7話

「ねぇどうしたいの? これから」

「そうだな。事をするのはまずはバイトの契約期間が切れてからかな」

「何それつまんない」

 と、頬を膨らませて見るからに怒っている表情を見せる。

「いやぁ、でもお金貰っている以上仕方ないだろ」

「まぁそうだけど」

 それに、今までは、雇い主だったのが彼女になった事で色々こっちのターンにも出来そうだ。今夜にも、その胸を。

「よっしゃーバイト頑張るぞ!」

 と声を張る。

「がんばれー」

 と縁。

「では、縁。夕飯の支度してくる。何が食べたい?」

「お好み焼きがいい!」

「そうだな。それが良い」

 とキッチンに向かう。

 いや待てよ。お好み焼き? ホットプレートが必要なんじゃ。

「ごめん、ちょっと家帰って忘れ物取りに行ってくる!」

「え? 何か忘れ物? もしかしてパンツ?! いやぁ今ノーパン」

「そんな訳ないから。ホットプレート。どうせなら、お店みたいに一緒に焼いて食べようぜ」

「確かに、そうだよね。そっちの方が楽しいし。いってらっしゃい」

「おう。行ってくる」

 家を飛び出す。

 家までの距離はそこまで遠くないのが幸い、おそらく持って帰るのも楽だろう。

 と思っていた時期にも僕にはありました。

 家に帰り、姉に一言かける。

「ただいまーってホットプレートある?」

「あるけど何? 使うの?」

 と、自室から顔を出した。

「でさ、あんたどうよ。あのバイト受かったんだって。よかったじゃん彼女出来そう?」

 事の元凶がちょっかいをかけてくる。

 なんというか鬱陶しい。

「うまくいってますから心配しないでください。じゃぁこれ借ります」

「待って!」

 と言われたかと思えば、背中に柔らかい感触。姉が抱きついてきた。

「あぁ。愛おしいの弟くん。こうやってると安心するわ。でも、雇い主に言っておいてね。もしこの子に手を出したら、容赦しないってね」

 でた、ブラコン姉。

「じゃっ、いってらっしゃい! 弟くん」

 自宅を後にした。

 重い。とんでもなく重い。

 あれ?ホットプレートってこんなに重たかったっけ? でも仕方ないか、鉄の塊だし。

 これは帰るの一苦労だぞ。

 このまま、一駅分ぐらい歩くことになった。

「ただいまって縁、何してるの?」

「ゆーくん、トイレ行きたい!」

 と、廊下でうずくまっている縁が言った。

 どうやら、扉のドアノブに手が届かなかったらしい。

 小柄な縁には災難だったな。

「あーはいはい」

 駆け寄るが、事遅し。

「あー無理無理。動かさないで!」

 花が無いのに花を摘んでしまった。

 以上。

 後片付けが大変だった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る