26話

「縁ちゃんお昼どうします?」

 店から出ると、柚子さんが訊いてきた。

 時刻は十一時頃だろうか。移動を考えるとそろそろ移動してもいいと思ったのだろう。

「うーん。ハンバーガーが食べたいですね」

 素直に食べたい物を言う。

「じゃぁ行くか!」

 そう言って駆け出す柚子さん。

 そして、ハンバーガーショップに着いた頃にはもう十二時を過ぎていた。

 私は、チーズバーガーセットを頼んで、柚子さんは何やら大きそうなギガバーガーとやらを頼んでいた。しかもLセットを。

 ハンバーガーを頬張りながら、これからどうするのかを決めていく。

「どうする? アクセサリーでも買いに行く?」

「良いですね。いちいちゆーくんに訊いてみて、ゆーくん好みになりたいです」

「縁ちゃんって、それにしか目がないよね」

 呆れ顔で言う柚子さん。

 こういった、目的の決まっていないぶらぶらした買い物は結構好きだなと感じながら、そういった店に行った。

 雑貨屋と言うべきか、そんな店に入りガラス細工のアクセを見て回る。

 私の目に止まったのは緑色のネックレス。

 親指サイズの雫形のそれは、中に白い羽が埋め込まれていた。

「え? めっちゃ似合ってる、可愛いじゃん」

 それを試着して、柚子さんに見せた。

「先ほど買った服にも似合いそう!」

 そうとも言ってくれた。

 正直嬉しかった。

 何かがある度に否定する両親と違って温かみを感じた。

 イヤリングと髪につけるリボンと言った物を買って家に帰ろうとしていた。

 だけど時間はまだ五時を過ぎた頃。

 帰ると伝えた時間よりかなり早い。

「どうする? 柚子さん」

「とりあえず、スーパー行こうか」

「はい」

 適当な食材を買って家に帰った。

 あれ? かなり早いな。

「おかえりー」

 そう言って、縁達を出迎えた。

 二人の手には大きな袋。

「ゆーくん今から着替えるから待っててね」

 そう言って柚子に背負われてる縁は、脱衣所に消えていった。

 しばらくして、縁が出てきた。

 その姿は堕天したクリスマスと言うべきか。

 黒を基調として、その中に散りばめられた赤と緑。

 胸の前で結ばれた赤いリボン。そして髪に二つ、小さいながらも同様な物付いていた。

 イヤリングと言うんだっけな。耳には緑色の十字架を象った宝石らしき物。そして、羽を飲み込んだネックレス。

 そんな可愛い事があって良いのかと思うほどに似合っている。

「どう?」

 恐る恐る訪ねてくる縁。

「可愛いよ」

 俺は答える。

 俺好みに仕上がったものだ。

 何も指示せずに俺染まっていく縁を見ると何故か怖くなる。

「二人とも恥ずかしそうだね! 今夜は私の手料理だよ。いっぱい食べてね!」

 空気を読まない柚子が間に入ってきた。

「お二人さんは、縁ちゃんの部屋にでも行って二人っきりになったら?」

 柚子のくせには気が効く事を言う。

「ん。じゃあ行こっか縁」

「いってらっしゃい」と言わんばかりに手を振る柚子。

 あいつ何考えいるんだ? だって俺を奪おうとしてこの家にやって来たのに、何だあの態度。

 まぁ別に良いのだが、というかこの態度が望ましい。

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