第3法則 危害を加えてはならない
「おはーす」
あれから3ヶ月ほど経った。季節は太陽がサンサンと輝く夏。温度管理がされているとは言え、少し暑い。
「ういっす。あれ?リーリヤちゃんは?」
背も高く顔も良い友人1号、
「お呼びですかな?」
俺の背中からひょっこりと顔を出すリーリヤ。なんで髪で髭作ってんの?可愛いのやめろ。
「リーリヤちゃんおはよ!」
デレデレとしながらも、爽やかイケメン顔を見せる香坂。アイス溶けて手に掛かってるぞ。俺の時よりテンション上げるのやめろ。いや、それもおかしいか。
「香坂はソフィアちゃんといちゃいちゃしろよ」
俺は香坂の右斜め後ろに立つアンドロイドに目を向ける。ELー1200。今年出たバリバリ最新の汎用型アンドロイド、ソフィア。
髪は肩甲骨付近まで伸び、その色は透き通るようなブロンド。薄い青色をした目は力強く、パッと見は怖い印象を受ける。身長は160cm程、リーリヤよりも少し低いぐらいだ。
「いやSOTFあるから無理じゃん」
香坂は妹といちゃいちゃするようなもんだ!とわざとらしく顔を顰めて《しかめて》見せる。
「ご主人様の仰るとおりです」
ソフィアは顔色1つ変えることなく、香坂隼人の言葉に同意の姿勢を見せる。
「俺のアンドロイドはみんなこうだよ」
彼は降参と言わんばかりに、両手を上げた。
「ご、ごめん!ハァハァ、改札反対出ちゃった」
ゼハゼハとなりながら、やってきたのは大学の友人2号、
「1年通ってんのにまだ間違える?」
香坂はアイスの棒をプラプラ咥えながら、少し引いている。
「坊ちゃんには手を繋ぎましょうと言ったのですが……」
和歌のアンドロイドにも疲れが見える。
「僕もう大学生だよ?大丈夫だよ!」
大丈夫じゃないから言ってるんだよ。とアンドロイド含めた5人の心の声が揃った気がした。
「はあ……」
ため息を吐きながらも、やれやれと和歌を見守るその瞳は優しい。
JLー1000、ハルノ。和歌のアンドロイドは2世代前の汎用型アンドロイド。今でも人気のモデルだ。艶のある綺麗な黒髪を顎のラインで切りそろえたボブヘア。タレ目がちな瞳に、柔らかい鼻のライン。それがより一層カノジョの優しさを際立たせる。
「よし、揃ったし行くか!」
香坂は6人を引き連れ、目的地に向かって歩き始めた。
「うおっしゃい!遊ぶぞー!!」
6人が辿り着いたのは複合アミューズメントパーク。遊園地もあるが今日行くのはその横に併設されている、様々なスポーツが体験出来る施設だ。
アンドロイドは人間に危害を加えてはならない。そしてまた、人間もアンドロイドに危害を加えてはならない。
しかし、人間は戦う生き物だ。知識欲の化け物だ。アンドロイドがどれだけ自分たちより優れているのか、決着をつけたい。そこでお誂え向きの勝負が出来るのがここ、グラウンド1。通称、G1。
今まさにここで、白熱の勝負に火蓋が切って落とされようとしていた……
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