AI観は古い印象を受けましたが、AIが人間の相棒であった古き良き時代を表しているところは好印象でした。これはAIという表象を用いたバディ小説と私は読みました。ときに聖母のように主人公を見つめるアイリスの視線は読んでいて心地がよく、何度読んでも飽きない印象です。
今作の題名は、ほのぼのとした雰囲気の物語を彷彿とさせる物ですが、蓋を開いてみればそこからは想像できない程、シリアスな展開に満ちた物語です。作り込まれた世界観の上で繰り広げられる、儚く切ない一作。短編でサクッと読めますので、是非読んでみてはいかがでしょう。