第3話

不審火が出たと言うので現場に向かった。

「えー…」

そこら中で上がる火。その周りで踊る人々。ブレイクダンスを決めるスーツの隣でコサックダンスを踊るやんちゃなメンズ。

「びっくりした?」

振り返ると同僚がいた。制服の胸にけん玉が引っかかっている。笑っている。お手玉と拳銃をジャグリングしながら太っちょが通り過ぎた。

「何かあったの?これ」

「町の有力者の息子が犯人らしくてさ。みんな不審者にしちゃえば紛れるかなって、変な薬ばら撒いたんだって」

「空気感染?」

「空気感染」

「ふーん…」

私は手を顎につけた。

「木を隠すならどうだの…って言う」

「木も森も燃えたけどな」

「ふふっ」

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