14話

 気づけばもうお昼時だった。

「縁、お昼どうする? 何か作るけど」

「焼うどん! 焼うどんが食べたい」

 そう、手をあげて言った。

「あ、私もそれで」

 と姉も同意する。

「はいはい」

 冷凍庫を開け冷凍麺を取り出し、レンチンする。

 野菜を切り、炒める。

 そこに解凍した麺を入れて、麺つゆで味付けをする。

 水分が飛ぶまで火を通し、そこらへんの調味料で味を整える。

 そして出来上がり。

 そんな簡単な料理を出して良いのかわからないが、まぁ良いだろう。

 少し多めに作っておいたから、おかわりもできるようにしておいた。

 おそらく、縁は気に入っておかわりするだろうと思って。

 適当に盛り付けて、縁達に渡す。

 食卓には、姉と縁が座っており俺の座る場所がない。

「美味しい!」

 そう言ってパクパク食べる縁の姿をみるとなんだか、安心する。

 何があろうが、普通の女の子なんだな。そう思わされる。

「守りたいな、この笑顔」

 その後、トランプに飽きた縁は、姉に別れを告げ俺と一緒にテレビを見る事を選んだ。

「ゆーくん。なんだか幸せな気分」

 ソファーに寝転がっている縁が言う。

「誰かと遊んで、いっぱい笑って、美味しい物を食べて、これが幸せって事?」

 それを聞いた時、俺は違和感を覚えた。

 お前の幸せは、それだけなのか? 違うだろ好きな人と一生一緒にいて一生好き同士でいる事だろ。

 そんな小さい幸せを最大の幸せだと認識させたくない。

 いつの間にか、本気で好きになっていた。

 自分が捨てられた、そんな感情になる。

「何泣いてるの?」

 縁が優しく問いかける。

「いや、縁が幸せを知っちゃって俺の事を捨てるんじゃないかって思ってさ。俺の母さんみたいに」

「捨てる? そんな事する訳ないじゃん! 逆だよ! ずっと恋人として居てほしい。私には貴方が必要なの」

 自分でも情緒が不安定なのは自覚している。それに最近ひどくなってきている。

 不安が一気に放たれたのか、温もりを覚えたからなのか。

 俺ですらわからない。

 少なからず今、縁と離れたら大事に至る事は理解できる。

「俺も必要」

 そう訴えた。

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