第9話 カンタンな戦い③
今夜の敵は何かの幼生だった。大きな丸みを帯びた頭部に、横筋の入ったズングリとした体、胴から生えた左右四本の足をカサカサ動かしていた。半透明でぶよぶよして薄気味が悪い。そいつらが無数に押し寄せて来る。
ドラゴンじゃないのかよ、せめてゴブリンとかいないの?
ノボルは心の中で
火箭の一斉掃射をかけた後、残りを掃討にかかる。とは言ってもやはり数が多い。正面から向かった衛士は、頭から食われた。ならば……
ノボルは脇に回り込み、背中に飛び乗ると、そのまま戦槌を振り下ろした。バケモノどもは、小回りが効かないようだった。
背中を切り裂くと、トロトロした体液がほとばしり出た。吐きたくなるような腐臭だ。毒性はないようだが、これはキツい。しかし、
皆で数百匹を片付けた後、異変が起こった。ノボルの左側を走っていた男が、いきなり、ピタリと動きを止め、そのまま動かなくなったのだ。立ちすくんだまま、虚な目で宙を見つめている。
「馬鹿、どうした、止まるな」
見る見るうちにバケモノどもが群がって、男の姿は見えなくなった。絶叫と共に、ベキベキ、ズルズルとぞっとするような音が響く。
何が起きたんだ。悪臭に耐えられなくなったのか、それとも何かの魔力か?
ノボルは警戒したが、幸い自身には作用しなかった。
構わず、一匹、二匹と屠っていく。
バケモノの死骸の山を築いた頃、日が暮れて戦いは終わった。
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