27話
俺は縁を彼女自身の自室に移動させベットに寝かせる。
「ゆーくん」
甘ったるい声で寝転がった俺に触れてくる縁。
魔女のような雰囲気を纏う少女に触れえらると、いつも以上に心臓に負荷がかかる。
つまり可愛いと言う事だ。
そんな可愛いらしいトロンとした表情が顔に近付いてくる。
唇同士が触れる。
舌同士が触れる。ざらざらした表側と柔らかい裏側が交互に下に触れる。
芯のあるグミのような感触のそれは、舐め回すと言うか舌をコネ回した。
気が付けば縁は俺に馬乗りになっていた。
唇の圧が高くなって動こうにも動けない。
完全に相手のペースに飲み込まれて激しさを増していく。
たまに息継ぎのためか唇を離すのだが、その時の縁の息と言うものは、走った後かと言わんばかりに荒く熱っぽい。
だが、そんな息の中また唇を合わせる。
縁は俺の頬に手を添えて離さないように手を力ませた。
甘ったるい匂い。甘ったるい景色。甘ったるい音。
それを際立たせる粘液音。
なんと言うか生きていてよかったと思う。
俺の居場所はここだなと思った。
「ゆーくん大好き」
そう言って唇を重ねる。
夜な夜な勝手にしていた、キスとは違って相手も舌を動かしてくれる。
ゆーくんの唾液を飲んで胸を大きくしなきゃ。その一心で舐めて啜る。
ゆーくんゆーくんゆーくん。
大好き大好き大好き。
頭の中にあるのはその言葉。
ゆーくんは私を求めるように舌を動かす。
ゆーくんは抵抗せずに私の胸の中にいる。
ゆーくんは。ゆーくんは。
彼の事しか考えられない。
何故なら彼は私を愛してくれるから。
学校とは違って冷たい目で見られるような場所じゃない。学校とは違って私をいじめる人もいない。学校とは違って私を否定する人もいない。
私の居場所はここにある。
あぁ。愛おしい。
そんな彼が愛おしい。
この時間がずっと続けばいいのに。
そう思った。
否、時間は進む。
無慈悲に、それも残酷に。
時間なんて早く進めば良いと思っていた。いじめの時間が長く感じるし、冷たく反応された時も短く感じる。
だけど今は違う。
ゆーくんならずっといて欲しい。
あの時を思い出さぬように。
あれは何年前だっけ? いや数ヶ月前ぐらいの事。
私はまだ現役の子役である撮影のために工場に来ていた。
スタッフさんも安全な事は確認済みとニヤけて言った。
いや、彼らは知っていた。ここの場所にあの液体が不法投棄されいる事を。
撮影が始まって数十分。撮影中に天井が落ちて来てあの液体が雨のように降って来た。
言い表せないような痛みと同時に足は黒焦げになった。
親切なスタッフさんはすぐに救急車を呼んでくれたがあのスタッフ共は何もしなかった。
芸能界でもいじめられていた。
「少し可愛いからって調子に乗るな!」
と言われた。
悲しかった。
自分人気になる度にいじめられる。
悲しかった。
そして強い腐食性を持つ液体をかけられた私の足は、切り落とされることになった。
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