4話
「ごめん。今行きます」
と声を出しながら、浴室に向かう。
「もう。ゆーくんったら。ちょっとした悪戯でパニックになりすぎ。で、タオル取って」
と言われ、カゴに山積みになってるタオルを手に取った。
「はい」
扉の隙間から伸びている手にそれを渡す。
「でもゆーくんって、優しいんだね。今まで雇ってきた人たちは、数時間そこらでやめていっちゃったから、私、またそうなるんじゃないかって心配だったんだ。でも今居てくれて嬉しい」
泣き出しそうな声で言う縁。
「縁。大丈夫。仕事だから一緒にはいるぞ。お金、欲しいし」
「もー! お金なんかいらないから、一緒にいさせてくれって契約期間の一ヶ月で言わせてやる」
そう、声色を変えて言った。
「それはどうかな。ってその手は何かな」
気づけば、先ほどのように扉の隙間から手が伸びていた。
「パンツと下着、取って」
「え?」
反射的に声が出る。
「だから、タオルの入っていた棚の横に下着があるからそれを取ってって言ってるの!」
「あぁぁ。わ、わかった」
と言われ、その場所に向かう。
そこには確かにスポーツブラとパンツが置いてあった。
「え? 俺がこれ触るの?」
ちょっと待った。この女っ気が微塵もない俺がこれを触れって?
待つんだ。心の準備が。
「早くー。取ってよー」
女の子の下着なんだぞ?! 俺が触って良いわけがない。
でもこれって、仕事だから仕方なのないことだから。良いのか?
いやいやでもこんなザ・童貞が触って良いはずがないと言うか見てはいけない物だろ。これ。
「あぁーどうすれば!」
「もうゆーくん! 私裸のまま出てきちゃうよ? それでも良いの?!」
あーこうなったらヤケクソだ。
俺は、言葉通りの鷲掴みをして、下着を取った。
なんというか、温もりはなかった。あ、でも当たり前か。これから使うんだし。
そのまま、その持っている物を渡した。
「ありがとう」
そう言って、手が引っ込んでいった。
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