診療所周辺を舞台に紡がれる人間模様

診療所・病院といえば、陰鬱なイメージがしますが、この物語の田舎の診療所は、年齢を問わず、現実と向き合うさまざまな人たちがみんな主人公。なかには重たいテーマを含みつつも、作者のまなざしは、むしろ、いまはともすれば軽視されがちな、あたたかみのある人間の良心や愛、友情などに向けられています。そこにこそ、救いがあり、そして、“いまを生きる”意味や大切さを読者に気づかせてくれます。できれば、家族や同僚や友人たちと回し読みしながら、読んだあとに、いろんなことを語り合ってもらいたい作品です。