第3話 下準備
アサギに付いて行き
「おい、ナグサ?ちゃんとついて来いよ?すぐ迷子になっちまうぞ?」
ナグサははっと我に戻り「あ、うん」と返事をした後アサギについていく。
「一旦宿屋に向かうぞ、ついでにナグサの部屋も借りるからついてこいよ」
宿屋へと向かう道すがらアサギはナグサに謝罪した。
「悪かったな、いきなり万屋に登録しろだなんて言って。訳わかんねぇ状態で困惑してるってのに、おめぇにも考える自分の状況を考える位のことはさせるべきだったと思ってな」
「いえ、大丈夫です。私はなんにも覚えてないですから、あの時提案してもらえて自分のやるべきことが決まって良かったと思ってます」
しばらく歩き着いた場所は道中見た家屋よりも一回大きく入口の上には大きな看板らしきものが立てかけられている。アサギが宿屋に入ったところで受付の係員に声をかけ、ナグサの部屋を予約しナグサに装備に着替えてくるからここに座ってまっているようにと声をかけアサギは宿の階段を昇って行った。
しばらくしてアサギが一階のフロアに戻ってくる、戻ってきたアサギは紺色の
* * * * *
しばらく歩いたところでアサギが立ち止まった。着いた場所は少し大き目の商店だった。店の中には刀や弓、杖などが陳列されている。店の前に立っていると「いらっしゃい、なにをお求めだい?」と店員が二人に声をかける。
「ここはなんですか?」
「ここは
そう言われ店の中に入り陳列された商品を手に取り見ながらどれが良いか確かめる。しばらく色々見ていたが自分に合うものが分からなかったため自分に合うものがないかアサギに声をかける。アサギは少し考えた後近くの短刀を手に取りナグサに渡してくる。アサギの選んだ短刀は
「お前さんは魔法術の適正が高いから補助具はいらなそうだな、魔法術士は基本前衛の後ろで魔法術を使って前衛の手助けをするんだ、時々打ち漏らしがあったときに魔獣が襲ってくるときがある。そういう時にこういう武器なんかで戦ったりする、近すぎると魔法術は撃つ暇がないからな」
と短刀を左右に振りながらアサギはナグサに説明する。その後アサギは店主に短刀を渡し会計をするため店の奥に行き、銭袋から銅色の硬貨を六十枚ほど取り出し店主に渡す。硬貨に興味を抱きナグサはアサギの元へ行き質問する。アサギは会計を済ませた後、道すがらナグサにお金について説明した。今ナグサがいる国には銅銭、銀銭、金銭の三種類の硬貨があり銀銭は一枚が銅銭の百枚分、金銭が銀銭の百枚分に相当するらしい。
次にアサギに案内されて着いた店には武者鎧や革鎧など戦闘用の鎧や衣服が陳列されている。「いらっしゃい、何が欲しいんだい?」と声と共に店の中から店主らしき男性がごますりのような手つきをしながら出てくる。「こいつに合いそうな防具はあるか?魔法術士なんだが」ナグサの背中を軽くたたきアサギが店主に伝える。店主はナグサを上から下までなめるような目線で見つめる、その視線を不快に感じナグサはアサギの後ろに隠れる。アサギは店主に早くするように語気を強め促すと店主は店内を物色ししばらくすると「こちらなどどうでしょうか?」店主は無地の薄紅色の布地を使った外套と
「腹当は良いが、この外套は少し派手じゃないか?こんなもん着てたら目立っちまわないか?」
「そちらのお嬢さんは魔法術士なのでしょう?でしたらさほど問題ではないと思いますが」
「ナグサが良ければこれにするが。どうだ?」
ナグサは外套を受け取りじっと見つめ、しばらくした後アサギに向き直り「これがいいです、これ買ってください」と伝える。―会計が終わりナグサは購入した腹当と外套を装備し、アサギと共に防具屋を後にする。防具屋を出たところでアサギが次の目的地に向かい案内しし始める。どうやら次は道具屋に向かうらしい。
道具屋に到着し、アサギは適当に品物を選らび会計を済ませた後買った道具を少し大き目の革製のベルトポーチに入れ、「ほら、この鞄もついでにやるよ。荷物を入れる袋が無いと不便だろ?」と大き目の革袋と一緒にナグサに差し出す。アサギからベルトポーチと革袋を受け取ったナグサは、アサギに付け方を教わりベルトポーチを装備したあとアサギに付いて万組舎へと戻って行った。
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