第8話 羽差 外井礼のスキル
「さて、荷物を持て、そしてついてこい」
羽差のスキルが見れるのか楽しみだ。
俺も荷物を持ち、靴もかばんに入れ羽差についていく。
「ついた」
「ここ、トイレですよね?」
洋式のトイレがあった。
「そのとおり、疎だけには伝えておこう、俺のスキルはトイレだ」
「トイレ?」
「そうだ、トイレだ、行ったことがあるトイレに移動できるのだ」
校舎のトイレにも行ったことがあるからそこから向かうということだな。
羽差は便器の上に立つ。
「さあ、疎も来い、トイレは毎日洗っているからきれいだぞ」
俺は渋々羽差と同じように便器の上に立つ。
「トイレ移動(ウォシュレットムービング)」
羽差が言うとハリー・ポッ○ーみたいにトイレに吸い込まれる。
急だったので俺は目を瞑ってしまう。
「ついたぞ」
羽差の声が聞こえる。
俺は目を開けると、違うトイレに居た。
「初めての移動は目を瞑るよな」
羽差は自分で言い、頷いていた。
無視して俺はトイレ出る、どうやら七階でE組の近くトイレだ。
羽差も出て来る。
「ありがとう」
移動の効果を持つスキルは便利だと体感できた。
「いやいや、俺としてもこのスキルが他の人に使えるかわからなかったから、使えることが分かって嬉しいから気にするな」
羽差は本当に嬉しそうにしていた。
俺も少しにっこりしてクラスへ向かう。
俺はクラスに入った時無表情になる。
「いやー、カーストなにになるのかな?」
「気になるな」
「ここ来るまでに疲れない?」
「ほんとそれ」
クラスがガヤガヤしている、他のクラスの同じようだ。
カーストの恐ろしいところを知るだろうな。
俺は荷物を片付けると席に座り、思い出す。
「疎ごめんね」
俺と親を置いていった姉。
俺は走っていく姉を見ても足が動かなかった。怖いのだ。
そのあと親は、
「う‥と‥はや‥く」
口を見て次の言葉が分かる。
『逃げて』
回想が切れる、いや切った。
俺は姉がやった行動は間違えではない、責めることなんてできない。
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