13話

 とんでもない量の卵を食べた俺は、吐きそうになっていた。

 それを悟れない縁は、トランプトランプと連呼していた。

 なんと言うか、狂気じみていた。

「はいはい、トランプで何するの?」

 と訊いてみる。

「なんだろう? 七並べ?」

 そこまで面白くないものが来た。

 ごめん、内心笑ってる。

「いやぁ、七並べも良いけどもっと、面白いゲームしない?」

「え? じゃぁスピード?」

 え。俺のライフポイントがない時に気力を使うやつは、やめて欲しい。

「もっと良いのないかな? ババ抜きとかさ」

「ババ抜きは二人だと面白くない。初手の手札で大体揃って、最終的に残る手札って多くて四枚ぐらいでしょ? それの何が楽しいのかな」

 と、表情を変えずに圧をかけてくる縁。

「ジジ抜きは?」

「同様」

「人数を増やす」

「私に友達が居るとでも?」

 駄目だ、七並べやらされる。

 あんな楽しくもないゲームを淡々とやらされ続けられるんだ。

 あぁ終わった。

 そして、窮地に追い込まれた俺は妙案を思いつく。

 そうだ。姉を使おう。

 姉なら、ゲームに付き合ってくれるだろうし、楽しませてくれるはず!

 そう期待して、電話をする。

「もしもし姉ちゃん?」

「何、弟よ」

「今からトランプ付き合ってくれない?」

「トランプ? 別に良いけど」

「待ってその前に、縁、ここに人呼んで良いか?」

 と振り返って縁に訊く。

「良いよー」

 と返事。

「じゃぁ、今の俺のいる所に来て、現在地送るから」

「了解! ではまた後で弟くん」

 電話を切り、そして縁に姉が来ることを伝える。

「えぇー! ゆーくんにお姉ちゃんがいたの? それが家に来るって?!」

「そう叫んでもらっても」

 と、完全なるオーバーリアクションをするのは縁。

 そして、数分後。

 ピンポーン

 お、姉が来た。

 玄関に向かい、ドアを開ける。

「イラストレーター姉参上! 今日の分は描き終わってるから遊べるぜ!」

 ご機嫌で、決めポーズをする姉。

 第一印象。変なやつ。

 俺はそーっと扉を閉める。

「待って弟くん。ごめんってふざけすぎたってごめんって」

 と、閉まりかけの扉の隙間に指が出てくる。

 仕方なく扉を開ける。

 なんと言うか、なんでこうも不思議な人なんだ姉は。

 よくわからなんなーほんと。

「じゃぁ入って」

「お邪魔しまーす」

 その後、リビングに誘導する。

「ゆーくんのお姉ちゃん?」

 姉を見た縁はなんか呟いた。

「そうだよ! 天才絵師の姉です!」

 再び面白くもない決めポーズ。

 それに失笑する縁。

「で、トランプやりたいって言ったからどうせなら人数が多い方が良いと思ってね。手っ取り早い姉を連れてきた」

 横で堂々と頷く姉。

「で、君が縁ちゃんかい。話には聞いているよ。それにしても可愛い顔してるね」

 とよからぬ事を言いはじめた姉。

 まぁ良い。ババ抜きしよう。

「所でトランプは?」

 と焦る姉。

「待てって、ほらここにあるから」

 第一回ババ抜き大会開幕。

 一番手、姉。

 これからの実況は私、作者が担当します。

 姉さんは、縁さんからカードを引き抜くのですが、その縁さんの手札にはババ。

 さて、姉さん、どうするのでしょうか?!

 おっと、姉さん回避! ババの横のカードを引いた!

 縁さんはなんだか不満そう顔つき、逆にその顔で悟ったのでしょう。姉さんは勝ち誇った顔。

 うざったらしい顔です。

 二番手、縁さん。

 これは、自分がババを持っているので、安心して引けますね。

 迷わず、ゆーくんの手札から一番端っこを引いた縁さん。

 そしてカードを捨てた!

 割愛。

 今現状は、ゆーくんの手札が二枚、姉さんの手札も二枚。縁さんの手札だけ三枚と言った状況。

 ババの移動は無し。

 これは縁さんのピンチですね。

 姉さんが縁さんからカードを引きます。

 おっと、なんだこの渋い顔。

 おっと?! これは、ババを引いた模様。

 姉さん、気持ちが隠しきれていないもよう。

 それに対して、縁さん、満面の笑み。

 これを見て理解したのでしょう。ゆーくん固まっております!

 そして、縁さんの引く番。

 ゆーくんから、引き抜いたカードはスペードの六。

 おっとこれは? 手持ちに同じ数字のカードがある! 

 縁さん勝ち誇った顔でカードを捨てます。

 一上がり確定です。

 続いて、ゆーくんのターン。

 爆弾姉さんからカードを引きます。

 おっと引いたカードはハートのキング!

 ババではない! セーフです。

 姉さんのターン。

 最後の一枚の縁さんからカードを引きます。

 最後のカードを引いた!

 縁さん上がりです!

 ですが、姉さんはカードを捨てられない。

 続いて、ゆーくんのターン。

 ゆーくんの手札には、ハートのキングとダイヤの一。

 姉さんの手札には、ダイヤのキングとクローバーの一、そしてババ!

 ゆーくんはここでカードを捨てる事が出来れば上がる事が出来ます。

 そして、引いたカードは。

 上がれるカードを引く確率は三分のニ。

 おっと! 引いたカードはダイヤのキング!

 ゆーくん手札を捨てます。

 そして、姉さんが、ゆーくんの最後の手札を引きます。

 姉さんの負け!

 その後もトランプを楽しんだ。

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