第11話 カンタンじゃないかも②

 ザックは立ち上がり、壁に槍を立て掛けると、ノボルの方に向き直った。「おまえ、どうしたんだ」

「どうした、って何が?」

 ノボルは戸惑った。さっぱり話が読めない。これ、新規のイベントか?

「どうしたって、おまえ、近頃、おかしいぞ。あんな無茶な戦い方しなかっただろう」

 ああ、そういうことか。“ノヴォル”の活躍が気に入らないんだ。

「隊長も心配していたぞ」

 隊長……そう言えば、こいつと隊長は幼馴染って設定だったな。成る程、お気に入りのお株を奪ったことで、二人とも面白くないって訳か。後々何か罠を仕掛けられるかも知れない、警戒しておこう。

「別に何もないさ。やり方を少し変えてみただけだよ。俺は俺なりに考えている」

 ノボルは答えた。これで、誤魔化せればいいが。

「……そうか、ならいい。でも油断するなよ」

 よし、うまくいきそうだ。心の中でほっと胸を撫で下ろした時、ザックの目に何かが止まった。そのまま、じっと見つめている。視線の先は、ノボルのベッドの枕元に注がれていた。そこには、小さな木彫りが置かれていた。形はバッタに似ていた。ノボルの枕に刺繍されていたものと、よく似ている。


「何だ、それ?」

「これは、ゲーセンの隣で」

 しまった、とノボルは後悔した。うっかり口が滑った。

「ゲーセン?」

 ザックが聞き咎めた。

「ああ、いや、貰ったんだよ、道端の物売りからだ」

 ノボルは慌てて言いつくろった。あれ、でも考えてみれば誤魔化す必要なんかないんだよな、ここは夢の中なんだし。

「ゲッセーのことか?」

 ザックが尋ねた。

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