第40話:英才教育…?

 私の父はアングラのお芝居観劇が好きで、子供の頃に何度か一緒に連れて行ってもらった事があります。

 あまりにも昔の事過ぎて、作品の内容までは覚えていないんですが、いまだに忘れられないシーンがありまして…。

 それが、2人の俳優さんがボウルに入ったホイップクリーム的なものを泡立てているシーンです。

 そのシーンの何が印象的かっていうと、2人が女性用のナース衣装を着ていたんです。

 そして、相手の顔に投げたりした後に拭いたティッシュを客席に投げたりしてたんですが、その時『今日は女の子が来てるからこういうのやめようよ』って…アドリブだと思うんですけど、言ってくれたんですよね。

 恐らく、センシティブなシーンを表現しているんだと思うんですが、だからこそ未成年の私の存在に触れてくださったのかな…って。

 その不思議な体験が忘れられなくて、時々思い出すんですがどこの劇団さんか思い出せなくて…モヤモヤしていたんです。


 先日、当時私を連れて行ってくれた父が覚えていたら教えてもらおうと思って聞いてみたんですよ。

 私「あのさぁ、私が小学生か中学生の頃に初めて連れて行ってくれた舞台って、どこの劇団さんだったっけ?」

 父「あー…どこだったかな。劇場地下だったでしょ?○○(劇団名)だと思うよ」

 私「あれ、○○さんだっのか」

 父「…というか、彩と一番最初に行ったの小学生の頃だったっけ?」

 私「え、そうだと思うよ?5年生とかだったかな?」

 父「いや…てっきり幼稚園ぐらいだと思ってたからさ」

 私「え……いやいや、さすがに幼稚園の頃じゃないと思うけどな…」

 なんてやり取りをして…。

 結局、私が父と一緒に観劇した劇団さんは2組だけだったみたいで、そのうちの1組は専用の劇場で公演をおこなうので、自然ともう片方の劇団さんだってわかったんですけど。


 父との会話が終わって部屋に戻ってから思うわけですよね…『あれ?』って(笑)

 もしかして、私幼稚園の頃からアングラのお芝居観に行ってたの??

 父は、アングラなお芝居が大好きで私も少なからず影響は受けていると思うんですが…。

 さすがに、最初に観劇したのは小学生の頃だと思いますけどね…。

 でも、きっとこれも『幼い頃から“本物”に触れさせる』っていうやつなのかもしれない。

 なんて、約20年後に思いました。



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