第24話 魔王少女

「まおう少女育成計画、と言った所か……」


声に出していた事に気づき、視線を下僕達へとやる。

彼らは格子の向こうで此方に背を向け、真っ直ぐ背筋を伸ばして微動だにする事なく警備の任に付いていた。

ちょっと恥ずかしい単語が含まれる系の呟きだったが、下僕達は特に気にしていない様だ。


まあ俺も気にしない事にしよう。


ラミアル。

それが今回新たに加わる育成対象の名だ。


先日、俺の前に現れた魔法陣は彼女の物だった。

偶然現れた出来損ないの魔法陣からラミアルの情報を得て、これはきっと運命だと判断し、俺は彼女と契約している。


――その名も、まおう少女育成計画。


やがて魔女へと到る少女が魔法少女なら。

やがてまおうへと到る少女なら、まおう少女で良いだろうと安易にネーミングした計画だ。


内容は読んで字の如く。

あの魔族の癖に召喚も真面にできないポンコツ娘を、まおうへと育成するという物だ。

ゆくゆくは人間との戦争を起こさせ、育てたネッドと一騎打ちさせるのも面白いかもしれん。


今回の育成はただ餌を与えて遠くから見ているだけではなく、魔法少女にあやかり、マスコットキャラとしてサポートしていく形でいこうと考えている。


ネッド育成で分かった事だが。

時間を加速できるとはいえ、長いスパン眺めているだけと言うのはぶっちゃけ退屈で仕方ない。

だから今回の相手には、ある程度積極的に関わって行く事にしたのだ。


因みにラミアルは自分の事を純血種のエリートだと思い込んでいる様だが、それは大きな誤りだった。

本人は俺を召喚した事で一人前気取りだが、実際は召喚が成功したのではなく、俺が魔法陣を書き換えて無理やり成功させてやったに過ぎない。


まあ召喚が成功しないのは、血統上仕方のない事ではあるのだが……


それを抜きにしても、やはり魔族の中では相当能力が低いと言わざる得ないだろう。

もっとも、だからこそ育て甲斐があるともいえるのだが。


とにかく、これから彼女を育成し立派なまおうに育て上げるとしよう。

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