さるたりす ーー賛美歌 O salutaris hostiaの変奏ーー

///おお さるたりすおすていあ///


はやてが吹いた

砂と雲とが同じ高さに

投げ上げられて


草が匂った

瑪瑙の悲しい模様のように

渦巻いていて


頭髪の質量、

硝子細工の飛沫(しぶき)、

そして、野分


///くえちえりぱんでいすおすていうむ///


Domino, Uni trinoque Domino.


///くいびいたむしねてるみの///


喉を、口唇を、頭蓋を

震わせて叫ばれた声は

かの海からの風に混じり


群青色にはっこうして

とてつもなくよく薫るが

嚥下できなかった  その


死なない呪詛、

死ねない慟哭、

そして、落涙の魔術


///のおびすどねといんぱとりあ///




ーーーーー以下、注釈を記すーーーーー

※1  “O saltaris hostia”のテクスト(ラテン語)とその邦訳を以下に挙げる。なお、テクストに下線を引いた箇所は、本作品に援用した箇所である。


(テクスト)

O salutaris hostia,

quae coeli pandis ostium:

Bella premunt hostilia,

da robur, fer auxilium.


Uni trinoque Domino,

Sit sempiterna gloria:

Qui vitam sine termino

nobis donet in patria.


Amen.


(邦訳)

ああ、救いのいけにえ、

天国の門を開きたもうおん方よ。

われらの敵は四方から押し寄せる、

われらに力と助けを与えたまえ。


三位一体の不滅の神よ。

あなたの偉大なみ名が常にたたえられんことを。

終りなき生命の日々をわれらに、

天のふるさとにて与えたまえ。


※2  ちなみに中貝の信仰は(家的には)浄土真宗である。

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