第14話 カンタンな結末②

 あれは、何時だったろう。戦いの帰り、皆と別れ、城下を一人ふらついていた時に、あの男と出会った。


(虚しくはありませんか?)

 男は、そう問いかけると微笑んだ。

(この戦いは、いつまで続くのでしょうかね。生涯、それともあなたが死んだ後もずっと?)

 うるさい、黙れ、とノヴォルは怒鳴った。


(ところで、お城の人たちは、どうしているのでしょうかね)

 何だって? 眠っているに決まってるじゃないか。俺たちが化け物を掃討して、目覚める日を待っているんだ。

(確かですか?)

 男は目を細めた。


 ノヴォルは青ざめた。そうだ、リン隊長も俺たちも城に入ったことはない。それどころか、この戦いが始まってから、城の中を確かめた者は誰もいないのだ。どのくらい経ったのだろう、確か百年だったか? この先も戦いが延々と続くとすればどうなる。いくら強大な魔力とは言え、人の体は、どこまで保つのだろうか。


(さあさあ、嫌なことは忘れましょう)

 男は小さな木彫りを差し出した。

(これを枕元に置くと、楽しい夢が見られますよ。せめて、夢の中だけでも自由になりたいと思いませんか?)


 ノヴォルは受け取り、そこで意識が途絶えた。

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