第10話 カンタンじゃないかも①

「ノヴォル、おい、ノヴォル、どうした?」

キョロキョロと当たりを見回す。

「さっさと食えよ。いつ奴らが来るか、わからない。食いっぱぐれるぞ」

 ノボルは食堂に居た。大きなテーブルを仲間たち何人かと囲んでいる。


 どうやら、昨晩とまた、同じ世界線のようだ。

 今日で四日目だ。いったい、いつまでやれば、ステージクリアできるんだ?次のステージはいつなんだ? あ、分かった。「ここからは有料です」ってヤツだ。仕方ない、明日また、あの店に行ってみよう。


 夢の中なのに、不思議と空腹感がある。目の前に、野菜スープの入った木の碗とパンの載った皿が置かれていた。ノボルはパンにかじりついた。パサついていて、あまり美味おいしくない。スープの方は味が薄かった。これは、給食の方がまだいいな。


「しかし、最近、おまえ、すごいよな」

「ああ、ザックも顔負けだ」

「おい、聞こえるぞ」

 反対側のテーブルからザックが、無言でこちらを見つめていた。ノヴォルと目が合うと、立ち上がって食堂を出て行った。あいつ、もしかして、やっかんでるのか? だからって、何だって言うんだ。

 仲間たちにおだてられて、ノボルは機嫌が良かった。


 食事を終えて、兵舎に戻るとザックがいた。ベッドに腰掛けて槍を磨いていた。そう言えば、こいつと同部屋だったな、と思い出した。何となく気まずさを感じていると、ザックが顔を上げて口を開いた。

「ノヴォル、話がある」

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