35話
「どうやら、二問目で苦戦しているようだね、弟くん」
と姉の声がする。
「ちょいと難しすぎないか? 姉さん」
「え? ゆーくん分からないの?」
「そうよ。優くん分からないの? あんたも意外にバカね」
「逆に分かるのかよ!」
「弟君。女性陣がわかっているようだね。なら私の出番は無いか。じゃぁーねー」
そんな声をお構いなしに縁は喋る。
「だってゆーくん。と、に当てはまるのが51なのは分かるよね? ならtは、5の列にあって、その一番目がtなの。ならもう分かるよね?」
そう言う事か。それにしても難しすぎるのでは?
「縁、ありがと」
と、頭を撫でる。
「ちょっと私も分かってたんだから!」
そう惜しむ様に言う柚子。
そして、413122715191411263こと、レストランに向かった。
そのレストランには、他の人は居なかったが何やら変な植物じみた機械が置いてあり、近づくほど機械葉が強く光った。
いかにも翳せといった、マークに機械葉を近づけると、その植物じみた機械は光り輝いて、蓋が開き中から小さな板みたいな物が三つ出てきた。
「ってこれ、苔生えてるじゃん」
そう言って手に取るとそれが金属製だとわかった。
とにかく重い。そして、表面には何か文字が書かれていた。
「うん? 料理?」
そう書いてあるように思える。
その板と言うべきか食券と言うべきか。
それを入れるであろう場所が光り輝いている。それも俺の顔の前で。
眩しいが、その中に食券を入れる。
光は消え、その中に板は吸い込まれていった。
そして、何も無かった空間に椅子と机が出現し、その机の上には料理が乗っかっていた。
それは緑色のパンケーキ。その上には、苔のように見える粉末がかけてあった。
しかし、デカイ。
おもしろいほどデカイ。
何で例えよう。そう車のタイヤほどの大きさはある。それが三枚も。
そう思っていると、アナウンスが流れる。
「これは、人間界ではホットケーキと言われる食べ物を再現した物です。それにアレンジを加え、小人の食べやすい味付けにしました。では、お召し上がりください」
お召し上がりくださいと言われても。
「ゆーくん何あれ! 美味しそう。食べたい」
「縁ちゃん。だよねー食べたいよね。早く食べるわよ優くん」
背中ではしゃぐ縁と、席に座って用意されたナイフとフォークで切り分ける柚子。
「じゃぁ食べるか」
それを口に運ぶと、野菜の甘みを感じる、ほんのり甘い味がした。
その中には抹茶の苦味もあり、抹茶ラテと似たような味がする。だが、それよりも甘さが柔らかい。
ふわふわなパンケーキ、ホットケーキどっちでもいいや。
とにかく美味しかった。
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