25話

「行ってきまーす」

 と言って家を飛び出した私達。

 あまり人と遊んだ事がないからなのか、緊張してしまう。

「じゃぁまず薬局行こうか!」

 と笑顔で話しかける柚子。

 これでもライバルなんだがこんなに仲良くていいのだろうか? と疑問になるが多分大丈夫だろうと思っている。

 特に理由はないけど。

「今日は楽しもうね。縁ちゃん」

 と車椅子を押してくれる柚子ちゃん。

 その笑顔を見る限り、信じて良いような気がする。

「じゃぁ、今日は薬局で用を済ませて、服買ったりスイーツ食べたりしよう!」

 私は拳を天にかざして、元気に宣言した。

 まずの第一の行先、ドラックストア。

 例の物を買って、それのついでに柚子さんが言っていた物をそこそこ購入する。

 これを使う時を反射的に想像してしまったが、その風景は悪くないと思ってしまった。

 使い方を、柚子さんと話しながらレジにむかった時の周りの目がなんだか冷たく感じたが気にしない。だってゆーくんと触れ合えるならそれで満足。

 この体がめちゃめちゃになってもゆーくんが満たされたならそれで私は幸せだと思っている。

「じゃぁ服を買いに行こうか」

 と、連れて行かれたのは良い感じの服屋。

 唯一無二と書いてある服が沢山置いてあって、店の奥からはミシンの音が絶えず聞こえてくる。

「ここの服って全部ここで作っているんだよ」

「へぇ凄いですね」

「縁ちゃん。これなんかどう?」

 そう言って渡してきたのは、ゴスロリと言うべき服だった。

「着てみて、絶対可愛い」

 黒いヒラヒラの中に赤いリボンが流れ出るようなデザインのワンピースで至るところが透けて少しえっちだ。

「着替える? じゃぁあそこに試着室あるから」

 そう言って誘導された。

「なんで入ってくるの?」

 何故か、柚子さんと試着室の中にいる。

「だって、手伝ってあげようかなって。はいバンザーイ」

 そう言って、今着ている服を脱がされる。

 そして着せられた。

「あら可愛い。写真撮るよ」

 気づけばフラッシュが光っていた。

「優くんに送信っと。お? 返信返ってきた。可愛いだって」

 ゆーくんが可愛いだって?

「柚子さん、この服欲しい」

「そうこなくっちゃ」

 そう言って会計する。

「今回は私が払うね」

 ウインクする柚子。

「いやいや、私が払いまよ」

 結局、買ってもらってしまった。 

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