。


俺は戻り、バッチを胸ところに付ける。


カーストバッチは三種類ある、それぞれ柄が違う。

見分けがつくようになっている。

俺は劣等生でいないとだめなのだ。

全熱先生すいません。

そしてバッチはもう取れないようになっている。

変えることはできるが取れない。


「羽差」


どうやらバッチをどんどん渡していっていたな。


羽差が戻ってくる。

羽差は優等生か。

スキルの発動条件が限られているけど強いからな。


「終わりだ、大豪月」


「はい、起立」


「礼」


今日はもう終わったのか。

俺はかばんを肩に掛け、屋上に向かおうとする。


「疎」


「どうした?」


羽差が声をかけてくる。


「劣等生になったから心配だからさ」


羽差はいいやつだな。

普通は心配するよな。


「俺のスキルは戦闘面でも役にたたないからさ、覚悟はしてたよ」


嘘だ、俺は嘘をついてるけれど罪悪感なんてない。

だって俺は壊れているから。


「そうなんだ」


「俺、弁当だから屋上で食ってくる」


「OK、また」


「ああ」


俺は屋上に行く。




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